透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

路傍の馬頭観音

2024-05-25 | B 石神・石仏


長野県朝日村西洗馬にて 2024.05.24

 Y字路に馬頭観音が何体も祀られている。前側に馬頭観世音塔、後ろ側に文字塔。散在していたものを一カ所にまとめて祀ったもの。




頭上に馬の頭を置く像。右側に弘化二巳九月と、建立年が刻まれている(1845年)。穏やかな顔の観音さま。


上と同じく頭上に馬の頭を置く像。

馬頭観音について『安曇野  道祖の神と石神様たち』西川久寿男(穂高神社 発行 第1刷1987年、第2刷1990年)から得た知識もかなり薄れてきているので改めて読み直した。以下引用は同書から。

観世音菩薩は阿弥陀如来の脇侍。**来世において理想が実現する阿弥陀仏の救いとは対照的に、観世音菩薩の救いは極めて現世の利益と結びついているためか、中国・日本には古くから、観世音菩薩が救ってくださった物語が多く作られています。**(119,120頁)

六観音の一つである馬頭観音は六道のうちの「畜生」を教化する観音さま(*1)。ちなみに「餓鬼」担当は千手観音。また、お地蔵さまが六体並ぶのは六道にそれぞれ対応しているから。

**時代が下るにしたがって簡単になり、宝冠をつけるかわりに馬の像を置く像が多くなっています。**(123頁)

**「馬頭」ということからでしょうか、次第に馬の神様として崇められるようになり、馬が死ぬと供養のために石像や文字塔が建てられたり、運送業者や馬持仲間が、馬の無病息災を願ってこれを建てたりしました。このように馬頭観世音の信仰は、後世になるほど次第に本来の性格からはなれて、民間信仰の中に生きる石仏に変わっていったといえます。**(123頁)

路傍に祀られていてよく目にする道祖神や二十三夜塔、馬頭観音、庚申塔などの石神・石仏について調べてみるとそれぞれなかなか奥が深い・・・。


*1 このことについてある方からコメントをいただいていた。


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