とだ九条の会blog

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「思いやり予算」=軍事費を削ってくらしにまわせ(6)

2008年11月30日 | 国際・政治

一昨日に引き続き、安保破棄中央実行委員会発行のブックレット『思いやり予算と米軍天国』からその概要を何回かにわたってご紹介させていただきます。(文責:サイト管理者)

<バーやゴルフ場などの基地従業員給与も「思いやり」>
「思いやり予算」が使われているのは、基地施設ばかりではありません。米軍基地に勤める基地従業員の給与・手当てまで「思いやり」です。

現在、在日米軍で働く日本人従業員は2万5376人(2008年2月現在)、1335の業種があり、「駐留軍経費特別協定」ではこのうち2万3055人分の「労務費」を全額日本が「思いやり予算」で負担しているのです。
1951年に日米両政府によって合意された「労務基本契約」では、基地従業員は日本政府が雇用するものの、その経費は日本の事務管理費を含めて、全額米国政府が負担するとされていました。それが、1978年の「思いやり予算」で福利厚生費の負担を肩代わりして以来、1987年の「特別協定」では退職手当・扶養手当・通勤手当・住居手当・夏季手当・年末手当など「2分の1負担」になり、1991年には新たに基本手当などの諸手当の「全部または一部を負担できる」とし、1995年にはついに「労務費」の全額を日本側が負担することになってしまったのです。

基地従業員の中には、バーテンダーやゴルフ場従業員、ケーキデコレーターや観光ガイドなるものまでも。駐留米軍の基地従業員の「労務費」を負担している国は他にもありますが、「労務費」を丸ごと大盤振る舞いして負担しているのは日本だけだといいます。
これらの負担総額は2008年度予算で1463億円にのぼっています。

(つづく)

【出典】『思いやり予算と米軍天国』(2008年10月発行、安保破棄中央実行委員会刊、頒価400円)より

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米軍武装兵士輸送が大半のイラク空自の撤収決定

2008年11月29日 | 国際・政治

浜田靖一防衛相は11月28日、イラク特措法にもとづきイラクで米軍の支援をしている航空自衛隊の撤収命令を下しました。
このことから空自部隊の撤収は一部を除いて年内に実施されることになります。

これは9月12日付け当ブログでも紹介しましたが、米軍はもとより多国籍軍など同盟国のイラクからの撤退が相次ぐとともに、外国軍のイラク駐留を根拠づけた国連安保理決議がこの12月で終了することが確定的となったこと、さらにはアメリカがイラクと取り決めた米軍駐留のための地位協定が自衛隊の駐留継続の根拠にならないことから、撤収に追い込まれたものです。
これにより、南部サマワに駐留していた陸上自衛隊(延べ約5700人)の2006年7月の撤収に続き、約5年間にわたった自衛隊のイラク派兵は終了します。

自公政権は、イラク戦争が始まってまもない2003年7月に、米軍主導のイラク軍事支配を支援するためイラク特措法を強行し、同年12月から自衛隊派兵を開始。小泉首相(当時)は、「自衛隊がいくところが非戦闘地域」などと詭弁を展開し、戦後初めての「戦地」への派兵という重大な過ちを犯しました。

この間、空自部隊は、約200人の隊員とC130輸送機3機がクエートのアリアルサレム空軍基地に駐留して、同基地を拠点にイラクの首都バクダッド、さらには北部のアルビルまで活動範囲を拡大し、武装米兵などの空輸を主任務として、米軍の武力行使に直接加担してきました。派兵人員は延べ約3500人、空輸回数は810回、貨物の重量は671トンに及びます。2006年7月以降の輸送人員の7割以上は武装米兵です。

そもそもイラク戦争は、フセイン政権が「大量破壊兵器を持っている」とウソを言って、アメリカが強行した国連憲章違反の先制攻撃であり、大義も道理もない無法な戦争です。NATO(北大西洋条約機構)加盟国を含む世界の圧倒的多数の国々が開戦に反対したにも関わらず、小泉自公政権(当時)は戦争放棄の憲法を踏みにじっていち早く開戦を支持し、米軍支援を決定、「大量破壊兵器はなかった」と米国が過ちを認めた後も、米軍に追随し、戦争支援を続けた日本政府の態度は重大です。

