足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

目先、相場は反転か・・・米バロンズ誌

2008-06-24 17:35:43 | 株式

先週末の株式市場は1月のソシエテ・ジェネラル、3月のベアースターンズのサブプライムム問題の発生いらい、3回目の金融市場の先行き不安に陥った。

米バロンズ誌の今週の記事のひとつに“波乱の週のあとは、目先、底入れ近し”というのがある。

先週の証券会社アナリストによる金融株の格下げ、大手モノライン2社の格付けの2段階引き下げ、GM,フォードの格下げ、地方銀行に対しての弱気レポートと、悪材料のラッシュで株式相場は多くの悪材料を消化したとみる見方を紹介している。

記事を読めば米バロンズ誌の相場観でもあることがわかる。

また、今週の特集記事は“石油バブル、何時はじけるか?その理由は?”とうもの。

石油上昇のトレンドはやがては反転し、「年末には$100?」を論じている。

いずれも、読み方によると、弱気筋よりも、強気筋の味方になる内容である。

株式相場が大底いれして反転に転じる時期はだれにもわからないが、短期的には反転の時期がきている感じがする。

(訂正)24日発信の本欄では連銀FOMCを23~24日と書きましたが、24~25日の誤りでした。お詫びして訂正いたします。25日(日本時間の今夜夜半)にFOMC後の声明文が発表になります。昨日のNY市場では見送り気分が強く、FOMCの声明文をみて投資判断したいという人気が支配しました(25日早朝)。


相場のバッファー役になるか

2008-06-23 16:22:02 | 株式

「異常な市場のスプレッド、つまりは市場の非効率性のかなりの部分を解消するうえで、ヘッジファンドの投資戦略が有効であることには変わりない。実際のところ、ヘッジファンドは世界の資本市場において決定的に重要なプレイヤーになっている。ニューヨク証券取引所の売買高のかなりの割合をしめているといわれ、一般的には、ヘッジファンドがなければ停滞しているであろう市場に流動性の大半を供給している」

(アラン・グリーンスパン著「波乱の時代」山岡洋一訳。日本経済新聞社)

ベストラーを続けるグリーンスパンの回顧録は、有名な専門の経済理論書を何冊かまとめて読むぐらいの勉強をさせてくれるだけでなく、グリーンスパンなら、いまの株式相場をどう判断しただろうかと、推理のカギを提供させる。

3月のベアースターンズ破綻を連銀が救済していらい、安定するかにみえた金融、証券市場であったが、先週は、その金融市場の不安の余韻が吹き上げた。

それにつけても4月初めのジョージ・ソロスのメディアとのインタービユー記事が思い出される。

ソロスは「底値をつけたようだが、持続性は6週間かせいぜい3ヵ月だろう。典型的な大底はまだだ」と語った。3月中旬から3ヵ月が経過したが、ソロスのいう期限がきたのか?

グリーンスパン議長のいうヘッジファンドの影響力が強くなってきえいるだけに、業界に通じているソロスにはそれなり、相場予測の根拠があったのだろう。

昨年のソロスはヘッジファンド業界では話題のジョン・ポールソンに次いで、世界で第2番目の稼ぎを記録した。

ただ6月はヘッジファンドのショートが相当に積みあがったかもしれない。

相場が一方通行になるのを抑えるということもある。


来週の連銀FOMCでどんな判断が出るか

2008-06-21 13:19:11 | 株式

世界の投資家の関心は来週(24~25日)の連銀FOMCに集まってきた。

昨日のウォール街ではNYダウ平均が317日のベアースターンズ破綻時の引け値を下回って引けた。

きっかけは金融市場の不安の再燃である。

メリルリンチのアナリストが銀行株の評価を引き下げた。特に地方銀行に力点が置かれた。減配と住宅関連の損失の拡大である。

皮肉なことに、当のメリルリンチも追加の損失の拡大を発表するのではないかという憶測が流れた。

またしばらく静かだったモノラインのアンバックとMBIAに問題は出た。ムーディが2段階も評価を引き下げた。

来週のFOMC後の声明文でバーナンキ議長がどのような見解を出すかに関心が高まる。

今月初めには景気がいわれるほど悪くないということで、インフレ対策として8月のFOMCでは利上げの可能性が強まっていた。ドル高が一時は進行して、石油価格も沈静化の兆しが出ていた。

