■ 松本 中町の蔵
蔵の壁面に開口部を設けて、そこに扉を付けるとなると結構費用がかかるだろう。**現在では一枚の扉に二千万円かかるという人もある。**と『民家のデザイン』川島宙次/相模書房にある。まさか、まさか。でも一体どの位かかるものか見当もつかない。百万? 二百万? 今度調べてみよう。
土蔵に限らないが壁という単一のシステムでつくるならば、施工はしやすい。が、そこに窓をつくるとなると、途端に難しくなる。更にそこに扉をつけるとなると施工の難易度は増す。
扉につけられた「ぎざぎざ」と枠につけられた「ぎざぎざ」(名称が分からない)がピッタリ合うように精度よくつくらなくてはならない。左官屋さんの腕の見せ所だ。下地を作る大工さんにも高い技術が求められる。
この蔵のまぐさには何も装飾が施されていない。裏日本の蔵はここに装飾が施されている例が多いと先の本には出ている。
開口部廻りはこの位のデザイン的な処理が好みだ。
■ 追記
「ぎざぎざ」と重ね合わせるシステムを「掛子」という、と教えてもらった。観音扉の召し合わせ部をぎざぎざにしっくいなどで塗ることを「掛子塗り」ということ、さらにこの写真のような扉を「掛子塗り戸」ということを事典を引いて知った。Y君に感謝。