とだ九条の会blog

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島嶼対策の「水陸両用隊」編成、事実上「海兵隊」創設--防衛省「軍事費概算要求」

2013年08月31日 | 国際・政治

防衛省は8月30日、尖閣諸島の領有権で対立する中国との関係を念頭に「2014年度軍事費(防衛関係費)の概算要求」を決定、「島嶼部攻撃への対応」の強化策で水陸両用作戦専門の部隊を「可及的速やかに新編する」として、敵地への侵攻も可能となる事実上の「海兵隊部隊」の早期創設を打ち出しました。

2014年度には「海兵隊部隊」の創設に向け、陸上自衛隊に「水陸両用準備隊」を編成するとともに、2013年度に続き、米国製の「水陸両用車AAV7」の購入を予定しています。この「水陸両用車AAV7」は1両6.5億円。これを2両購入するとしています。また、「艦艇の水陸両用戦能力の向上」として4億円を計上し、海上自衛隊の「おおすみ型輸送艦」を水陸両用車が搭載できるように改修し、海兵隊部隊を輸送する強襲揚陸艦としての機能を強化するといいます。

また、垂直離着陸機オスプレイの導入に向け、調査費を1億円計上し、「2015年度予算に取得経費計上を目指す」と明記しました。

さらに「航空優勢の確保」ではステルス戦闘機F35を4機購入(693億円)、高高度無人偵察機の調査費2億円を盛り込み、2015年度にも購入する方針を示しました。

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「わらび9条の会」が宇都宮健児弁護士を迎え講演会

2013年08月30日 | 国際・政治

お隣・蕨市の「わらび9条の会」は9月22日(日)18:30~20:30、蕨市文化ホールくるるで講演会を開催します。
講師は、前日本弁護士連合会会長の宇都宮健児弁護士。テーマは「日本国憲法の力と平和・人権のゆくえ」です。

事務局では、「戦後68年間、戦争で一人も殺さず、殺されなかった私たちの国。日本国憲法の力の大きさを実感します。しかし、こうしたこの国のあり方を根本的に変えようとする動きが強まっています。自民党改憲案(昨年4月発表)で、私たちのくらしはどうなるのか。いま、日本中の人権、平和、反貧困の運動の先頭に経たれて奮闘している宇都宮弁護士をお迎えして分かり易くお話していただきます」と参加を呼びかけています。

<「わらび9条の会」講演会>

日時:2013年9月22日(日)18:30~20:30(開場18:00)
会場:蕨市文化ホールくるる(JR蕨駅西口徒歩2分)

講演:「日本国憲法の力と平和・人権のゆくえ」
    宇都宮健児氏(弁護士、前日本弁護士連合会会長)

会費:500円(前売り券は「わらび9条の会」役員へ)

連絡先:「わらび9条の会」事務局
     電話048-444-3176(仲内)

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小森陽一氏「自民党の改憲草案を斬る!」-映画人九条の会4・25憲法学習会から(13)

2013年08月29日 | 国際・政治

昨日に引き続き2013年4月25日(木)に行われた「映画人九条の会」主催の「4・25憲法学習会」から、小森陽一氏の講演「自民党の改憲草案を斬る!」をご紹介します。(サイト管理者)

■【質問】実は私、今回初めて参加するのですが、今日先生のお話を聞いて、憲法改正が何をはらんでいるのか初めて知って大変驚いています。そういう人間が発言すること自体おこがましいのですが、基本的なことをお尋ねしたいと思います。
小森先生のお話を伺うと、この憲法改正は国民から主権を取り上げて、政治家が自由に振る舞えるような環境を作って、一国の総理が彼の利益に絡むやり方で国を支配することを許さんがための改正とも聞こえます。しかし、そんなことがいま許されるのか、許されないのか、という問題です。
これはかなり歴史的、制度的な問題だと思いますが、自民党や安倍晋三がなぜ国民を縛り上げて苦しめて、結局国力は消耗して、あの惨めな敗戦の道を再び歩もうとするのか。戦後の日本の高度成長は、国民を自由に放ったことによって国民が努力し、それによって国力が蓄えられ、それが国民に回ったからあの成長があったわけですよね。それを蔑にして、元に戻して、国民を締め上げて貧しい生活に押し込めて、それで政治権力者は一体何の利益を得るのか。そんなことを安倍晋三が考えるわけがない、というふうに私ら市民には見えるわけです。
で、この憲法改正案はいったい誰が作ったのか。実は、日本に憲法を押し付けたアメリカが、あれは間違っていたと、もう一回日本をかつてのように貧しくて何もできない国に戻したい、自分たちがいつでもひねり潰せる国に戻したいというアメリカ側の意思があったのかともと思えてくるのですが、そんな馬鹿な、という常識論が私の中ではどうしても消せません。