今年4月に画期的判決が下った名古屋高裁での自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟判決が示すように、米軍への空自の空輸支援が憲法にもイラク特措法にも違反していたことは誰の目にも明らかであり、侵略戦争美化の論文発表で更迭された田母神空幕長の「そんなの関係ねぇ」との暴言や福田康夫首相の「裁判のためどうこうする考えはない」、町村信孝官房長官の「(空自の活動に)何ら影響を与えるものではない」「こういう傍論を認めるものではない」、高村正彦外相の「後生大事にする必要もない。裁判所が傍論でそういうことを書いたという事実はあるから、外務大臣をやめて暇でもできたら読んでみますよ」などとの政府要人の暴言の数々に現れているように、判決を無視し、撤収を拒んできた政府の態度は、二重の意味で厳しく問われなければなりません。

政府はイラクから空自部隊を撤収させる一方で、インド洋上での自衛隊の給油活動を認める「新テロ法延長法案」の強行にやっきになっています。
このようにアメリカの戦争支援の拡大を許せば、アメリカが求めるアフガン本土への「ヘリ部隊派遣」や戦費負担の拡大などにも道を開くことになります。
政府はイラクから撤収するだけでなく、アメリカの戦争支援の要求を断って、今こそあらゆる戦争支援から手を引くべきです。

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「思いやり予算」=軍事費を削ってくらしにまわせ(5)

2008年11月28日 | 国際・政治

昨日に引き続き、安保破棄中央実行委員会発行のブックレット『思いやり予算と米軍天国』からその概要を何回かにわたってご紹介させていただきます。(文責:サイト管理者)

<小・中学校も、レクリェーション施設も超豪華>
「思いやり予算」で至れり尽くせりの「提供施設整備費」は住宅だけではありません。米兵の子弟のための小・中学校や米兵のためのレクリェーション施設も、超豪華です。
米兵の子弟のための小・中学校は、国防総省基準で1学級20~25人。嘉手納基地に新設された生徒数約600名の学校は面積16万1800平方メートル、400mトラック、フットボール場、ソフトボール場、バスケットコート2面、テニスコート2面、プールなど設備のある総工費40億円というもの。同規模の日本の小・中学校と比較しても、面積は6倍、整備費用は2倍です。

また、米兵のためのレクリェーション施設も破格の豪華さです。横須賀米軍基地内の「艦隊レクリェーション・センター」は5階建てで、総面積2万8000平方メートル。ウエイトトレーニング室はもちろん、スカッシュコート、バスケットコートなど24時間いつでも使用できるとのこと。
全国の米軍基地49ヵ所に建設された野球場や体育館などは総額348億円。長崎県・佐世保基地に建設中の体育館は国立代々木競技場の第一体育館よりも広いというのですから、開いた口がふさがりません。それらもすべて「思いやり予算」という日本国民の血税なのです。

<米軍戦闘関連施設も>
日本政府は「思いやり予算」が始まった当初は、これが「非戦闘関連施設に限定」と言い訳していました。しかし、米国政府の強い要求に、米軍の「戦闘能力向上」の施設建設に乗り出し、1987年には青森・三沢米軍基地にF16戦闘攻撃機の「対爆撃シェルター」の建設をすることを合意しました。
米国政府が「堅固な戦闘機シェルターのような直接戦闘作戦施設が『施設改善計画』に含まれてきた」と歓迎しているように、「思いやり予算」の使われ方は米軍の戦闘能力強化のための予算にほかなりません。

(つづく)

【出典】『思いやり予算と米軍天国』(2008年10月発行、安保破棄中央実行委員会刊、頒価400円)より

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「思いやり予算」=軍事費を削ってくらしにまわせ(4)

2008年11月27日 | 国際・政治

少し間隔を空けてしまいましたが、前回(10月27日付け)に引き続き、安保破棄中央実行委員会発行のブックレット『思いやり予算と米軍天国』からその概要を何回かにわたってご紹介させていただきます。(文責:サイト管理者)

<「提供施設整備費」に2兆円>
「思いやり予算」のひとつ「提供施設整備費」は362億円(2008年度予算額)。これは米軍基地内の施設の改築・新築に関する基地増強計画費です。米軍基地は日本にとってそもそも必要ないので、とっとと出て行ってもらいたいものですが、たとえ日米地位協定下でも、これなどはもともと米国政府の負担でやるべきものではないでしょうか。事実、「思いやり予算」が開始される1978年以前はすべて米国政府自身が負担していたものです。

