新興市場の方向性が定まらない。
今月もIPO(新規公開)社数は22社と高水準が続き、ウォール街を凌駕する。日本でも産業構造の大きな変化が進んできていることを物語っている。特に先月から目立つのはオールドエコノミー株、証券株、大手企業の子会社など、ベンチャー企業でない銘柄のIPOが増えてきた。それだけに、これまでのように「新規公開ならなんでも・・」式の投資では成功の確率は低くなってきた。その点は、もちろん参加する個人投資家もわきまえている向きは多い。
ベンチャー企業で成長性のある銘柄には、こんな時には異常人気がつくこともあるので注意はしなければならない。
この種の銘柄はIPO価格の数倍で初値をつけるが、これまでのように初値買いで成功できる確率はぐんと低くなってきている。2日目以降に寄るような株は、初値買いは避け、数日か2~3週間待って、理論株価に比べて大きく開きが出たところを投資することを考えよう。
東邦チタニウム(5727)が、短期的にも狙い場にきた。先月22日に「昨年11月10日の生産計画を、さらに上積み」することを発表したことは市場でもあまり注目されなかった。
チタン・インゴットの増設計画を年7000トンから1万トンに引き上げた。現在の年9000トンを合わせると1万9000トン。それにスポンジ・チタンの増設分7000トンを加えると、同社のチタンの生産能力は年41000トンと、住友チタニウムの4月からの計画である年22000トンを大きく上回り世界最大になる。住友チタニウムも黙って見ていることはない。それぐらいチタン市場の成長が、株価が考えているのに比べて桁違いに大きいことに注目。