■【小森陽一】一番大切なところをご質問いただきましてありがとうございます。まさに、アメリカなのです。先ほど申し上げた93年の細川政権で小選挙区制が導入されるまでに至る湾岸戦争からの3年間の政治改革に、はっきりと刻まれているのです。
 今から20年前位のことを思い出してください。1990年にイラクがクウェートに軍事進攻しました。これは、国連憲章第2章違反です。直ちに国連安全保障理事会が開かれました。それまでであれば、アメリカとソ連が対立して どちらかが拒否権を発動して国連安保理が決議を上げないということで済んできました。けれども89年にベルリンの壁が崩れて、ヨーロッパでは東西冷戦は終わったのです。世界は一つという気運が盛り上がっていました。こういう時期だったのですね、イラクがクウェートに侵攻したのは。
  国連安全保障理事会が開かれて、イラクに対する軍事行動を含めた経済制裁を行うということが決まったのが、1990年の11月です。
この時日本は、海部俊樹政権です。40代の小沢一郎が自民党幹事長として、お目付け役として入っていました。田中派はどうしたのかというと1989年、小沢一郎の政治の師匠と言われた竹下登政権が、リクルート事件で崩壊しました。
今、リクルートという会社がなければ、日本人の誰も就職できないんですが、まさにそのリクルートの未公開株を自民党の主力の政治家に売りつけておいて、一部上場してボロ儲けしたという、まさに政治とカネの問題が暴露されて、自民党のカネに黒い田中派の政治は許さないということになりました。
この時に、政治とカネの問題がいけないのだ、企業献金をやめればいいじゃないか、という話になるはずが──田中角栄というのは、一代で政治家になった人です。まさにカネの力です、バラ撒きです。けれども、それと対立していた福田派、これは世襲で議員になっている人たちです。イデオロギー政党です。この人たちからすれば、田中派が憎たらしかったのです。福田派にこそ小選挙区制は生命線なのです。楽なのですよ。だから、何を言い始めたかというと、選挙制度が中選挙区制だからみんなカネに汚くなる。ビラもたくさん撒かなきゃいけないし、宣伝カーも燃料費もかかる。中選挙区制を小選挙区制にすれば、カネがからなくなるから、政治がきれいになる。政治改革、小選挙区制の実現だ。
これにかなりの政治学者も加担して、小選挙区制になると政権交代も起こる、政治腐敗はずっと自民党でやってきたからだ、そういう永続的な自民党政権じゃないシステムを、ということを言い出して、政治改革イコール小選挙区制導入という図式ができていたのも1992年なのです。
その時の海部俊樹政権に、アメリカからイラクに対して軍事行動を仕掛けるPKF──国連平和維持部隊と呼んでいましたが、ここに自衛隊を出せという圧力がかかってきたのが90年の11月でした。
歴代の自民党の内閣は、憲法9条解釈として、自衛隊は陸海空軍その他の戦力ではありません、というので成り立っているわけです。つまり、アメリカの日米安保条約で再軍備を警察予備隊で押し付けられて、さらに旧日米安保条約で再軍備をしろというのが51年に入った。これに基づいて海軍力を持つ、陸海軍2軍の力を持つ「保安隊」になったのが52年ですね。空軍力も持ちなさいとアメリカが言って、陸海空軍3軍を持ち、防衛庁という省庁まで作る。これが1954年の自衛隊と防衛庁の創設になるのです。
作った組織が憲法に違反しているわけですから、憲法9条を変えなきゃいけない。そのために3分の2以上がいるからということで、別々の保守政党であった自由党と民主党を合体して鳩山一郎初代総裁の下で自由民主党という政党を作って、3分の2を取って9条を変えるという選挙をやったのです。だから自由民主党というのは、まさに結党の時から改憲政党なんです。自衛隊のために憲法9条を変えると。でも、3分の2を取れなかったのです。
第一次鳩山政権が成立した瞬間に、内閣で使う憲法を守らなくてはいけないと、その瞬間から自由民主党政権は、自衛隊は憲法9条に合致しています、陸海空軍その他の戦力ではございません、自衛のための最低限の実力です、という説明を始めたんです。
これは、あくまでも日本国内の内閣の憲法解釈なのです。だから外に出ないだけでそう言っていても政権が自民党だったらいいよ、とアメリカも許してきたんです。だから、アメリカの基地を使い勝手が良いようにと60年安保の時に日米安保条約を改正して、第2条を入れるわけです。
経済問題でお互いに食い違いがあったら、日本がアメリカの言うことをきかないといけないという、この日米安保条約の第2条問題というのが、まさに日本がアメリカの植民地になっていくということなのです。
高度経済成長に日本が入っていった時に、アメリカから様々な要求が来たんだけれども、日本が高度経済成長を続けていて、しかも田中派が内閣を取っていたから、それは聞かなくて良いということでやっていたのです。
で、その一番劇的なのが、ベトナム戦争をやっていた時にアメリカの顔を立てないといけない。でも台湾なんかよりも中国とやった方がいいなあ、アメリカはもうベトナム戦争には勝てない、借金も大変だ、と思っていた1971年、ニクソンが──ダブルニクソンショックです。一つは、アメリカのドルを金に換えてくれと言ったら本当はアメリカは換えなきゃいけなかったのだけど、借金が多すぎて、これをやめて固定相場制から変動相場制に移行するということと、米中会談をやる。
当時、田中角栄が総理大臣になったばっかりのときですが、アメリカが中国と会談するということは、ベトナム戦争をやめるのだな、アメリカが負けるのだなと。だったらやっちゃおうということで、アメリカが米中国交回復してないのに、1972年に日中国交回復をしちゃって、この年が沖縄返還の年です。
去年、石原慎太郎がなぜあれだけ騒いだかというと、去年は沖縄返還40周年プラス日中国交回復40周年だからです。日中国交回復と沖縄返還はセットなのです。尖閣諸島問題は、それまでアメリカが施政権を持っていたのですから、アメリカ問題です。だから、それを時限爆弾として仕込んだ沖縄返還だったということです。その時限爆弾のスイッチを押したのが石原慎太郎だという話です。
それは置いておいて、アメリカに先んじて日中国交回復をやってしまった田中角栄は許さないぞ、というのが76年のロッキード事件をアメリカ側から暴露する、というやつです。
だから検察特捜の汚職暴露は、みんなアメリカのスイッチと連動していて、検察特捜は基本的にアメリカの意図で動いているということです。だから、小沢一郎もアメリカに潰されようとしていたのです。
話を90年に戻します。歴代の自民党内閣は自衛隊を出せないでいた。つまり自衛隊は、9条に合致していますから。陸海空その他の戦力ではない、最低限の自衛のための実力です。実力というのは、日本の領海内に攻撃があった時に、領海内だけ反撃するんです。だから専守防衛です。ということは、領海の外に武器を持って出ちゃだめということで、帰結的に自衛隊の海外派遣は憲法違反ということになっていて、国会に出た法律が憲法に合致しているかどうか。当然、立法権力を憲法は縛るわけですから。これを判断するのが内閣法制局です。
1990年、内閣法制局長が答弁をして、自民党解釈から言えば限りなく憲法違反に近いと言って、以来海部俊樹の答弁もされず、廃案になったんです。11月でしたから。
世界中が、日本はアメリカのポチで小判鮫で、アメリカの腰巾着だと信じているわけですから、1995年の1月15日までにイラクがクゥェートから撤退しなければやるぞ、と言っていた17日に砂漠の嵐作戦が始まった時に、星条旗の隣に日の丸がはためいているとみんな信じていたのに、日本が出てきていない。世界中の人たちが、どうして、どうして、どうしてとなっちゃって、世界中のマスメディアが、日本には憲法9条があって、第2項に「前項の目的を達するために陸海空その他の戦力はこれを保持しない」とあって、あなたたちが日本軍と思っていたあの組織は軍隊ではなくて、Self Defense Forcesという組織なんです、という報道を一斉に世界中でやって、中東の人たちがむちゃくちゃ感動したわけです。
