■ 信濃毎日新聞の2月16日付朝刊文化欄に人類学者・磯野真穂氏の「生活の仮想空間への移行に危機感」という見出しの論考が掲載されていた。この論考のキーワードは「メタバース」。
論考を読んで次の件(くだり)にサイドラインを引いた。
**私たちの身体の捉え方、感じ方も、言葉に合わせて変化してゆくということだ。言葉は言葉のみでは止まらず、現実の実感を変えてゆく。**
**人類学者のメアリー・ダグラスが、社会のイメージは身体に反映されると述べたように、理想とされるIT機器のイメージは私たちの身体に当てはめられる。** なるほど確かにスペックが高い人などと言うようになった。
**身体の「デフォルト(初期設定)」は両親からもらったそれではなく、自分が描く理想のそれとなってゆくはずだ。生まれ持った身体はその理想に向けて、あらを削られ続ける対象と化すのである。**
**メタバースは、かつてなく自由なようで、最も管理された世界であることは知っておくべきだろう。なぜならメタバースは見えない誰かによって常に整備され、監視された世界であるからである。** 見出しの「生活の仮想空間への移行に危機感」はこの警告的指摘に因るのだろう。
この記事のようにメタバースという言葉がメディアに出るようになったが、どのような意味なのか、どのような世界なのか全く知らない。
書店で『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』岡嶋裕史(光文社新書2022年)を目にして、買い求めた。全く無縁な世界とも言い切れないように思うので読んでみようと思った次第。朝カフェで読み始めた。
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