UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

「写真はイメージです」はとても正しい・・・

2014-02-06 00:48:32 | 日記

近くの某お店の前に大きな写真がはってありました

この頃は異常気象が多くて、そのためゲリラ豪雨に襲われて、荒れた山肌が次々に山津波となって崩れ落ち、泥の濁流となって・・・・すごい迫力の写真だなあと思いながら眺めておりましたら写真の隅っこに、小さな小さな文字で「写真はイメージです」と書かれていました

ここでお手数ですが今夜の写真をクリックしてご覧くださいませ、よく見ますと、いやよく見なくても、荒れた山肌と思ったのは包丁を入れたビーフカツ、そして泥の濁流と思ったのはカレーでありました

 小さな文字であるとはいえ、「写真はイメージです」と記してあるのはなかなかフェアであります、まあ、この場合、せいいっぱい、きれいに、美味しそうに見えるように撮ったものですので、本物は必ずしもこのようなモノではないですよ、分かっておいてね、という意味でありませう、このごろ商品のPR写真にこのような断り書きが記されていることが多いようです、誇大広告と言われないようにするための防衛策なのでせうか

 ところで「イメージ」という外来語には「幻影」という意味があります、幻影というのは「まぼろし」(幻)のことです、実際には存在していないのに存在するかのように見えるもののことです、したがって「写真はイメージです」というのはとても正しい表現なのです、写真は「真」を写すものとされていますが、実は幻影を、まぼろしを写しているに過ぎないからです

 ところで幻と言えば、むかしむかし、GGIが若かりし頃、「幻影の時代」という本に遭遇したことがあるのを思い出しました

 正確には「幻影の時代-マスコミが製造する事実」という邦題の翻訳書です(原題:The Image: A Guide to Pseudo-events in America」)、米国の作家で歴史家のブーアスディンという人物が著した本です、1960年代半ばに日本でも出版されました。現代社会におけるメディアの影響を鋭く論じた名著です

 この本の宣伝文句によれば、その内容は「マス・コミが製造する事実 マス・メディアの巨大な発達とともに、革命的に変貌した欧米市民の実生活と心理的動向を解剖。疑似イベントが現実の出来事にとってかわり、実体より幻影を愛好するようになった我々の大衆文化に関する第一級の・・・」とのことです

 この宣伝文句に書かれている文言は戦後の日本にそのままあてはまることは言うまでもありませぬ、メデェアが巨大化して、イメージだけを盛んにふりまき、人々がそのイメージ=まぼろし=現実にないものに振り回されることを今から半世紀前にブーアスディンは指摘したのですが、この指摘は今でも十分に有効であります

 具体的にこの本に何が書かれていたのか、GGIはほとんど忘れているのですが、一つだけ覚えているのは、1960年の大統領選のときジョン・F・ケネディの陣営が、いかにマスコミの影響力を計算に入れて選挙の作戦を実行したかという話です

 多くの人々が熱狂的にケネディを歓迎しているように見せかけるために工夫をこらし、それをマスコミ報道させるのです、たとえば陣営の選挙参謀が指示します

 「演説会場には必ず小さめの会場を選べ、500人ぐらいの聴衆を予定する場合は、300人か400人ぐらいしか入れない会場を選べ、そうすれば会場には人々があふれて、すし詰め状態で押し合いへし合い、あたかもケネディを囲んで熱気ムンムンというような雰囲気になり、それがマスコミに報道され熱気が伝わる、しかし会場が広すぎると、結構聴衆がいても閑散としているように見えて逆効果になるぞ!」

 つまりケネディはブーアスディンがいうところの「幻影の時代」、すなわちイメージの時代のさきがけともいうべき人物でもあったのです、そして、このたびの東京都知事選に限らず、社会のいろいろな場面で、ひたすら「イメージ」を優先するこのような現象は今でも続いているというか、ますます顕著になりつつあるといってもよいでありませう・・・

 グッドナイト・グッドラック!