つまり、自民党内閣の解釈でやっていた「自衛隊は陸海空その他の戦力ではない」ということは、ほとんど世界中で200人くらいしか知らなかったことだと思います。だって日本語ができて日本国憲法9条2項問題を知っていて政治学などをやっている学者は、私は当時92年、東大に移りましたけど、そんなに居ませんでした。それが世界中の普通の人、とりわけアジアの普通の人の知るところになっちゃったのです。
これに怒りまくったアメリカが、日本に対して──海部政権は国民一人頭1万円の軍事費を出したのです。1万円×日本の人口です。いくらになりますか。なのにアメリカはお礼の一つも言わずに、「日本はカネだけ出して、血と汗は流さないのか」と言って、「Show the flag(旗を見せろ)」と言いました。その頃、日本はバブル期の最後です。
ここからアメリカは、日米安保条第2条問題で、日本の経済を変えるという圧力を強力にかけてきた。だからこれは、小沢一郎をはじめとする自民党幹部の「湾岸戦争トラウマ」なのです。
9条を変えろということと、自衛隊を外に出せということと、アメリカの経済構造要求──これが構造改革規制緩和なのです。構造改革規制緩和を最初に取り組んだのが細川政権です。ここからドロップアウトしたら自己責任、という言葉が最初に出てくるのも細川政権です。内閣の文書に入るのが村山政権です。現実化するのが橋本龍太郎政権の時です。
これで日本は潰されたのです。1997年に日本の金融機関は、ほとんど全部潰れていますよ。この時、団塊の世代を切らないために、圧倒的な就職氷河期になったのがロストジェネレーション世代と言われている人たちです。だから、この人たちが団塊の世代を恨むという世代対立が仕掛けられた。年金問題が騒がれて、年金を持って行くのはこの人たちだ、ということになった。
つまり、おっしゃる通り通常の常識からいえば信じられないのかもしれないけれども、アメリカがとことんやってきた。日本はそれに追随する政治をずっとやってきたということです。
それを転換する運動は、もはや草の根運動からしか起こらない。政党は機能しなくなった。その政党政治への不信が爆発したのが、この前の総選挙(2012年12月)です。だからこれはもう、草の根の市民運動で押しのけるしかないわけです。
だから2009年の政権交代選挙の時には、九条の会、草の根運動があって、その中で民主党の若手政治家が──無名のですよ──運動の中で出てきたから、いくつかの選挙区では候補者を立てないという政党も出てきたのです。その形で政権交代が可能になった。そういう運動の中から生まれてきた議員さんたちは裏切れないから、野田どじょう政権になった時に「国民の生活が第一」というグループを作って小沢一郎とともに出たんです。
ですから、全てはそのように──アメリカの怖さを本当に知っている小沢一郎だから、アメリカの言いなりにこれ以上なってはいけないというふうに、第一次安倍政権の時に判断したわけです。それ以来、検察特捜に狙われまくっているじゃないですか。
別に小沢一郎が良いと言っているわけではないですよ。そう価値の付け方はいけないのだけども、事態として何がどう動いているかということで言えば、まさにアメリカの超属国になって日本の富を全部売り渡すと。その最後の仕上げを、第一次安倍政権でアメリカによく思われなかった安倍晋三が実現しようとしているわけです。
だって安倍晋三が第一次安倍政権を投げ出したのは、戦場であるアフガニスタンに自衛隊を出せとブッシュ大統領にシドニーで言われたからです。参議院選挙で負けちゃったから、衆議院で3分の2があってもこれは絶対通らないだろう、という判断ですね。
ですから、その一つひとつの起こってきた事象を歴史的にどうきちんと位置づけるのか、ということが今ほど大事な時はない、と私は思います。すみません、長くなりました。(拍手)

