透明タペストリー

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だれが日本を養うのか?

2024-07-24 | A 読書日記


『食料危機の未来年表 そして日本人が飢える日』高橋五郎(朝日新書2023年)を読み終えて、ふと昔読んだ本のタイトルが浮かんだ。その本を自室の書棚から取り出してきた。『だれが中国を養うのか?』レスター・R・ブラウン(ダイヤモンド社)という本で、巻末に発行年が1995年と記されている。30年近く前に読んだ本だ。このタイトルに倣って、記事のタイトルを「だれが日本を養うのか?」とした。


『だれが中国を養うのか?』の章及び節の見出しはそのまま日本に当てはまる。「縮小する耕地」「限界にぶつかる土地生産性」「拡大する穀物不足」「穀物を求める競争」「食料不足の時代が始まる」・・・

スーパーマーケットで買い物する時、産地を確認すると多くが外国産だ。魚、肉、大豆製品、小麦製品・・・。日本は食料を自国で賄うことができず、輸入に頼っていることはみんな知っている。国産にこだわろうとすると品数は少なく、高価だ。

『食料危機の未来年表』を読むと、サブタイトルの「日本人が飢える日」が決してあり得ないことではないのだなと思う。序章に掲載されている未来の飢餓年表によると、2020年の世界の飢餓状態人口は17億3,800万人(世界の人口78億500万人)となっている。実に世界人口のおよそ22.3%、5人に1人が飢餓状態にあることになる。そして2100年には5人に2人が飢餓状態になることが予測され、同表に示されている(世界の飢餓状態人口43億2千万人/世界の人口103億6千万人)。

著者が示すカロリーベース食料自給率は18%で、農水省が示す38%を下回っている。どちらのデータを採るにせよ、日本は食料自給率が低いことに変わりはない。著者の試算による各国の食料自給率(カロリーベース自給率(全穀物・全畜産物)2020年)を見ると、日本は128位(182国中)となっていて、「隠れ飢餓」状態にあると指摘している。

著者は**危機感を煽るようなことは避け、真に国民が知るべきことはなにかということについて、原点に立ち返って考えてみることにしたのである。**(67頁)と記しているが、本書読むと、「日本の現状、まずいなぁ」と思う。

農水省のホームページに載っている食料・農業・農村基本法の第2条には国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。とあるんだけどなぁ(太文字化は私がした)。

国際社会が協力してこの問題に取り組まなければならないのに、戦闘機の共同開発なんかしている場合か。