ゴールドマン・ザックスの有名な主席ストラティジストであったアビー・コーヘンが交代することになった。
1990年代のウォール街での“スーパーブル・サイクル”を早くから予見し、1990年代後半には「グリーンスパン連銀議長と並んで、市場にもっとも影響力のある人物」という評価を勝ち取った。
ITバブル崩壊後も強気の姿勢を崩さず、今年も年初にはS&P500の高値を1675ポイント(昨日の引値は1276ポイント)と予測し、もっと強気の見通しを立てた一人であった。
見通しがここへきて大きく狂うことになった責任を取った。
このニュースを今朝、聞いて感無量であった。
これまでしばしば間違いを犯しながらコーヘンのフアンが多かったのは、その論旨が明快で、相場観測の態度に一貫性があったからだ。くるくる時勢に応じて変節することがなかった。
本欄でもしばしば引用してきた。
予想にはゴールドマン・ザックスが開発したモデルがベースになったが、そのデータは扱い方によっては、予測の結果に差が出たのだろう。今年の予想1675ポイントは現在の水準からすると+31%。
先行き不安が渦巻く最近の金縫市場からは、その数字は不可能なことはわかる。それにしてもコーヘンの交代は、株価が悲観の極にあることを示しているような感じをうける。
日本の古い相場のことわざに「芝居の悲劇と弱気相場は泣かなければ終わらない」といのがある。終わりを感じさせる現象がまたひとつ出た。