何十年も虐げられてきた人たち

喫煙が有害であるということが知れわたって、多くの人が煙草をやめたのであるが、この風潮に抗う人たちも健在である。私の友人にも、この風潮に真っ向から抵抗している人が数人はいる。私も、かつては、チェーンスモーカーだったので、彼らの行動を否定することもできない。そんなときである。イギリスのガン専門家がこんな指摘をした。「喫煙が肺がんの原因であると考えて、イギリス政府をはじめ、いくつかの組織、人々は多くのキャンペーンを繰り返してきた。その結果、喫煙者は年々減少し、今や国民の２７％まで低下しているのだが、一方、肺がん患者は、年々、増加している。喫煙が主因であるならば、喫煙者の減少に比例して、がん患者数も減少しなければならないのだが、そうなっていない。」というものである。私の喫煙友人たちは、この発言に、凱歌を挙げそうであるが、残念ながら、たぶん、そうならない。肺がんの原因がほかにもあるだろうが、依然として、喫煙も重要な要因であることを否定したわけではないからである。ただ、凱歌を挙げる友人たちの心に水を差すような発言はしないつもりである。何十年も虐げられてきた人たちである。一瞬でも、喜びを味あわせてあげたいものだ。

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