「ちょうど100年前、1907年のパニックが連銀の誕生のきっかけになったが、同時に米国の金融システムに対してのサポート役と規制を果たしてきた。
2008年のパニックは連銀の力と責任が、伝統的な商業銀行だけではなく、金融市場全体に及んできた」
今回の連銀によるベアースターンズの救済と、その後の流動性の供給についての米バロンズ誌のコメントである。
日本では考えられないような行動を、バーナンキ議長は果敢にとった。法律で定められた権限と責任を拡大解釈して、世の中で起こるであろう批判を承知の上で行動を起こした勇気は、さすがは世界の中央銀行を自認する連銀の行動である。
米国でも一部のメディアや民主党からは批判が出ているが、「時間との勝負」と判断した行動である。
昭和40年の日銀の特融(山一證券、大井証券)を想起させる。議論の前に「ベアースターンズは絶対に破綻させない」という結論が先行した。
東京市場は自分たちのことを考えるよりも、NY市場の動きに左右される度合いが一層、強まってきている。バーチャルな世界株式市場のなかでの、東京市場を時価総額でみると10%を切った。ウォール街と運命共同体のような存在を一層強めてきている。
ここでは、価値観の点から論じるつもりはない。
相場の先行きをみる上での最大の材料であるNY市場は、極度の悲観状況から抜け出すきっかけをつかんだと思う。