今日お預かりしたのは久し振りの Philco, Predicta G-4654M で動作に付いては不明だが受け取った
物に外観上の大きな問題は診られなかった。 この種のテレビの修理、改造のご依頼はこちらのホー
ムページ http://vrc-tezuka.sakura.ne.jp/ にお願い致します。
今回の機種の修理依頼を頂いた時から前面のカバー内部の状態はどうなのか気になっていた。
これまで手掛けたこの機種で最も苦労するのが前面カバーの裏側の状態で、多くは淡黄色の粉
をふいた状態になりそれを取り除くのに時間を費やすのだが今回の物にその問題が診られず半
ば拍子抜けしたが、今回の物はこれまでにカバーを分解し掃除した可能性が高そうだった。
前面の調整ツマミ三つの内の二つの色が異なっていた。
キャビネット等を固定するネジが何本か欠落していた。
今回の物にもACコードが無く直ぐに導通は確認出来なかった。
内部のホコリは可成りだった、まあ当然と云える。 高圧ケージの蓋が欠落している。
遠目にヒューズかと想った物はダイオード(ゲルマニュウム・ダイオード)だった。
電源に導通が無く一番問題となるCRTのヒーターを先ず確認したが導通は有った。
電源スイッチはジャンパーしてあった。 調べを進めたところヒーター回路に入っている上のセメント抵
抗が断線していた。 可也多くの問題をはらんでいる様だった。 (一部はジャンパーされている)
11月28日 ヒーター回路のセメント抵抗を交換した。 (上は以前外した同じセメント抵抗の残骸)
ヒーター回路は導通したが全く動作しなかった。
調べを進めたところ+B回路の保護抵抗 (WR5)が外れたのか?無くなっていた。 下は以前外した物
+B回路も動作し出し高圧も出始めたがブラウン管からピシピシと云う放電に伴う音が聞こえ始めた。
ブラウン管のベース部分を見てガッカリ、画像の様に中央部分の排気管が割れており空気が入ったこと
に依って放電して仕舞っていた。 残念! しかし何故カバーの中のこの部分が割れたのか?
カバーを外した際に誤ってブラウン管後部に力(ショック)を加えて仕舞ったのだろうか?
11月29日 ご依頼主にヤット連絡が付き修理不可能のことをお伝えしたが、こちらに在る同一のCRTを
使った機種 Miss America のCRTを移植することになった。 昔ならCRTの再生も可能だったが それが
叶わない現在同一CRTを使っている機種からの移植しか無く、Miss America には河相そうだがこれし
か手は無く近々分解に取り掛かろう(実は分解だけでも可成りの作業量となるがその後の組み立てもあ
るので可成りの仕事となる)。
11月30日 CRT交換の為に分解に取り掛かった。 なにせ足の踏み場も無い仕事場なので大変!
この機種及び姉妹機種のCRTの交換は鋼鉄製のバンドを外さねばならず何度やっても慣れない。
右側のブームを固定するビスが欠落しており代わりに両面テープ?で固定してあった(何ともずさん)。
CRTを固定するネジが片方止められていなかった。 (ネジ位しっかり止めて欲しい)
12月3日 CRTを移植し装着した。一部部品を買って来て明日は再度通電してみよう。
12月4日 昨日一部の部品を買って来たので朝一で組み込み動作を診てみた。
高圧は問題なく出てCRTも動作し始めラスタに問題は殆ど診られなかった。
ところが入力している3Chでは中々良好な映像/音声が得られなかった(後からチャンネル・セレクター
の文字板が回転して仕舞っていることが判明した)。
一応映像/音声は出る様にはなったが垂直の直線性、帰線消去、水平/垂直の同期のプルインレンジ
等アレコレ問題が診られた(米国で手が加えられていたので左程難航しないかと想像したが甘かった)
サテ何から取り掛かるか? 道のりは可也遠そうだった。
赤い三角を記したブロック型電解コンデンサ が可也温まっていた。 気付いて良かったがほっておくと
破裂する可能性が有る!
コンデンサ類の交換に取り掛かった。 発熱していたブロック型ケミコンは+450Vのブースト回路、+140
V電源回路、垂直偏向出力のカソードのパスコンを担っているので垂直偏向に大きく影響しそうだった。
次いでヒーター回路以外のペーパーコンデンサを略全て交換した。
部品面に在るペーパー・コンデンサは数個交換されていたが垂直偏向に関係した一つを交換した。
サテ今日はここで時間切れとなったので明日朝一で組み込んでみよう。
12月5日 朝一で通電してみたが何故か垂直偏向が機能しなかった。 この部分の真空管10DE7を未
使用の物に交換してみたが変化無し(交換した物にはピンの部分にクラックが入っていた)
真空管を別の物に換え、調整し直した結果垂直偏向も機能し出した。
垂直振幅やセンタリングを調整した。 一応略実用レベルとなった。
どうせならと入力電圧100Vでの運転を開始した。 映像に縞(明るさの違い)が出ているのはカメラのシャ
ッタースピードの問題です。
上、下は通電後1時間経過後の映像。 そのままにして徒歩で25分程の所に食べに出掛けた。
上、下は通電後2時間40分の結果。 途中垂直同期 (Vert.) を少し調整した。 少しCCWに回転要。
これまで動作試験はスライダックを使い電源電圧を徐々に上げていたが実際にはいきなり100Vが加
わることになるのでその際に問題が起きないかみてみたがパイロット・ランプが飛んだ。 それ以
外には問題は無かったので夕方から組み込みに取り掛かった。
今回の機種で最も難航するのが下の画像に見られる金色のプラスティック製バンドの取り付けで何
度やっても慣れない。 自転車のWOタイヤ (Wired On) の取り付けに似た構造と言えるかも。
この機種だけでは無いが Philco のトランスレス・モデルには電源にサーミスターが組み込まれており
突入電流を制限しているが今回それが無くなっていた。 徐々に電圧を上げるスライダックを併用す
ればこの問題は回避できるが電源投入時常にこの作業が必要となる。
12月6日 今日は71回目の誕生日を迎えた。 明日の発送を前に今日も2時間程ランニングさせてみ
たがデジカメ用のケーブルを忘れて来たので画像をアップ出来ない。
12月7日 昨日アップ出来なかったランニング時の画像を改めてアップした。 水平の上部が不完全。