司会:小森先生、ありがとうございました。トータル120分の大変熱のこもった講演になりました。小森先生に大きな拍手をお願いいたします。(拍手)

★文責&小見出しは、映画人九条の会

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小森陽一氏「自民党の改憲草案を斬る!」-映画人九条の会4・25憲法学習会から(12)

2013年08月28日 | 国際・政治

昨日に引き続き2013年4月25日(木)に行われた「映画人九条の会」主催の「4・25憲法学習会」から、小森陽一氏の講演「自民党の改憲草案を斬る!」をご紹介します。(サイト管理者)

■96条は、主権者である国民が権力をしばる装置、憲法の命そのもの

重要なことは、自民党はそもそも改憲ということで自らの正当性と言ってきましたから、前文から全部変えなきゃいけないというのが建前だったのに、日本維新の会をはじめとして96条をまず変えよう、3分の2はあまりにも高すぎる、過半数にして憲法を国民のものにしよう、という騙し撃ちが出てきました。でも皆さん、これは国会議員が言っているのです。
憲法というのは権力を縛るわけですから。なんで3分の2以上の衆参両院の賛成がなければ駄目かというと、立法権をもっている国会議員にしょっちゅう憲法を恣意的に変えさせてはいけないというために、3分の2があるわけです。
憲法学者の多くの人たちは、9条はただの条文です。でも96条は、主権者である国民が権力をしばる装置であり、変えてはいけない、憲法の命そのものだと言う人もいます。つまり、9条よりもずっと重いと。
その96条を、おいそれと変える方向で、大したことないのだからと言っているあの国会議員たちは、立法権を暴走させようとする権力の走狗である、と私たちは主張する必要があると思うんです。96条を変えたら良いという人は、国民主権を投げ捨てる、国会議員の暴走に加担する人たちに過ぎないということが、もっとも重要な今の論点だと思います。
だがしかし、そのような議論はマスメディアの中ではほとんど消されています。今日の私の講演を載せるのはいいですが、それがどのくらい効果を持つのか分かりません。大事なことは、草の根の具体的な運動の中で、どれくらい党派を超えた、そして精神論の違う人たちが声を掛け合うかです。
2004年に九条の会を作り、しかし3000の時には2005年の小泉選挙に騙されたわけです。4800になったけど第一次安倍政権の教育基本法の改悪は阻止できなかった。けれど6000になった時、2007年の4月、民主党の小沢一郎代表が安倍晋三政権の改憲路線には協力しない、という方針を出している。
国民投票法案を議論していた衆議院の特別委員会の枝野幸男を降ろした。そして枝野は、この日から反小沢になったと言われています。
そして民主党自体の政策を「国民の生活が第一」──この政党はなくなりましたが──に変えて、2007年の参議院選挙で民主党はじめとする野党が勝利した。
この時小沢一郎氏は、安倍政権がインド洋で続けているテロ対策特措法に基づくアメリカ軍の船への給油を憲法違反だと言ったのです。小沢一郎という政治家の口から「憲法違反だ」という言葉が出てくるとは夢にも思いませんでしたが、夢が現実化していたのが2007年です。
この年の4月、読売新聞の世論調査は、「憲法を変えた方が良い」と「変えない方が良い」が拮抗していると言い、そして2008年4月の憲法世論調査では、「憲法変えない方が良い」という人が15年ぶりに多数派になったと報道されました。
つまり私たちは、草の根から九条の会を作ることで、声をかけあう、そういう民主主義的な討論を通して世論を変えたわけです。でもね、映画人九条の会のように非常に濃密に会合をやられている会もあります。でも参加者は・・・。それがいけないと言っているわけではないのです。けれども、今まで会ったことのないような人たちが声をかけあって九条の会を作る、ここに民主主義の大きなうねりの力があったのです。
でも、できちゃったことは周年行事になるのです。一年間この人たちは討論しないんです。もちろん9の日行動とかをやっているところはあります。でもそれは全体の中でそんなに多くはない、活発に活動しているところは。
ですからいま改めて、あの2004年から2008年にかけて、全国で6000の九条の会を一気に作り上げていった、そういう私たちの草の根のからの対話をどれだけやっていくことができるのか、そこに私は勝負がかかっていると思っています。一緒にがんばっていきましょう。ありがとうございました。(拍手)
(つづく)

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小森陽一氏「自民党の改憲草案を斬る!」-映画人九条の会4・25憲法学習会から(11)

2013年08月27日 | 国際・政治

昨日に引き続き2013年4月25日(木)に行われた「映画人九条の会」主催の「4・25憲法学習会」から、小森陽一氏の講演「自民党の改憲草案を斬る!」をご紹介します。(サイト管理者)

