とだ九条の会blog

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「埼玉県知事よ、おまえもか」

2006年06月30日 | ニュース
「この出入証を見てください。『慰安所』は日本軍と関係なかったとは言わせません」と語るのは、「しんぶん赤旗」社会部取材班が元日本兵の証言の数々を取材し一冊にまとめた『元日本兵が語る「大東亜戦争」の真相』の一証言です。千葉県に住む松原勝さん(81歳)が、西太平洋のトラック諸島に浮かぶ夏島(現デュプロン島)にあった二つの「慰安所」のうちの一つ『南国寮』に出入りできる出入証を手に告発しました。出入証には海軍の発行を証明する赤い二重の波線が確かにあり、「慰安婦」の存在は日本政府も認めた事実です。
松原さんが『南国寮』の存在を知ったのは、1943年11月。高床式の建物で、長い廊下の両脇に十ずつ部屋があり、突き当りにはトイレがあって、部屋には番号がついていて「慰安婦」にされた女性たちが一人ずつ入れられていたそうです。島には100人以上の「慰安婦」がいて、その7割が朝鮮半島から連れてこられた女性、3割は日本人だったといいます。誰もが「高級将校のメイドとして雇う」とか「レストランの給仕にしてやる」と騙されて無理やり連れてこられたということでした。一日十数人もの相手をさせられていたといい、凄惨な境遇でした。

その“歴史の事実”に「古今東西、『慰安婦』はいても『従軍慰安婦』はいない。兵のいるところ(『慰安婦』が)集まって来たり、兵を追いかけて民間業者が連れていったりするのであって、軍そのものが連れて行くなんてことは絶対にない」とのうのうと発言した知事がいます。わが埼玉県の上田清司知事です。6月27日の県議会本会議で自民党の小島信昭議員の一般質問に答えたもの。
さらに小島議員が「県立歴史と民俗の博物館」と「県平和資料館」の展示内容について質問したのに対し、「『従軍慰安婦』について間違った記述があるので、修正しなければならない」と答弁しました。
日本政府は1993年8月、河野洋平官房長官《当時》が談話を発表し、『慰安婦』問題については、日本軍の関与を認めています。上田知事はこの政府見解をどのように認識しているのでしょうか。

また、この質問をした小島議員(自民党)は、自分が来賓として出席した県立高校の卒業式で「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱について起立・斉唱しなかった教師がいたとし、「心無い教師の行動で、神聖で感動的な卒業式が台無しになった。公の式典で反対の意思を示すばかりか、他の出席者に“歌うな”と言わんばかりの行動は、他の出席者の“内心の自由”を侵している」と非難。東京都などを例に「違反者には厳しい対応を」と的外れな主張しました。これに対し、県の島村和男教育長は、「厳粛な儀式にふさわしくない行動をとった者に対し、状況によっては処分を視野に入れて対応を検討する」と同調する答弁をしました。

なんたることでしょうか。戸田市でも民主党の高橋秀樹市議の同様の不起立問題で「教育委員会は保護者・来賓をどう指導しているか」との質問に対し、伊藤良一教育長が後で発言を撤回したものの「腹が煮え繰り返る」と暴言をはいた上、「(起立しなかった来賓を)調査する」と答弁したばかりです。
「埼玉県知事よ、おまえもか」――ついに来るところまで来たという感じです。
上田知事も島村教育長も発言を撤回すべきです。

※『元日本兵が語る「大東亜戦争」の真相』「しんぶん赤旗」社会部取材班:編(日本共産党中央委員会出版局:刊)定価:400円(本体381円+税)


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9・11と米軍再編、そして改憲問題(その3)

2006年06月29日 | 国際・政治
<9・11後、米軍再編はどう変わったか>
9・11同時多発テロ以降、米国は明らかにそれまでの軍事的な戦略を変更します。
岩波ブックレットから出ている『米軍再編――その狙いとは』(梅林宏道=著)などを参考に見ていくことにします。

現在、問題となっている米軍再編問題とは、単に米軍基地の再編ということだけではありません。
「日米同盟―未来のための転換と再編」(2005年10月)という米軍再編についての重要文書にもあるように「転換」と訳した「トランスフォーメーション」とは、根本的な変化を表す言葉。つまり日米同盟の根本的変化をめざしてツー・プラス・ツー(米国の国務・国防長官と日本の外務・防衛大臣)は協議を続けたわけで、それは米軍の再編や米軍基地の再編だけでなく、自衛隊再編、さらには有事法制に絡む民間協力再編をも転換をするということにほかなりません。
実際、テロ対策という論理に引きずられ、小泉政権は国民への何の説明責任も果たさずに日本を新たな方向へ進めようとしているのです。

