とある会合で森永卓郎氏の講演を聞きました。経済アナリストであり、獨協大学経済学部教授であり、タレントでもある森永氏。本人のキャラクターなのか講演はある面、スキャンダラスな社会面の話も織り交ぜながら、笑いの中に、しっかりと経済の分析も入れた講演でした。内容が内容だっただけに、口外無用。紹介できないのが残念ですが、森永氏の講演のエッセンスが既にメディアで紹介されているものもあったので、2017年1月13日配信「エキサイトニュース」と、2018年5月25日配信「マネーポストWeb」から記事を転載させていただき、紹介したいと思います。今回の森永卓郎さんの講演の一部は読み取れるかと思います。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
【1】〈森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」浜田宏一氏の変節〉
1月号の文藝春秋に、浜田宏一元イエール大学教授の「『アベノミクス』私は考え直した」というインタビュー記事が掲載された。この記事は、一人の経済学者の転向という意味を持つだけではない。浜田氏は、内閣官房参与として安倍総理の経済参謀を務めるだけでなく、アベノミクスのシナリオを描いた中心人物だからだ。その浜田氏が、アベノミクスの過ちを指摘したのだ。
浜田氏は、アベノミクスを全面否定しているわけではない。安倍政権になってから、株価は2倍になり、労働市場も大幅に改善した。しかし問題は、肝心のデフレ脱却がまったく達成されていないことだ。
アベノミクスの物価目標は、消費者物価で2%だった。そのインフレターゲットを量的金融緩和によって達成することで、デフレマインドを払しょくするというのが、最大の目的だった。ところが、'16年10月の消費者物価指数(生鮮品を除く総合)は、前年比▲0.4%で、物価目標に遠く及んでいない。
なぜ物価が上がらないのか。浜田氏は8月に発表されたプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の論文を読んで、自分の考え方の誤りに気付いたという。量的金融緩和だけではだめで、それと財政政策を組み合わせないといけないというのだ。
偉大な経済学者である浜田氏が、そんな当たり前のことに気付いていなかったことに、逆に私は驚いた。量的金融緩和では、銀行保有の国債を日銀が購入し、代金を銀行の口座に振り込む。ところが、景気がよくないので、貸出先の見つからない銀行は、その資金を融資に回すことができない。そこで、資金を日銀の当座預金に預けっぱなしにする。いわゆるブタ積みだ。そうなると、市中にお金が回っていかないから、景気はよくならない。
それではどうすればよいのかというと、日銀が国債を購入したぶん、政府が新たな国債を発行して、そこで得た財政資金を減税などの形で国民に還元するということだ。そうすれば、実際に国民にお金が回るから、需要が増え、物価も上がり出す。
もちろん、見た目には赤字国債が増えることになるが、それは問題がない。なぜなら日銀が保有した国債は、日銀が保有し続ける限り元本返済の必要がないし、日銀に支払った国債金利は、日銀剰余金の国庫納付という形で政府に戻ってくるからだ。
現在、日銀は年間80兆円のペースで国債を買っている。これをすべて減税で戻したとすると、国民一人当たり63万円、4人家族だと252万円だ。それだけのお金が政府からばらまかれることになれば、消費が爆発して、物価が上がり出す。それは、誰が考えても明らかだろう。
アベノミクスは、本来、金融緩和+減税をやらないといけなかったのに、金融緩和+消費増税という誤った政策の組み合わせを行ってしまった。
浜田氏は文藝春秋の記事の最後で「ここまでうまく働いた金融政策の手綱を緩めることなく、減税も含めた財政政策で刺激を加えれば、アベノミクスの将来は実に明るいのです」と語っている。
安倍総理は、参謀のこの言葉を、どう受け取るのだろうか。
【出典】2017年1月13日配信「エキサイトニュース」
【2】〈森永卓郎氏 「日本経済にとっては安倍総裁の再選が望ましい」〉
2018年9月の自民党総裁選で誰が勝者となるのか。安倍晋三総裁の対抗馬として誰が立候補するかもまだ明白にはなっていない状況だが、経済アナリストの森永卓郎氏は、安倍氏と岸田文雄政調会長の一騎打ちになる可能性が高いと予想している。総裁選の日本経済への影響について、森永氏が解説する。
* * *
自民党総裁選が私の予想通りの構図になったとしても、安倍氏と岸田氏のどちらが勝つかは、正直なところ現状でははっきり見えない。ただし、はっきり予想できることはある。こと日本経済にとっては、安倍氏の勝利が望ましいということだ。
岸田氏が勝って岸田政権が誕生すれば、消費税の8%から10%への引き上げが2019年10月から予定通りに行なわれるはずだ。その結果は、火を見るより明らかだ。前回の消費税率引き上げ後と同様に、日本の景気が大きく失速することは間違いない。
一方、安倍氏が勝てば、少なくとも消費税が上がることはないと考えられる。安倍氏はおそらく、自民党総裁選前に再び消費税の凍結、あるいは引き下げを表明すると、私は見ている。なぜなら、内閣支持率の急落という逆境から一発逆転勝利を狙う最後の切り札は、それしかないと思われるからだ。
日本経済にとって最良のシナリオは、安倍氏が消費税率の引き下げを宣言して勝利することだ。その結果、たとえば消費税が5%に引き下げられれば、日本の株価も一気に上がるはずだ。
消費税を5%に引き下げても、通貨発行益を財源として利用すれば、財源的には何の問題もないはずだ。日銀は量的金融緩和で国債を大量に買い増し続けているが、日銀が保有する国債は、元利の返済が実質不要だ。日銀が国債を買い入れるということは、国債を日銀が供給するお金にすり替えることを意味する。日銀券は元本返済も利払いも不要なので、日銀保有の国債は借金にカウントする必要がなくなる。それが通貨発行益と呼ばれるものだ。
2017年度ベースの日銀の国債買い入れ額は、約31兆円に上った。ということは、通貨発行益が2017年度ベースで約31兆円出たということだ。一方、2017年度のプライマリーバランスの赤字額は約19兆円なので、2017年度の日本の財政は実質的に約12兆円の黒字だったのだ。それに対して、消費税を5%に引き下げるために必要な財源は約8兆円なので、問題なく可能なのである。
もし安倍氏が総裁選に勝って消費税率が8%に据え置かれた場合でも、岸田氏が勝って消費税率が10%になった場合を比べれば、日経平均株価は5000~6000円の差が出ておかしくないと見る。一般の個人投資家にとっても、安倍氏の勝利が望ましいといえるのである。
ちなみに2108年1~3月期の実質GDPは、2年3か月ぶりのマイナス成長となっている。「リーマン・ショック並みの経済危機がくれば、消費税凍結を考える」と総選挙で発言した安倍総理が、消費税の凍結あるいは引き下げを断行する環境は整ってきている。
【出典】2018年5月25日配信「マネーポストWeb」
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(安倍9条改憲NO!全国市民アクション)
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※日本政府に核兵器禁止条約への参加を求め、
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