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透明タペストリー

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「かくれた次元」エドワード・ホール

2020-07-26 | B 読書日記

 昨日(25日)読んだ『コロナ後の世界を生きる』村上陽一郎編(岩波新書2020年第1刷)にはコロナ後の社会はどうあるべきか、社会のあり様に関する24人の論考が収録されている。建築家の隈 研吾氏は「コロナ後の都市と建築」と題し、コロナ後の都市・建築はどうあるべきか論じているが、その中でエドワード・ホールの『かくれた次元』を距離をパラメーターにした人間関係論であるとして紹介している。

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『かくれた次元』は23日付信濃毎日新聞28面に掲載された国学院大学の石井研士教授の論文でも紹介されている。この論文は掲げられている3つの見出しによって次のように要約できるだろう。「新型コロナが強いる社会距離」が「人と人との関係そのものを破壊」してしまうようだ。将来に向け、「儀礼文化の再構築」が必要だ。

石井教授は人と人との関係が今後ますます希薄化し、関係性は更に形式的なものになるのではないかとの危惧を示している。

偶々、ふたりの論者が取り上げていた『かくれた次元』をぼくは1977年6月に読み、翌1978年3月に再読している。文化の違いが人と人との距離の取り方に、さらに空間の利用に及ぼす影響について論じた本書は当時、建築を学ぶ者にとって必読書であった。

最近、ソーシャルディスタンス(*1)ということばをよく耳にする。このことばを聞いて『かくれた次元』を思い出し、上記のようにふたりの論考でも紹介されていることから、また読み直してみようと思った次第。


*1 ホールが示したのは「密接距離(intimate distance)  」「個体距離(personal distance)」「社会距離(social distance)」「公衆距離(public distance)  」以上4つの距離帯。

『かくれた次元』エドワード・ホール(みすず書房1976年第11刷)


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