米軍が大掛かりな世界的再編に乗り出した理由として2つの背景があるといいます。
1つはクリントン政権によって1997年作られた「米軍トランスフォーメーション」の長期的な流れからであり、もう1つは、ブッシュ政権が始めた「テロとの戦争」から発した短期的な必要性からです。
第一の背景である「米軍トランスフォーメーション」では、クリントン政権はIT技術(情報技術)の発展から新しい戦争の形が必要との認識にもとづき、陸・海・空・海兵隊の「統合軍」こそが基本と考えていました。特に21世紀戦略として「不確定な未来の脅威に対する準備」を掲げました。
この戦略はブッシュ政権にも引き継がれるのですが、アフガニスタンやイラクでの「対テロ戦争」で現在の米軍の世界的な配置が21世紀の戦争に適さないことを実証してしまいます。つまり、米軍再編前の2002年現在、米軍は海外に17万5千人の軍隊・70万2千エーカの基地を配備していたのですが、その海外米軍の95%、海外基地の51%が、西ヨーロッパと東北アジアに集中していました。特にドイツ・日本・韓国の3ヵ国だけで海外配備米軍のなんと81%におよぶといいます。このことが、「対テロ戦争」などへの準備としての21世紀戦略にとって機敏な行動が取れない態勢であって「適切ではない」という認識が、米軍再編の第二の背景として挙げられたわけです。

このように、世界的な米軍再編は「対テロ戦争」を背景として、加速されることになります。
西ヨーロッパや東北アジアの基地には、前方に兵力を展開するための跳躍台としての役割、あるいは「ハブ基地」(ハブ=車輪の中心部分。中心、中核という意味)としての役割を担わせようというのです。
2004年6月に米下院軍事委員会においてファイス国防次官が『ファイスの5原則』なるものを言っています。それによると米軍は、①同盟国の役割を強化する、②不確実性と戦うための柔軟性を高める、③地域内のみならず地域を超えた役割をもたせる、④迅速に展開する能力を発展させる、⑤数ではなく能力を重視する、という5原則です。
特に①は、米軍再編が同盟国と米国の共通の利益のために行われるのだから、同盟国自身も変わって欲しいということです。

しかし、この5原則、特に③や④は日米安保体制と相いれない内容になっています。日米安保条約第5条では、在日米軍の任務は「基地を置いている場所」、つまり日本の領域の防衛にあたることと規定していますし、第6条(いわゆる「極東条項」)は、日本の領域外に展開する場合も、「日本の安全と極東の平和と安全」のためという目的に限定しています。さらに、第6条に関する交換公文において、米軍が日本の基地から日本の領域外へ戦闘作戦行動を行うときには日本政府と事前協議をしなければならないと定めているのです。これらの条項は言うまでもなく、日本の憲法第9条と密接につながって存在しています。
このように、今回の米軍再編の論理は、日米安保と矛盾する論理になっているのです。(つづく)


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9・11と米軍再編、そして改憲問題(その2)

2006年06月28日 | 国際・政治
なぜ「反米テロ」が起こったのか、その理由の第二に、軍事的な理由として、次の4点を指摘します。

①第1点は、軍事費の増大です。
大部分の国は冷戦が終った後で軍事予算を削減したが、軍事予算を増やしたのは日本、それ以上に米国だった。特にブッシュ政権になってから増大が激しく、米国一国の軍事予算が、ヨーロッパの何十という国々の軍事予算を全部足したより多いという状況になった。軍事費が増えると、問題を戦争で解決したいという傾向が強くなると指摘します。

②第2点は、軍事技術の進歩です。
軍事技術の進歩が、米国の暴走を助長する点のひとつとしてなかったかと加藤周一さんは指摘します。

③第3点は、核兵器です。
核兵器の中でも問題となっているのが、NMDとTMD。NMDは米国をミサイルから守る「全米ミサイル防衛」。一方、TMDは紛争のある狭い地域でのミサイル防衛「戦域ミサイル防衛」のこと。万一、ロシアが米国に核弾道ミサイルを発射したらどうなるか。米国は大打撃を受けますが、米国も報復すると思いますからロシアも大打撃を受ける。場合によっては両方滅びてしまう可能性があります。そこで、米国とロシアの間にはABM条約といって弾道ミサイルに反対し、これを打ち落とすためのミサイルを制限する協定があるのですが、米国はこれを単独脱退しようとしています。このNMDとは敵国がミサイル攻撃した場合の防御装置だというのですが、もしその防御装置が米国で完全にできれば、それは防御装置を持っている米国が先制攻撃をするという可能性が広がるわけで、相手国から言えば先制攻撃される危険性が増します。対抗手段はすぐに核軍備競争となります。こうした米国の核問題に関する自分勝手な言動も問題だと指摘します。

