スペインの話である。スペインには、サルバドール・ダリ（Salvador Dali）という有名な画家がいて、巨額な資産を残して、死んだのだが、死んだ後に、カタルーニャ（Catalonia）自治州の霊媒師、ピラル・アベル（Pilar Abel）さんが、自分はダリの娘だと名乗り出て、遺産の相続を申し出た。訴訟になり、裁判所は、墓に眠るダリの遺体を掘り起こして、ＤＮＡ判定をするようにと命じた。ダリにとってはまったく迷惑な話だが、結果は、アベルさんはダリの子供ではないことが判明した。子供であることが権力の継承に繋がる国では、その血筋は重要であるかもしれない。日本でも、江戸時代、将軍や藩主の隠し子が突然に現れて、物議をかもしたことがあった。もちろん、ＤＮＡ技術などが無いので、たいていは形見分けに類するものの存在や子供を認知する文などで、本当に子供であったかどうかを判断したのである。しかし、そのようなことは現在の世界では、北朝鮮のような一部の国限られている。血筋による権力の継承は否定されているのである。だが、その反面、財産相続と言う問題では、大、小を問わずに継承されている。私は権力の継承が制限されてきたように、財産の継承も、制限される時代に、いつかはなるように思う。今は、一部の人だけが生まれながらに莫大な財産を継承する権利を持つ。だが、基本的に、これはおかしいのである。(2017.09.07)
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