■河野談話を一貫して撤回するように言い続けてきたのが、世襲三世議員・安倍晋三

この1993年に自由民主党が初めて野党に転落して──それはどうしてかというと、この時の選挙で小沢一郎は羽田孜を立てて新生党を作り、鳩山由紀夫は武村正義を立てて新党さきがけを作って、自民党竹下派の若手が、リクルート事件で汚れてなかった割とクリーンな若手がみんな自民党を出て行って、ということは自民党田中派の実行部隊が自民党を出て行って、残ったのはイデオロギー政党としての福田派という構造になっちゃったのが93年です。それで小沢一郎の政界再編で、細川護煕政権が打ち立てられた。
ですから初めて野党に転落した自民党の総裁、首相になれなかった初めての自民党総裁である河野洋平さんが、崩壊した宮沢喜一政権の官房長官だったんです。細川政権に政権を渡す直前の1993年8月4日に、従軍慰安婦問題で日本軍が関与していたという内閣官房長官談話を出したのです。
この内閣官房長官談話が出たから、その後教科書に載るようになり、このことをめぐるせめぎ合いが「新しい歴史教科書をつくる会」をはじめとする草の根侵略戦争美化運動、こういう系譜が在特会までずっと続いているんです。
 この河野洋平談話を、議員になってから一貫して撤回するように言い続けているのが安倍晋三という政治家です。安倍晋三という政治家は、1993年の自民党が初めて野党に転落した総選挙で、世襲三世の一年生議員になったのです。
93年段階の自由民主党がどういう状況だったかというと、自由民主党という政党は1955年にできてからずっと38年間政権与党でしたから、当然1955年に最初に議員になった人は、25歳でなったとして38年間で60数歳です。だから55年の鳩山一郎改憲選挙の時に20代で当選してないと、二世、三世の議員は生まれない。つまり93年の段階では、そういう人しか残らなかったのです。
その時の自由民主党で何が最も怖いかというと、「あなたはなぜ政治家をやっているのですか」と問われると「お父さんが」、「お父さんはどうしてやっていたんですか」と問われると「おじいちゃんが」、おじいちゃんの話をすると安倍晋三は、母方のお祖父さんは岸信介に行きつく。岸信介はA級戦犯容疑者ですよね。みんな、そういう議員なのですよ、自民党に残っているのは。岸信介の場合はA級戦犯容疑者だけども、露骨にA級戦犯みたいな人もたくさんいるわけです。