④第4点は、米国が最近言い出した「先制攻撃」です。
「悪の枢軸」と名指しされたイラク・イラン・北朝鮮に加え、リビア・シリア・ロシア・中国の7ヵ国を想定し、場合によっては核の先制攻撃もあるかもしれないという恐ろしい話があります。そこには米国がすることは全部正しいとする身勝手な論理があります。

なぜ「反米テロ」が起こったのか、その理由の第三は、政治的な理由としてです。
今、政治的に起こっている非常に大事なこととして“ユニラテラリズム”といって、他国に相談しないで国際問題を米国一国だけで決めるということです。何かするときに、国連とか安保理とか、同盟国にも相談しないで強引に行うという考え方が強くなっている。
京都議定書の時も米国は初めは署名したものの、後で議定書を無視しましたし、国際司法裁判所も米国だけが反対――これらがユニラテラリズムの表われだといいます。

こうした、経済、軍事、政治の3つの側面で、それに虐げられる弱い国々の米国への不快感が強まり、反発となってテロとなって起こったと加藤氏は指摘します。(つづく)


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9・11と米軍再編、そして改憲問題(その1)

2006年06月27日 | 国際・政治
改憲の策動をさして、よく「歴史に逆行している」と言うことがあります。今の日本国憲法を大日本帝国憲法のように国民に責務ばかりを押しつける内容の自民党「新憲法草案」に変えるなら、それは確かに内容的には「逆行している」と指摘することができます。しかし、日本国憲法が確定したその時から、実は今の自民党の先輩たち支配層は、一刻も早く「改憲」することを狙って「歴史に順行して」策動を拡大し続けてきたのです。
アメリカも初めはポツダム宣言の完全実施を推進すべく連合国代表として軍国主義日本に民主主義を植え付ける一定の役割を果たしましたが、中国や朝鮮半島をめぐる新たな事態の中で、日本を反共の防波堤にすべく安保条約を結び、警察予備隊の編成替えからはじまって自衛隊の増強、日米軍事同盟の一層の強化を日本に迫ってきたわけです。

こうした戦後の歴史の中で大きな節目となった事件の一つに1991年のソ連崩壊があります。ソ連崩壊により、いわゆる米ソの冷戦が終り、アメリカ一国主義が強められます。そして、そうした中で2001年「9・11同時多発テロ」が起こります。この日を境にまた新たな米国の世界戦略が始まったと言ってもいいでしょう。


今回は、何回かに渡って、この「9・11同時多発テロ」と、いま問題の米軍再編の関係、そして改憲問題との関係について考えてみたいと思います。

「9・11同時多発テロ」はあまりに衝撃が強く、テレビに映し出される映像に恐怖感を覚えたものです。ブッシュ大統領に第二次世界大戦で日本軍が奇襲したパールハーバーを想起させたかどうかは定かではありませんが、ブッシュが「テロとの戦争」と言ったほど、それは米国にとってもショックだったに違いありません。
しかし、その衝撃の強さに比べて、未だに誰が本当の犯人か、何が理由で何を目的としてやったのか、またその「テロ」勢力と思われる一味をかくまったり、かばったりした国は同罪とみなすなどいう乱暴でヒステリックな言動は一体何だったのか、冷静に考えてみるとよく分かりません。
もちろん「テロ」を擁護するつもりもありませんし、「テロ」は決して許されるものではありませんが、その「テロ」を掃討するという名目で罪もない子どもや女性などイラクの一般市民を殺戮する米国の「正義」がわかりません。

「九条の会」呼びかけ人のひとり、加藤周一さんは2002年4月に山口県で行われた講演会「『9月11日』のかなた」で次のようなことを指摘しています。


<なぜ反米テロが起こったのか>
「同時多発テロ」は「同時多発」が問題ではなく、本質は「反米テロ」だということです。
実際に攻撃を受けたのは、①ニューヨークの世界貿易センタービル、②米国防総省ペンタゴン、そしてテロリストの立場から言えば失敗した③大統領官邸ホワイトハウス。
つまり、これらは米国の①経済力、②軍事力、③政治力の象徴への攻撃だったというわけです。

