来週、9月11日は2001年9月11日の米同時テロ事件いらい5周年に当たる。ノーベル賞学者のポール・サミュルソンは「世界はこの事件を境にパラダイムが変化する」と語った。彼の指摘通りさまざまな分野で大きな変化が進行集中である。
事件後のNYダウは9605ドルをつけた。現在は11392ドル(+18%)。日経平均は9610円から16080円(+67%)。その後、アフガニスタン、イラクで大きな戦争があり、知人のマーク・ファーバー博士は「戦争サイクルに入った」と予見する。テロに対する脅威が高まった。地政学的リスクという言葉が日常語になった。
原油相場が$23から$66、金相場は$271から$617。
投資の世界でもサミュルソンのいうパラダイム・シフトが顕著である。米国の軍事力が強大になるとともに、ヨーロッパの復調が目立ち、中国経済が世界的に大きくクローズアップされてきた。
この動きはこれからも進行し、世界経済の一体化は密接になっている。米国やその後にテロ事件を経験した国民は大きな傷跡を残された。ただ皮肉なことに日欧米の企業のバランスシートはよくなった。リスクに対する経営者の意識の高まりである。
これから難しいのは株式市場の環境の変化である。過去の経験則の影響力は低下しているが、新しいパラダイム下では不透明感が強まっている。5周年に思うことは投資の世界ではリスクを強く意識した運用が必要であり、投資家の判断の視点が短期的な指向を強めていることである。