透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

特異な姿 洗心亭

2022-02-04 | A あれこれ

 立春、名のみの春。平日のそれも昼食にすき焼きを食すなどという贅沢とは無縁な身だが、昨日(3日)その機会があった。そう、昼食に長野のすき亭ですき焼きを食した。りんごで育った信州牛は美味であったが、食レポは資格なし故、略す。

すき亭別館の洗心亭について。

女将さんと思しき方からいただいたリーフレットによると、この建物は明治21年(1888年)、渋温泉(山ノ内町)に建設された大湯(公衆浴場)で、多くの浴客に愛されれたという。昭和36年(1961年)、鉄筋コンクリート造で改築されることになり、木造の大湯は解体撤去されることになっていたが、篤志家が払い下げを受け、保存してきたとのこと。その後、昭和48年(1973年)にすき亭の前庭に移築復元された。その際、浴場は茶室に改修されている。店員さんに訊けば見学可とのこと、食事の後、見学させていただいた。




湯気出しの櫓の壁面は塞がれている。繰り返しの美学な軒下の持ち送りが外観上の特徴でなんとも魅力的だ。持ち送りは単なる飾りではなく、梁の補強の意味もあるだろう。多雪地域で軒にも雪の荷重がかかるので。


重厚な唐破風 


懸魚 松に鶴。


茶室の扁額「水月」


蹲踞 左に湯桶石、右に手燭石、それから前石


平六畳の茶室 畳は床差し敷。天井には蛭釘、その向きから流派が裏千家だと分かる。 

このように建築文化が大切に守られているのは嬉しい。