「思いやり予算」で建設された在日米軍基地の施設は、米軍住宅、米兵用の隊舎、小・中学校、教会、司令部施設、運動場、レクリエーション・娯楽施設‥‥など、ありとあらゆる施設。その額、29年間でなんと2兆923億円です。
これらは、日米地位協定第25条で設置された「日米合同委員会」で決定します。そこで決定された施設整備計画を「防衛」予算で実行しているだけといいます。つまり、「思いやり予算」の中身を決めているのは、すべて米国政府と米軍だというわけです。

「思いやり予算」で建設された米軍住宅は、約30年間で基地内に1万1295戸。総額約5459億円。1戸あたりの平均価格は土地抜きで約4830万円。東京との都営住宅建設費が1戸あたり約1120万円といいますから、破格の豪華さです。
このうち、米軍司令官用の住宅ともなると、面積は243平方メートル、寝室は4つ、浴室は3つ、32畳のリビング、18畳のダイニングと超豪華版。
将校クラスの高層住宅でも137平方メートル、24畳のリビングの高級マンションです。
それをただで使っているということを住宅事情に苦しむ日本国民は知っているのでしょうか。

(つづく)

【出典】『思いやり予算と米軍天国』(2008年10月発行、安保破棄中央実行委員会刊、頒価400円)より

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田母神元空幕長問題の本質

2008年11月26日 | 国際・政治

田母神(たもがみ)俊雄元航空幕僚長が、いくら個人的論文として民間の懸賞論文に応募し、「日本が侵略国家だというのは正に濡れ衣」などという私的見解を表明しただけだといっても、応募した肩書きが現役の「防衛省航空幕僚長 空将」である以上、私たち国民としては大いなる危惧を感じざるを得ません。

さらに、その内容が、「(自衛隊は)集団的自衛権も行使できない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている」などという言葉をもって“雁字搦め(がんじがらめ)”だと不満を述べ、近現代の歴史を「見直す」としているのですから、それは「集団的自衛権を行使したい、武器も制約なく使用したい、攻撃的兵器も保有したい」というのが現役防衛省航空幕僚長の“本音”であると思うわけです。
結局のところ、これは近現代史議論などではなく、自衛隊を軍隊として質的強化を図りたいということなのです。

今回、特に重大な問題だと思うのは、政府が「憲法の枠内」としてきたことを超え、さらには日米安保の枠を超えてまで制服組トップが自衛隊としての質的強化を願っているということです。これでは文民統制(シビリアンコントロール)への重大な造反であり、「活字」の上といえども、組織だった取り組みが意識的に行われたのですから“自衛隊クーデター”と指摘される所以です。

田母神氏は「制約ばかり」と言いますが、これまで政府は、国民の合意をないがしろにし、自衛隊の海外派兵など「憲法の枠」を大きく逸出した憲法解釈でさまざまな既成事実を積み重ねてきました。
これに対し、自衛隊のイラク派遣を政府の憲法解釈の土俵をもってしても“違憲”だと断じたのが名古屋高裁の画期的判決でした。政府は「グー」の音も出なかったのです。
だからこそ、田母神氏は非常に痛いところを突かれたのか、この判決に対し「そんなの関係ねぇ」と茶化し居直ったのです。

田母神氏の論文発表前に政府が何ら手が打てなかったこと、また発覚後も田母神氏を厳しく問えないことなどは、文民統制すべき自民党政府が、侵略戦争を美化し、正当化する歴史修正主義的な考えでいるからに他なりません。
したがって田母神氏を問いただせないし、田母神氏も「(自分の考えは)二人の首相から支持されている」などと居直っているのです。この二人、森喜朗元首相と安倍晋三元首相が、共にその特異で危険な「歴史観・国家観」によって国民の批判を受け、短命で失墜したにも関わらずにです。

このような政府の態度では、いくら田母神氏を更迭しても、自衛隊はもちろん「靖国派」国会議員などに潜む戦前の「歴史観・国家観」の根本を正さない限り、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こる(憲法前文)」恐ろしい時代へ逆戻りしてしまうでしょう。

そうしないためにも、田母神元空幕長問題を決してうやむやにして幕引きをさせてはなりません。

【資料】『日本は侵略国家であったのか』田母神俊雄(防衛省航空幕僚長 空将)=「tamogamironbun.pdf」をダウンロード

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