完熟マンゴーがいつごろから市場に出ていたかは知らないが、私が沖縄にいた頃、ある農家が試作品を買ってくれと私の会社にやってきた。おいしそうだったので、何箱かを買い、知人や友人たちに贈った。それまでのマンゴーというのは、熟していない果実を収穫するので、生で食べて、おいしいというものではない。木に実ったマンゴーの実に網をかぶせ、自然に熟して、網に落ちたものを収穫する。そんな手の込んだ方法をとるものだから、結構な値段がする。しかし、うまい。ところで、その時の話である。マンゴーを贈ったひとり、某氏である。完熟マンゴーを知らなかった某氏は、「たいそうな箱に、1個の果物とは、何だ、これは。失礼千万な奴だ」とかなり立腹されたとのことだった。彼の感覚としては、ブドウの実の一粒が木箱に入ってやってきたというようなものだった。だが、1~2年が経ち、完熟マンゴーが東京にも出回りだし、テレビでも高級果物として、紹介されだして、某氏はかつての立腹を心から反省したのである。「そのころは、こんなに高いものとは知らなかったのだよ。」とことあるごとに私に詫びるのであるが・・・。私の買ったものは試作品で、相場より、かなり安かったことを、口が裂けても言えなくなってしまった。
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