とだ九条の会blog

「とだ九条の会」公式HPに併設=「とだ九条の会ブログ」でネットワークを広げます。

『9条で政治を変える 平和基本法』を読んで

2008年11月04日 | 国際・政治

このほど高文研から『9条で政治を変える 平和基本法』という本が出版されました。執筆者は前田哲男氏(ジャーナリスト=軍事問題)、児玉克哉氏(三重大学人文学部教授=平和学)、吉岡達也氏(ピースボート代表)、飯島滋明氏(名古屋学院大学講師=憲法学)の4氏。「フォーラム平和・人権・環境」の編纂です。

同書では、護憲勢力の「護れ!」「変えるな!」と主張するばかりでなく、現実政治の展開に向けた「9条にもとづく安全保障政策」を結集軸として呼びかけ、国民・有権者の前に提示する目的から憲法理念と現実状況に「橋を架ける」試みとして「平和基本法」の制定を提言しています。
それは護憲運動の成果を前提に、
■(1)安全保障の基本である、「国民生活をさまざまな脅威から護る」ための新たな構想と手法を取り入れて「法律=基本法」のかたちに集約・確定させ、日本の「安全保障政策の基本法」として方向づけること。
■(2)「日本国憲法にもとづく国際協力のかたち」を、近隣諸国および世界に外交・安全保障政策として発信すること。
■(3)自衛隊の違憲状態を解消するため、「軍縮政策の実施指針」をさだめ、改編・縮小の方向にすえなおす短期・中期・長期計画を策定すること。
といった点を骨格に、「憲法前文と9条具現のためのプログラム法」として意義を持つものだと述べています。
そこで、同書が提言する「平和基本法」に盛り込まれる基本政策として掲げる原則についてご紹介します。

<「平和基本法」に盛り込まれる基本政策>
●(1)非核三原則=「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」。1967年、佐藤内閣時代に表明され、1971年、衆議院で議決された核兵器に対する日本の立場の法制化。
●(2)武器輸出三原則=「死の商人」国家にならないことを宣言した武器輸出に関する基準。佐藤内閣(1967年)と三木内閣(1976年)により約束された原則の法制化。
●(3)宇宙の平和利用限定原則=1969年の国会決議「宇宙の開発及び利用の基準に関する決議」の法制化。
●(4)集団的自衛権(軍事同盟と海外派兵)の禁止=憲法9条のより明確な具現化。
●(5)攻撃的兵器と軍事戦略の不保持=9条で禁止された「陸海空軍その他の戦力」と、厳格に「主権侵害行為」排除にのみ限定された国土警備機能の定義。
●(6)文民統制および市民監視の徹底=自衛隊を縮小・再編していくさいの市民参加原則。オンブズパーソン制度導入などの規定。
●(7)非軍事的国際貢献の積極的推進=自衛隊再編の過程で生まれる人員・資材・施設を再編組織し、武器を持たない「平和待機隊」として、国連平和維持活動および各種の紛争予防活動に役立たせるための規定。
●(8)「人間の安全保障」の具体的展開=日本の国際安全保障への寄与を、国家の枠組みをこえた紛争原因そのものの除去への努力とすることの規定。

さあ、みなさんはどう思われましたか? 憲法を護るだけでなく、憲法を暮らしに生かすためにも、私たちが検討していかなければならない具体的内容を提示しているという点で大いに論議していきたいと思います。

【出典】『9条で政治を変える 平和基本法』(2008年10月25日発行、フォーラム平和・人権・環境編、高文協刊、1000円+税)より
「フォーラム平和・人権・環境」=通称「平和フォーラム」。憲法擁護国民連合、原水爆禁止日本国民会議などが21世紀を前にした1999年に合同して発足。「人間の安全保障」の取り組みを推進している。
(東京都千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館1F )
http://www.peace-forum.com/index.html

※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする