先日、湖都にしては珍しい大雪が降りました、その翌日、雪の大半は溶けたものの冷たい風が吹いていました、寒い一日でしたが、わが庵のデッキにとなりのネコ君がやってきて体をまん丸にしてじっと座っておりました、こちらに背を向けて座っておりますのでネコ君がどのような表情をしているのか見ることはできません
ここでいつもながらお手数ですが写真をクリックしてご覧くださいませ、隣のネコ君です、 いつまでもじっとしておりますので、GGIは気になり、そっと声をかけました
あの~ネコ君、ちょっと話してもええか?
誰かと思ったら庵主のGGIさんですか、残念ですけれども、ボク、ちょっと今は誰かと話す気分ではないのですが・・・
どうしたんや、どこか具合でも悪いのか?
いいえ、そういうことではないのですが、実はボク、いまGGIさんの庵の枯山水を眺めながら、沈思黙考しているところなのです、ですから誰にも邪魔されたくないのです
沈思黙考?それはGGIのお得意芸やけど、ネコも沈思黙考するのかね?これは初耳や
GGIさんの沈思黙考は、ただそのふりをしているだけです、ただ無為の時を過ごしているだけで、実際には何も考えていないでしょう、でもボクのはそうではないのです、真剣に沈思して黙考しているのですから、どうか邪魔をしないでください
わかった、そやけどなあ、沈思黙考してどうするんや
悟りを開くのです、覚醒するのです、正覚に達するのです
悟り?おまえ本気か、ちょっと脳の留め金がはずれているとちゃうか?
いいえ、真面目に言っているのです
ふ~ん、そうかぁ、それならさしずめ君は禅ネコ君やなあ、むかし哲学のライオンというのがいたけど、君は哲学のネコというわけや
ボクは禅ネコかどうかなんて、そのようなことはどうでもよろしいのです、GGIさん、邪魔だからはやくどっかに消えてくれませんか
えらいご挨拶やなあ、ではすぐに退散するから最後に一つ質問させてくれ
いいですよ、一つだけですよ
では聞くけど、ネコ君、なぜ君は悟りを開こうなどと思いついたのや
ああ、それはとてもグッドクエスチョンです、GGIさん、よくぞ聞いてくれました、そのそもそもの動機は・・・・ちょっとヒトには聞かせたくないのですが・・・実は・・・
実はどうしたんや?
実はですねえ、GGIさんもご存知でしょうけれど、夏目漱石さんの小説に「吾輩は猫である」とうのがあるでしょう、ボクはあのネコに非常な疑問を感じているのです
どんな疑問や、あのネコが「吾輩は猫である」と言うのはあたりまえと違うのか?言い方がすこしエラそうかもしれんけど、ネコがオレはネコやと言ってどこが悪いのや?
そこですよ、GGIさん、そこが大問題なのです、あのネコは自分の存在に何も疑問は抱いていないのです、自分の存在に何も疑問を感じないなんて・・・それでは生きることの意味が半減どころから、激減してしまいますよ、いえ、別にGGIさんのことを言っているのではありません・・・
君は結構口が悪いなあ、でも、まあいいや、それで君は自分の存在にどのような疑問を感じているのや
お~GGIさん、まさにそれこそグッドクエスチョン中のグッドクエスチョンです、よくぞ聞いてくれました、実はですね、ボクはあの夏目さんが書いたようなアホねこではないのです、ですからある日、突然、大きな疑問がモクモクと真夏の入道雲のごとく湧いてきたのです、ボクはネコであるとしても、ボクは何ゆえネコなのであろうか?ボクは何故人間ではなくネコであるのであろうか?
それで?
それで、GGIさんの庵で、ただ手入れが悪いだけの枯山水を眺めて沈思黙考していれば悟りの境地に達して答が見つかるかもしれないと思ったのです
GGIはこのネコ君の答をきいて、こんな屁理屈コネの禅ネコ相手にしていても時間の無駄だと思い、その場を立ち去りました
グッドナイト・グッドラック!