なぜ「反米テロ」が起こったのか、その理由の第一に、経済的な理由として、加藤氏は9・11以前の過去10年間の大事なこととして3つあげています。
①第1点は、米国が為替交換レートを一定化したブレトン・ウッズという協定を取りやめて、変動為替にしたこと。ドルには2つの側面があり、一つは国際通貨としての側面、もう一つは米国の国内通貨としての側面ですが、米国はドルが国内通貨なのでこれを上げたり下げたり米国の有利なように操作することができる。米国以外の国、特に第三地域の国から見れば、大変不利な条件を押し付けられてきたわけです。
②第2点は、米国の指図で国際的な金融機関・世界銀行をつくったこと。それをカードに使って、経済問題に関しては銀行側の、あるいはその背後にいる米国の意思を米国以外の国々に非常に強く押し付けることができるわけです。
③第3点はGATT。関税を上げたり下げたり自由にできるという協定です。GATTを支持したのはだいたいが先進国、抵抗したのは低開発国でした。関税を自由にすれば、弱い国、発展途上国の産業はつぶれるでしょう。また農業でも同じです。米国の安い麦などがそれら発展途上国に入ってくれば、その国の農業はつぶれます。関税の自由化と、輸入の関税を低くする、それを要求しているのがいま流行っているグローバライゼーション(世界化・地球化)と呼ばれるもので、世界中を先進国が支配しようという陰謀です。(つづく)

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「愛国心通知表」見直し広がる~66校採用最多の埼玉でも26校~

2006年06月26日 | 国際・政治
「国を愛する心情を持つ」などを評価項目に盛り込んだ「愛国心通知表」を使っている小学校が、53市区町村256校に上り、そのうち見直し・廃止を表明したのが6月19日現在、18市区町98校あることが「しんぶん赤旗」の報道で判明しました。
「愛国心通知表」の問題では、5月24日の衆院教育基本法特別委員会で日本共産党の志位和夫委員長から「愛国心通知表」を付きつけられた小泉純一郎首相が「こういうことで小学生を評価することは難しい。あえてこういう項目を持たなくてもいいのではないかというのが率直な感想」と答弁せざるを得ませんでしたが、この国会質問以来、全国各地で実態が判明し、見直しの動きが急速に広がっています。
「愛国心」表記の通知表が見られるようになったのは、学習指導要領が2002年度に改定され、小学6年生の社会科に「我が国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を育てるようにする」などの目標が設定されて以降といわれています。
中でも埼玉県は、全国で最多の66校(9市6町)で「愛国心通知表」が使われており、この事実に上田清司知事も「私が教師だったら『愛国心』を五段階とか三段階でつけろと言われても困る」と5月31日の記者会見で語っています。
さいたま市では日本共産党の山城屋せき市議がこの問題を6月12日の市議会でただし、教育長は「内心の自由に立ち入るものであり、適当でない」として、市内100校のうち、使用していた6校すべてで今年度は見直すことを明らかにしました。
また、鴻巣市では市内19校中16校で使っていましたが、これも日本共産党市議団の申し入れに対し、教育長は誤解を招くような文言だと述べて関係者との検討を約束し、その後の小中学校の校長研究協議会で「国を愛し」の表現を今年度の通知表から削除することを決定しています。
戸田市においても市議会本会議で子どもの教育をめぐっては、「君が代」不起立を敵視する伊藤良一教育長の発言が問題になっていますが、このように埼玉でも全国各地でも「愛国心通知表」が問題となり、見直しが急速に進んでいます。
6月23日、新潟県小千谷市議会で日本共産党の佐藤勝太郎市議が教育基本法改悪などについて質問したことに対して、渡辺教育長が答弁した内容は、戸田市伊藤教育長とは雲泥の差で、良識ある明快なものでしたので最後にご紹介します。
「教育基本法は、公平な公教育を提供する意味からも。その意義は大きい。いじめ・不登校の問題は社会環境の影響や個別事情等によるもので、その原因が教育基本法にあるという考え方はしていない。一義的に教育基本法に原因を転嫁し、改定を求める声があることについては異論がある」と答弁し、「愛国心は国の強制で育つかということについて、心は、人間関係をもとにした家庭環境、社会環境などさまざまな要因が相互に関係しあって育つものであり、単に法による規制では、内なる心を育てることにはならないと考えている」。この写真を見る





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