今週11日に欧米の中央銀行が協調して流動性の供給を行うことを決めてわずか3日後、米連銀は大手投資銀行ベアースターンズの救済に乗り出した。
JPモルガンを通じて資金供給をする。
ベアースターンズでは、最近、しばしば信用不安のウワサが出ていた。その都度、首脳は否定していたが、「市場でのウワサに抗することができず、24時間で危機に直面した」と語っている。顧客からの預かり資産の引き出しが殺到した。
85年の歴史のある投資銀行であるが、住宅抵当証券の引受けでは第2位、それにヘッジファンドのプライム・ブロカー(取引き)としては上位にある。
バーナンキ議長は臨時の会合を開いて貸し出しを決めた。
市場では「手遅れした場合のコストのほうが大きい」とみる。
また前財務長官のサマーズ教授(ハーバード大)は「連銀にとっては一世一代の行動だろう」とみる。
今回の動きはNY連銀が音頭をとり、ウォール街が動いた。1998年のLTCM破綻のときと同じ構図であるが、金融危機という点ではスケールがはるかに大きくなってきた。
週明け18日には定例のFOMCがある。
金曜日の先物市場では0.75%利下げの確率が100%になった。
利下げ幅1.00%という取引が出て、その買う率が52%になった。
来週は投資銀行の決算発表がある。
注目したいのは11日にみられたヘッジファンドのショートカバー(買戻し)が、週明けに入るかどうか。NY株が転機をつかむかどうか。相場はどちらかに大きく変動するだろう。