■アメリカからの政権つぶしの強力な圧力

その93年にいったい何が起こっていたかということが、もうひとつ重要です。91年の年末に、大方の予想に反してソ連が崩壊してしまいました。アメリカに対抗してソ連が核兵器を持つことで、東西核兵器の核抑止力論で対立する──つまり、向こうが打てないようにここに核を配備する。向こうが配備すれば、こっちも配備するという、そういう核抑止力論で東西冷戦がずっと続いていた。
最初、核兵器はアメリカとソ連しか持っていなかった。1949年にちょうど中華人民共和国ができた時に、ソ連が核保有するわけですから。その後、中華人民共和国が核保有しようとした1963年に、部分的核実験禁止条約というのをアメリカとソ連が結んで新興国に、いや同じ国連安全保障理事会の常任理事国ですが、そこには持たせないと。でも持っちゃったんです、5カ国が。アメリカ、イギリス、中国、フランス、旧ソ連。この5カ国だけが核兵器を保有して良いというのが、核不拡散条約(NPT)という不平等条約です。
 でもソ連が崩壊しちゃうと、ソ連の持っていた核施設がウクライナやベラルーシにある場合、これは全部、核拡散しているということになります。ソ連を受け継いだのは、ロシアだけですから。
ソ連が崩壊するだけで、ヨーロッパとアジアにも核拡散状態が生れて、ソ連が北朝鮮で開発していた核施設もアメリカは核拡散状態だから査察を受けろと言って、圧倒的な圧力をかけてきていたのが、ちょうど細川政権の時代です。
細川政権の与党には日本社会党も入っていました。北朝鮮の核拡散の問題で第二次朝鮮戦争勃発か、というところまでアメリカは危機を高めていった。だけども韓国の場合、金泳三政権でしたから、アメリカの軍事的なやり方には賛同しない、協力しないということを明確にしましたので、日本から戦争をしかけるしかない、というのが93年の年末から94年にかけてです。
だから細川政権を潰さないと、日本社会党は出せないわけです。ですから何をやったからというと、一応佐川急便事件は、検察特捜が準備していたわけです。でも佐川急便事件では落とせない。何か決定的な失策をやらせなければいけない、というところで、小沢一郎がアメリカの命令で細川政権をつぶすために仕掛けたのが、大蔵官僚である斉藤次郎に絶対実現不可能な、国民の福祉だけに使う増税、国民福祉税というのを深夜の国会で記者会見させて、やろうとして、見事に破たんさせるわけです。
 これと佐川急便事件が結びついて──だから細川護煕というのは、最も怖いアメリカからの政権つぶしの圧力を見てしまった政治家だから、間もなく辞めたんです。
 お分かりでしょう。この斉藤次郎のこの時の功労に恩賞を与えるために、民主党が政権を取った時に 連立で入っていた亀井静香が、小沢一郎さんの思いを汲んで、斉藤次郎を郵政の社長にして、民営化したけど郵政株は売らない、ということでやってきたのです。その斉藤次郎を辞めさせて、社長の首をすげ替えて、そして郵政株売り出したから株が値上がりしているんです、今。
 何が「アベノミクス」ですか。全部、「アベノミス」ですよ。そうでしょう、日銀が売りに出した国債を7割買うという方針を出した4月4日。ちゃんと考えろよ、と言いたい。日本の市場とアメリカの市場とは時間差があるんですよ。日本の市場で取引できない時、アメリカの市場で取引できるわけでしょう。だから何が起こったかというと、4月5日の午前中に日銀が国債を買う前に、全部ヘッジファンドに買われちゃったんです。で、午後にヘッジファンドが売り出して、一気に値上がりです。長期金利も上がっちゃったわけです。全部逆効果。黒田辞めろ、という話ですよ。
でも、そういうことはちゃんと報道されずに、株価が上がっているからいいじゃないか、と内閣支持率はうなぎ昇り。そうじゃありません?
 今、日本が安全だと言われていたのは、国民の預金が国内にあるからです。まさに国民の資産と預金が国外に株という形でどんどん流失しているというのが現在です。だから、一気にヨーロッパと同じ財政破たんに向かう、いま前段階に入っていると考えた方がいいじゃないですか。
 今、斉藤次郎でいきなり現在の経済の話に行っちゃいましたが、その斉藤次郎に細川政権を潰させて、そして社会党と新党さきがけが抜けますから、少数与党になった。
でもこの時に米朝国交回復を実現したジミー・カーター元大統領に北朝鮮に飛んで、金日成と会って、やめなさい、査察を受けなさい、NPT条約に戻りなさい、2003年になったらアメリカが原発をあげるから、それまではちゃんと重油あげるから、という米朝枠組合意というのをやって、これで大丈夫というふうになりましたから、自民党の総裁・河野洋平さんは、日本社会党が政権に戻っても大丈夫だろうと考えるのは当然ですね。
だから、私は初めて首相にならない自民党総裁でいいから、ずっと首相になりたかった日本社会党の委員長の村山富市さんに声かけて、やりましょうとなって、2ヶ月で羽田孜政権終わって、村山富市政権が6月末にできるわけです。
その数週間後に、金日成が突然亡くなり、金正日が主席を継ごうとしたら、当時のクリントン大統領は、アメリカの大統領と同じような重要な任務に世襲でつくのかといって、一気に盛り上がって、国会で村山さん自衛隊はどうなの、日米安保条約をどうみているの、と訊かれたら、「自衛隊合憲、日米安保条約堅持」という答弁をして、そして日本社会党がなくなってしまうんです。
この時に60年安保で作った日本社会党、日本共産党、それを総評が繋ぐという「社共総評ブロック」という護憲の体制が完全に潰されたのです。総評は、89年に連合に入ってなくなった。
そのあとは市民運動で闘うしかない状況でやってきて、九条の会を作って一旦押し返したんだけど、民主党政権になってみんな安心して、安心しているうちに安倍政権が第2次安倍政権になって、どうなの、というところにいま来ている。
どうなのというと、まさに日米安保条約体制に戻す、90年代アメリカがずっと要求してきたアジアの戦争を日本の自衛隊が担う、日本の国防軍が担う、そういう状態にきている。ですから、ここに改めて草の根からの運動で押し返すことができるのかというのが、私たち九条の会には問われているということです。
(つづく)

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