先週のウォール街での注目点は前連銀議長のグリーンスパンの発言であった。
メキシコで開かれているカンファレンス向けに衛星中継で講演をした。
「明らかに金融危機は終焉を迎えている」と発言した。
彼は、これまでサブプライム問題の米国経済への影響には厳しい見方をとってきた。1929年の大恐慌いらいの危機に米国の金融市場は直面しているというのが、その持論であった。
それだけに、その発言に市場は驚いた。
ここへきて彼の見方を変える根拠になったのは、ロンドン市場で取引されている銀行間取引の金利(Libor)とOIS金利との差が縮小してきたからである。
OISというのは市場参加者が米連銀のFFレートの予想金利のことだ。この両者の金利差が縮まってきた。先行きに対しての不安感がなくなってきたことを表す。
グリーンスパン前議長はこの点に注目した。
その背景にはこれまでバーナンキ議長がとってきた金融政策が効果を発揮していることと、政府の戻し減税で消費の落ち込みがストップしたことである。
ただ住宅価格の下落は年末まで続く可能性があるとみている。
連銀議長の退任後も、米国景気の分析作業に携わり、その洞察力と鋭い勘には19年間の連銀議長の実績で市場は高い評価をしている。
現在も主要企業のアドバイザーを務めており、日々、市場のナマの情報を入手している。
週末のNY株式が大きく上昇する材料にもなった。
来週の東京市場は、ウォール街の動きを反映して反騰局面に入るだろう。