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透明タペストリー

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「ルポ 軍事優先社会」を読む

2025-04-09 | g 読書日記


『ルポ  軍事優先社会 ― 暮らしの中の「戦争準備」 』吉田敏浩(岩波新書2025年)を読んだ。本書は3月22日付毎日新聞の「今週の本棚」で取り上げられ、**近年の日本政府の政策は、新しい戦争を引き寄せようとしているのではないか。そんな漠然とした不安を持つ人は、本書を読めば不安が確信に変わるだろう。** このような書き出しで紹介されていた。

本書を読み終えての感想を簡潔に言うなら、「戦争のできる国から戦争をする国へ」この国がなった、ということ。

実態を知らなかったから、「え、そうなのか」と思った記述、「やはり、そういうことなんだな」と思った記述のところに付箋を貼りながら読み進んだ。結果、付箋が何枚にもなった。その中の何箇所かを以下に載せる。**(引用記号としている)を付けてないものは私がまとめた。

アメリカからの軍事費増額(対GDP比2パーセント)要求に応えれば、年間の軍事費は約11兆円となり、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事費大国になる。(はじめに)

全国の多くの自治体が住民基本台帳から自衛官募集の適齢者の個人情報を自衛隊に提供している。本人の同意なしに。(58頁)

「安保三文書」って何、知らなかった・・・。この中身は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」。この中には「防衛産業支援法」なる法律もある。具体的な内容として、**武器輸出先の国から性能や仕様の変更・調整を求められた企業に対して、政府が助成金を交付する。**(84頁)そんなことまでしているのか・・・、知らなかった。優先的に支援すべきものは、どう考えても防衛産業、輸出武器製造企業じゃない、と思うが。

**米日軍事一体化の本質は、米軍への自衛隊の従属的一体化なのである。「安保三文書」による大軍拡、軍事費膨張の国策がもたらす軍事優先は、本質的にはアメリカ優先、米軍優先なのである。日本にとって主体性なき、主権なき軍拡、「軍事大国化」といえる。**(138頁)戦後、日本はアメリカの属国になり、80年経った今もその状態が続いているということなんだな。

**日米「指揮統制」連携の強化で、自衛隊が事実上米軍の指揮下に入れば、アメリカの戦略に日本は引きずられ、戦禍のリスクは一層高まる。**(198頁)

就任後、初来日したヘグセス米国防長官は日米防衛相会談の後の記者会見で、台湾有事を念頭に「日本は西太平洋で最前線に立つ」と表明している。自衛隊が米軍の指揮下に入ることになるのだから、こういうことに拒否できるわけがなく、最前線に立たさせられるのだろう。やはり、明らかに「戦争のできる国から戦争をする国へ」だな。

**「安保三文書」による軍事優先の国策は、新たな〝総動員体制〟を築こうとしている。その端的な表れが、自衛隊と米軍による沖縄、九州をはじめ日本各地の空港・港湾など、公共インフラの軍事利用の促進である。全国に軍事拠点を増やす企てだ。**(202頁)


2025年3月29日付信濃毎日新聞に上掲した見出しの記事が掲載された。随時掲載される沖縄タイムスの経済部長兼論説委員・福元大輔氏の記事だが、この中で長野県営松本空港に「緊急着陸」したオスプレイのことに触れている。

緊急着陸とかいっているけれど、本当は違うのではないか。有事に備えた空港チェック、データ取り等が目的だったのでは。ぼくはこのニュースを知って、そう思った。いや、上掲書によると、オスプレイは事故率が高く『欠陥機」とまで呼ばれているとのことだから(166頁)、本当に緊急着陸だったのかもしれない。それでもただでは飛び立たたず、諸データを集めたのかもしれない。

4月5日付同紙の読者投稿欄に「軍用機着陸 県は強く抗議を」という見出しの投稿が載っていた。**先日、松本空港に米軍のオスプレイが緊急着陸したというニュースが流れました。(中略)この日は偶然だったのか、高知空港にも米軍戦闘機が緊急着陸しました。なんだか、これらの動きは皆、何かの軍事作戦の一環ではないかと疑いたくなります。(後略)**

ぼくと同じように思った人が少なからずいた、ということだろう。で、投稿者はその中の一人。空港に出かけていって、かっこいいなんて、オスプレイを撮っているようでは困るぜ。


 

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