7月には米国企業の第2四半期の決算発表が始まる。今回は3ヵ月前に比べて、いままでのところ、減額修正の企業が少ないということを評価する向きも一時は出ていた。

昨日のNY市場の動きをみていると、5月初めに13000ドル台まで戻った株価の反騰も砂上の楼閣であった。

しかしわれわれが注目している米国の有力ニュースレターは、S&P5001326ポイント割れを、かねて今回の相場の底入れの条件にしていた。今週はショート(空売り)が積みあがったはずだ。

ニュースレターのいう底入れの条件が昨日、実現した。


短期の調整で終わる

2008-06-20 20:42:48 | 株式

原油相場が昨日は大幅に下落したが、本日の東京市場は反応せず、軟調であった。

理由は二つある。

ひとつは一時、米国を中心にして、金利の利上げ予想さえ出ていたが、その種の見方はすっかり消えてしまった。依然として金融システムの不安が残っている。今月上旬に出ていた、ウォール街での銀行株買いの人気も後退した。東京市場での銀行株人気をみていると、欧米でのサブプライム問題も峠を越えたような感じを受けたが、この種の見方をするのは時期が尚早であった。

ロンドンでの銀行間取引の金利であるLiborFFレートの差に一時は縮小の兆しが出ていたが、再び拡大してきた。

FFレートの2.0%に対して、3ヵ月のLibor2.80%と、両者の間に0.80%も差がある。

銀行はそれぐらいの差がなければ取引のリスクを回避できないとみている。

グリーンスパン連銀前議長が金融市場の信用リスクを判断する材料に利用している数字だ。

これだけ差があると、来週の2324日のFOMCでは利上げの議論はできない。

いまひとつの理由はこれまで日本株のポジションを増やしてきた外人投資家が一休みしたことである。われわれの相場の目先観の大きなよりどころにしていた需要要因がストップした。外人はファンダメンタル面からではなく、テクニカル面からみて指標の過熱の解消に、いま少し時間が必要とみたのではないか?

連銀はドル安対策のための利上げは棚に上げ、為替政策として別の手段を使うのではないか。

東京市場の調整は短期的に終わるとみる。


マーク・ファバー博士の日本株観

2008-06-19 18:20:23 | 株式

マーク・ファーバー(マーク・ファーバー&Co)のことは何度も本欄で書いてきた。

原油が$20台のときに「中国、インドの需要を考えると$100台乗せはある」と語ってきた。彼の強気予想をも上回った。

今週、米バロンズ誌の座談会では次のように語っている。

「石油相場は軟化するだろう。$80台になっても、驚きではない。向こう3ヵ月間について弱気見通しをとるとしても、商品相場全体には弱気になってはならない。

日本株は買いだ。石油が下がれば空輸株が面白い。AMR,ルフトハンザ、シンガポール航空、日本航空に注目したい。

当面は資源関連株よりも、商品そのものへの投資に魅力がある。

資源関連株は世界的なナショナリズムの台頭の影響を受ける可能性がるので注意したい。

金が$1,000から下げ、$780~$800のゾーンまで下げるかもしれないが、ここで金の実物への投資を考える。

いまひとつ、中国の景気が減速すれば鉄鋼需要が減退する。これまで鉄鋼株のパフォーマンスがよかったが、私はUSスチールをショート(空売り)した」と語っている。

かねての持論の商品相場への強気は崩していないが、先行きは選択に注意するように強調した。

また日本株では住友信託銀行(8403)に注目した。私も全く同感である。銀行では不良債権比率が少ない。3月末は0.9%で、三菱UFJ(1.2%)、みずほF(1.6%)、三井住友(1.2%)よりすぐれている。

これから経営の積極策をとる素地が整っている。