かねて愛読しているレポートの一つに野村総合研究所のリチャード・クー氏の「マンデー・ミーティング・メモ」がある。著名なエコノミストだ。3月13日号には「福井総裁の記者会見(政策転換の決定後)での発言を読んで感じたことは、金融政策の論理的な説明はその通りなのだが、とにかくその表現がわかりにくいということである」と書いてある。
同総裁が記者会見で英語の表現を多発することを指摘している。「ビハインド・ザ・カーブ(後追い型)、フォワード・ルッキング(前向き)、ユニット・レーバー・コスト(単位当たり労働コスト)、ルール・ベース(ある規定に沿った運営)、ハング・オーバー(未決のままとなる)」をあげて、この種の外来語は一般の人には分かりにくい。説明責任と透明性の責任のある中央銀行の総裁の記者会見としては適切でないと指摘している。
まったくその通りで新聞の記事を読みながら辞書を引き直したのは私だけでないはずだ。
どうしてこの点を日本のマスコミが批判しないか?英語が分からないから知ったかぶりをしているという日本人のクセか。このようなことでは、記者としての資質が問われる。
それを指摘したのは他ならない株式相場であった。今週に入ってからの東京市場はウォール街の4連騰をよそに、まったく元気をなくしてしまった。いずれやってくるゼロ金利からの離脱を先見した。現在の金利はセロであるといっても、市場は信用はしない。長期金利は2003年春の0.435%から現在は1.7%になっている。世界的にみて低いといわれても底からは4倍近くに跳ね上がった。株式相場は生きている。それだけに変化には敏感である。現在の相場の低迷を解くカギはこんなところにある。
本日も比較・Com(2477・マ)は寄らなかった。どんな尺度を当てはめても説明はつかない。わたしがよく利用するPSR(株価÷1株当たり売り上げ)は本日で68倍になった。予想売り上げ(1株当たり)は2万7000円である。安全運転を考える時だ。ドリコム(3793・マ)はPSRが45倍である。
大阪証券取引所(8697・HC)に注目しているが、本日の会社四季報では1株当たり利益が3万3400円(旧四季報・2万2200円)に増額された。PER(株価収益率)は50倍まで買える。
さし当たりの目標は160万円台の株価である。先週8日に214年の伝統を破って公開したニューヨーク証券取引所グループ株(NYX)は昨日のPERが97倍になった。