【Q】何年ぶりの新札発行?
現在のお札(日本銀行券)が発行されたのは、2004年11月1日。
20年ぶりの新紙幣だ。
ただ、樋口一葉の肖像画が描かれた5000円札は、途中でホログラムを変更した。
【Q】どこに行ったら新紙幣を手に入れられる?
新紙幣が日銀の本支店(33カ所)から、
銀行など金融機関に届けられるのは7月3日の午前。
ただし、全ての銀行支店に届くとは限らない。
20年前は銀行に大行列ができたほどだが、メガバンクは具体的な対応はまだ公表していない。
“裏技”として日銀の本支店に出向けば、破損したお札と交換が可能と伝えられるが、
この点について日銀はHPで、「新券の発行開始当日を含め、日本銀行に来店されても、
ご希望される特定の記番号の銀行券は入手できません。
なお、日本銀行券・貨幣を故意に汚染・損傷させると、
場合によっては、引換えに応じられないほか、法令により罰せられる可能性もあります」
と注意を促している。
さらに予約しないと当日中の交換はできない場合もある。
7月5日ごろから、多くの銀行で交換可能となりそうだ。
【Q】発行当日から自販機などで使えるの?
業界によって対応はさまざま。
銀行ATMは9割以上が大丈夫。
駅の券売機やコンビニ、スーパーも8~9割が、対応可となっている。
駐車場(コインパーキング)は5割程度、飲料の自販機は2、3割にとどまっているという。
【Q】そもそも新紙幣が発行されていないのに、どうやって対応している?
日銀によれば、2023年前半から各業界団体、金銭機器メーカーに対し、
新紙幣のサンプルを提供している。
どのようなサンプルかは明かしていない。
【Q】どんな偽造防止が施されている?
新たに採用された偽造防止技術は「高精細すき入れ」と、世界初の3DDホログラム」。
3Dの肖像が回転するように見える。
これまでも使われてきた、カラーコピー機では再現不可能な「マイクロ文字」、
紫外線を当てると一部が発光する「特殊発光インキ」なども継続している。
【Q】日銀は、いつごろから新紙幣の印刷をスタートさせている?
お札は、日銀が国立印刷局に発注している。
新紙幣は2022年度から発注がスタートし、この年度は1万円札6億枚、5000円札7000万枚、
1000円札8億3000万枚の計15億枚を“注文”した。
2024年度を含め、累計で74億8000万枚が印刷される。
【Q】1枚当たりの製造コストは?
日銀が公表している2024年度経費予算によると、銀行券製造費は約626億円。
発注枚数は29億5000万枚(1万円札が18億3000万枚、
5000円札が2億1000万枚、1000円札が9億1000万枚)なので、
1枚当たりの製造費は21.2円だ。
券種別にコストは異なるだろうが、おおよそ20円前後。
【Q】新紙幣に描かれる肖像画はどんな人物?
日銀は次のように紹介している。
<1万円札・渋沢栄一>
生涯において500もの企業設立などにかかわり、「日本近代社会の創造者」と言われる。
<5000円札・津田梅子>
生涯を通じて、女性の地位向上と女子教育に尽力した教育家。
<1000円札・北里柴三郎>
破傷風を予防・治療する方法を開発した細菌学者で、「近代日本医学の父」と呼ばれている。
【Q】今回の新札発行の経済効果はどれぐらい?
野村総研によると、財務省が新札発表直後の2019年4月に示した
日本自動販売システム機械工業会の試算では、新紙幣・硬貨などの対応で、
紙幣7700億円、500円硬貨(21年11月に発行開始)に約4900億円で、
合計1兆2600億円のコスト。
今回の新紙幣発行のタイミングで、500円硬貨も合わせて対応する業者は多い。
こうした対応コストの合計は、1兆6300億円ほど。
年間の名目GDPを0.27%程度押し上げる経済効果とはじいた。
【Q】タンス預金への影響があるらしいけど…
長年貯めた“へそくり”が、旧札になってしまうけど大丈夫? 不安に感じる人は多そうだ。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストのリポートでは、
2024年4月(直近)のタンス預金は、57.6兆円あると試算した。
前年同月比でマイナス0.8%。
2023年10月以降、ずっとマイナスが続いているという。
「仮に自分自身が、巨額のお札を金庫に持っている大富豪であれば、
『旧札は大丈夫か?』と一瞬でも思うはずだ。
つまり、タンス預金の扱いを再検討してみる機会になっていると考えられる」と指摘。
さらに、「2022年4月以降、消費者物価上昇率は2%を超えて推移している。
季節調整値では、2022年4月↓2024年4月に指数は6.0%上昇した。
この間、貨幣価値は5.7%も目減りしたことになる」とした。
キャッシュで資産を持っていると、損をするというわけだ。
それだけじゃない。
大金持ちが大量の旧札を銀行に持ち込んだら
「このお金は怪しい、申告していない資産では・・・」と先方に勘ぐられかねない、
と不安が募るかもしれない。
2004年の新紙幣発行のときタンス預金は、一時7.5%も減少したらしい。
今回、同じような現象となれば、およそ4.5兆円がはき出される。
【Q】そのお金はどこに向かう?
熊野氏のリポートは、「一部は金(ゴールド)にシフト」としている。
金の店頭小売価格は1グラムあたり1万3000円を超えてきた。
米ドルの高値警戒感から、ドルの代替物である金に需要が移っているのが
主たる上昇要因ながら「タンス預金↓金」の効果も押し上げ要因の一つと分析している。・・》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。
今回、7月3日お目見えの「新紙幣」に関して、素朴な疑問Q&A集を読み、
79歳の私は具体的に学び、多々教示されたりした・・。
我が家は、タンス預金などは無縁で、葬儀に関する緊急準備金、生活の予備金、
わずかながら保有しているだけである。
今回の新たな紙幣に関しても、世の中に7月3日お目見えになっても、
取り急いで入手する意欲もなく、やがて買物した時に、初めて御対面で良い、
と思っているひとりである。
余談であるが、現代のお札(日本銀行券)が発行されたのは、
《・・2004年11月1日、20年ぶりの新紙幣・・》と学び、
たまたま私が民間会社を定年退職し、多々の理由で年金生活を始めた時期であったので、
時の流れは早く過ぎている、と微苦笑したりしている。