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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「澪標」

2022-05-16 | g 源氏物語〇

「澪標 光君の秘めたる子、新帝へ」

 全54帖(54巻)の長編小説『源氏物語』、14帖「澪標」まで読み終えた。

光君が帰京した次の年の二月に朱雀帝譲位、冷泉帝即位。三月、明石の君に女の子誕生。父親の光君、明石に乳母(めのと)を遣わす。その秋、光君住吉神社参詣。いくつもの願いを叶えてもらったお礼参り。そこで偶然にも明石の君一行と出会う。だが明石の君は言葉を交わすことなく去る。**ふつうの大臣などの参詣の時とは比べものにならないほど格別に奉仕したことだろう。明石の女君はいたたまれない思いで、このような人たちに交じって、取るに足らない自分が少しばかりの奉納をしても、神のお目に留まることもなく、人の数にも入れてはくださらないだろう、(後略)**(466頁) なにもここまで自分を卑下することもないと思うけれど、性格なんだろうか。

御代替わりに伴い、あの六条御息所が前斎宮と帰京する。また一波乱あるのでは、と読み進むと・・・。なんと御息所は急に重い病にかかり出家してしまう。で、娘の前斎宮を光君に託し、娘に手を出さないでくださいね、と言い残して亡くなる。この後、光君は前斎宮を養女にする。そして藤壺の宮と相談して養女を冷泉帝(自分の息子)の妃にしようと考える、朱雀院が彼女にぞっこんなことを知りながら。光君から相談を受けた藤壺の宮は次のように答える。**「(前略)朱雀院のお気持ちを思うと、畏れ多いことでありますし、お気の毒でもありますけれど、御息所の遺言にかこつけて、院のお気持ちには気づかなかったふりをして、入内をおさせになったらいいと思いますよ。(後略)」**(476頁)藤壺のシビアな判断。

『源氏物語』は単なる恋愛小説ではなく、政治的な背景があるということだろうが、なかなかそのようなところまで読み解くことは難しい。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

コメント
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