備忘録として

タイトルのまま

姜流

2009-08-02 11:19:29 | 他本
「AERA Mook」の新聞広告に姜尚中半藤一利の対談と出ていたので、1400円は高いと思ったけれどすぐに買って読んだ。
対談はもちろん漱石の目を通して見た現在の日本や日本人についてだった。二人の話を拾ってみると、
1.コメディアンが総理候補になるような状況は、”皮相上滑りの開花”と漱石が言ったように、政治も日本もどこか浮ついて劣化が著しい。
2.漱石はロンドン留学で人間がお粗末になって国が傾くのを目の当たりにしたので、日本は米国とうまくやりさえすればいいという思考停止状態は、漱石には安普請と映ることだろう。
3.漱石は利己主義でも他人本位でもなく、自己本位、自分を律して自由と向き合った。現実から距離をおいてアイロニカルに見ていた。
4.日本もやっと内省の時代に入ってきた。自分の身の丈を生きようと考え始めている。まじめに自分のことを考えて、漱石の”まじめであれ”を忠実に守る。

ちょっと短かったけれど、二人の共通項がよくわかった。

雑誌の付録で姜尚中が日本国憲法の前文を読む場面があるけど、そこにある日本国憲法の精神はすばらしい。憲法改正なんてどこの誰が言っているのだろうか。もうすぐ衆議院選挙があるけど、護憲が少数派なのがもどかしい。

田原総一郎、上野千鶴子、宮崎学、梁石日、辻元清美など様々な人たちの姜尚中評も面白い。北海道大学の中島岳志が筑紫哲也がニュース23の後任は姜尚中がいいと言っていたという話は姜尚中の筑紫評と合わせて面白かった。目線の先には視聴者しかないような今のニュースキャスターたちのレベルの劣化はひどい。

ブッシュの3つの罪は、①国際社会に対し傲慢だったこと、②金融危機に対し無策だったこと、③反対意見や宗教を排除したこと。

編集後記は、姜尚中がよく「○○を抱きしめる」という表現を好んで使うことを、”身に起こることを不都合な部分も含めて積極的に丁寧に包み込む”と解釈しているけど、「抱きしめる」とは、漱石の”何事もまじめに深く考える”ことでいいと思うのだけど。

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