先週の土曜日の午後、以前の日記にも書きましたが、死刑・冤罪を考える映画上映会なるものを湖都市内の公共施設で行いました
上映した映画は1961年に三重県名張市でおきた「名張毒ぶどう酒事件」で犯人とされ、半世紀以上も経た今も拘留されている奥西勝(まさる)さんの半世紀を描いた映画「約束」(2012年、東海テレビ制作、仲代達矢主演)です
一審で無罪とされた後、二審で逆転死刑判決、最高裁で死刑確定、その後第七次再審請求で一度は再審開始が決定され無罪判決への扉が開きかけたにもかかわらず検察側の抗告により再審開始決定が取り消されてしまった今年88歳になる奥西勝さん、彼はいま医療刑務所で病床にあります
まあ、はっきり申し上げて暗い映画であります、地味な映画ですが、仲代達矢氏の心のこもった演技により見事な作品に仕上がっているだけでなく、製作したのはこの事件を終始追いかけてきた東海テレビ取材班でありますので、当時のニュース映画などの記録フィルムを織り込んだり、事件の証人たちにインタビューしたり、しっかりと事実に裏付けされた映画作りが行われており、信頼のおける作品です
この作品の最初の劇場公開に際して奥西勝さん役を演じた仲代達矢氏は舞台挨拶を行い、これは冤罪であると明言されたそうです
かようなしだいですが、なにしろ重いテーマの暗い映画でありますので、この地方都市で果たして何人見に来てくれるか、当初まったく自信がありませんでした、
勝敗の最低ラインは20人、30人の参加者があればまあまあ、40人であれば上出来、50人であれば大成功であろうと考えPRにいろいろ精を出しました
マスコミ関係にも、単に催しのチラシを送るだけでなく、この事件や死刑問題についての若干詳しい解説の文書も同封し、「どうか貴紙の行事案内欄などに掲載することをご検討下さい」と丁寧な案内状を郵送しておきました
そうしましたらどういう風の吹き回しでしょうか、GGIが長年購読しており愛憎半ばしている、誤報問題で大ゲンカしたこともある朝日さんだけではなく、毎日さん、それに読売さんからも反応がありました、朝日さんは予告記事の形で掲載するとの話でした
12月10日に朝日に記事が掲載されました、「名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚の生涯《映画見て、冤罪や死刑考えよう》13日上映会、再審請求をめぐる講演も」という見出しで上映会の内容が要領よくまとめられていました、11日は毎日が、朝日ほどくわしくないのですが、やはり予告記事の形で書いてくれていました
そのおかげでありませうか、何人もの見知らぬ方々から事前の問い合わせの電話が相次ぎました、なかなかの手応えです
当日午後1時半から上映開始の予定でしたが1時を過ぎたころから次々に参加者が姿を現し、上映開始の少し前に会場はほぼ満杯となりました
いつもGGIが行うさっぱり人の集まらない催しに気の毒がって義理で欠かさず参加してくれる友人が申しました
「GGIよ、おまえのやる集まり、いつもは淋しくて淋しくて見てられないのに、きょうはすごいなあ、暗~い映画やのに、会場はほとんど埋まっているぞ、これはいったいどうなっているんや!」
まことにその通りでありました、参加者は50人を少々超えておりました、これだけの人々が来てくれたのは、おそらく朝日さんのおかげであろうと思われます、そこで日頃苦言を呈してばっかりの朝日さんに、今夜はすなおになって心から感謝申し上げるしだいであります、もちろん毎日さんも読売さんもありがとうです、次の機会にはサンケイさんもご協力くださいな
でも少なからず辛いこともお集まりになった方々に言わざるを得ませんでした
「いまご覧いただいた映画は第七次再審請求で一度再審開始が決定されたのちこの決定が取り消された2012の時点で終わっていますが、その後2013年秋に第八次再審請求が行われました、しかしこの請求も今年5月に棄却されました、弁護団は特別抗告を行い証拠開示の請求を行っているものの、もう打つ手がないと申しますか・・・非常に困難な状況にあります・・・いったい検察側は何を考えているのでしょうか、これは私の個人的見解ですが、検察側は《いまさら88歳にもなった人物に対して死刑を執行するわけにはいかない、そうかといって冤罪であることを認め釈放するとなると検察の面子に傷がつく、ではどうするか、執行せずにひたすら獄死するのを待つしかない》と考えているに違いないと思います、なんとも残酷すぎる話です・・・・」
今夜の写真は会場の写真です、たくさんの人がきてくれたことの証拠写真であります、なんの変哲もない写真ですがGGIとしましては記念すべき貴重なものです、でもわざわざクリックしてご覧になるにはおよびません
グッドナイト・グッドラック!