■ 10月は自著『あ、火の見櫓!』の出版に伴い何かと用事があり、読書にあまり時間が割けなかった(と言い訳をする)。
『道が語る日本古代史』近江俊秀/朝日新聞出版
**古代国家の誕生から終焉までの五〇〇年間を道路を軸に読み解く。** 帯に本書の内容が簡潔に示されている。
直線で広いものは幅が30メートル!もある舗装道路があったことについては既に類書を読んで知っていた(過去ログ)。
七道駅路が現代の高速道路と類似することを図で示されると驚く。西海道と九州自動車道・長崎自動車では古代の駅家とインターチェンジの位置がほぼ同じだということも図示されている(189頁)。
教科書で学ぶ歴史というのは、その総体の一面的な歴史像に過ぎないということが本書などを読むと分かる。総体を把握するためには様々な観点から書かれた歴史書を読むことが必要だ。歴史にそれ程関心があるわけではないが、これからも読んでいきたい。
『ベストセラー伝説』本橋信宏/新潮新書
昭和時代を生きてきた私にとって、馴染みの本が少なくない。取り上げられている本の裏事情あれこれは興味深い。
『カッコいいとは何か』平野啓一郎/講談社現代新書
新書にしては分厚く、477ページもある。ちなみに 『ベストセラー伝説』は222ページ。
そうか、カッコいいということばがあったな。『あ、火の見櫓!』ではカッコいいは使わなかったな、と本書を目にして思った。
「カッコいい」とは何なのか、著者はこのことばについて様々な実例を示して論じている。語源というか、元になっているのは「恰好が良い」ということば。このことばは使える対象が限定的だが「カッコいい」はあらゆる(でもないのか)、多くのジャンルで理想的なもの、状態を示すことばとして使われている。新書でも理系本と比べると冗長気味、このように感じてしまうのは作家の論考故、仕方がないのかな・・・。