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中ロの核兵器近代化加速――バイデン政権「中期的核戦略見直し」 

2021年04月30日 | 国際・政治
バイデン米大統領の中国への敵対発言が目立っていますが、中ロの核兵器近代化が、米を上回る速さで拡大していると米軍幹部が警告しました。
2021年4月21日配信「CNN ニュース」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<中ロの核兵器近代化、米を上回る早さ 米軍幹部が警告>


米国の核兵器の運用を担う米戦略軍のチャールズ・リチャード司令官は(4月)20日、議会聴聞会に出席し、中国とロシアによる核兵器と運用能力の近代化は米国より早く、米国が核防衛とインフラにより多くの投資を開始しない限り、米国は敵対国の目から見て信用を失う危険性があると述べた。

リチャード司令官は、ロシアが従来型の核開発と近代化に積極的に取り組んでいると指摘し、ロシアは約80%を終えたが米国側はゼロだと語った。

リチャード司令官はまた、中国が核能力の近代化を進めているとし、その速度があまりにも早いため、中国について知らなかった事柄を発見せずに1週間を過ごすことができないと述べた。

中国の核兵器の保有数は米国やロシアと比較して非常に少ないものの、前例のない拡大を続けているという。

ロシアと米国は、新戦略兵器削減条約(新START)によって、配備できる戦略核弾頭の数が約1550個に制限されている。

ストックホルム国際平和研究所の試算によれば、中国が保有する核弾頭の数は約320個にとどまる。

米国のバイデン政権は現在、中期的な核政策の方針となる核戦略見直し(NPR)の策定に向けて作業を進めている。

米議会予算局(CBO)の2017年10月の報告書によれば、米国の核兵器プログラムの一時的な更新や完全な近代化には1兆2000億ドルの費用がかかる可能性があるという。


【出典】2021年4月21日配信「CNN ニュース」


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2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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「戦死者への冒涜を許すな」――辺野古新基地建設の埋め立てに遺骨含む土砂使うな

2021年04月29日 | 国際・政治
昨日の当ブログに引き続き、辺野古新基地建設に沖縄戦の犠牲者の遺骨を含む土砂を使用しないでと訴えており問題で、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんの記事を2021年4月22日配信「Foresight」から転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)



※以下転載はじめ↓



<「戦死者への冒涜を許すな」遺骨収集ボランティアがハンストで訴えた「辺野古基地」埋め立て用土砂問題――安田菜津紀の現地リポート>


安田菜津紀(フォトジャーナリスト)


沖縄・辺野古に作られようとしている米軍の新基地。その建設のための埋め立てに、沖縄本島南部の土砂が使われようとしている。第二次世界大戦末期、とりわけ激しい地上戦が展開された本島南部には、今もなお犠牲となった人々の遺骨が数多く眠っている。 沖縄戦犠牲者の遺骨収集ボランティア・具志堅隆松さんに、フォトジャーナリスト安田菜津紀が直接取材。現地からの声をお届けする。


■今なおガマに残る遺骨の数々

「一度ここで、ライトを消してみましょうか」。ヘッドライトの小さな灯りのスイッチを消すと、辺りは一瞬にして漆黒の闇に包まれた。時折、水の滴るような音が微かに聞こえるのは、前日の夜に降ったスコールのような雨のせいだろうか。

4月3日、私はかつて激戦地となった沖縄本島南部、糸満市の壕のひとつを、長年沖縄戦で犠牲となった人々の遺骨収集活動を続けてきた、具志堅隆松たかまつさんと訪れていた。鬱蒼と茂る森へと続く道なき道の先に、岩陰に隠れるように開いた地下への入り口がある。人が一人通れるほどの「通路」を恐る恐る降りていくと、長さ数十メートルはあるだろうか、その先に幅3メートルほどの洞窟のような空間が広がっていた。やや幅が広い場所は、旧日本軍が手術室として使っていた可能性があるという。

天井が剥がれ落ちたせいか足場は悪く、土や石の塊を慎重に避けなければ前には進めない。その片隅に落ちている真っ黒い塊は、古びた靴底だった。岩の上が所々黒ずんでいるのは、蝙蝠の糞が積もった跡だという。すっかり色彩を失ったこの空間で、兵士たちが使っていたらしい白い陶器のかけらが妙に目につく。

「ここから壁が焼けているのが分かりますか?」

具志堅さんが指さした先の壁は、一際炭のような色に染まっていた。「ここは入り口から火炎放射を受けたようなんです。この周辺の遺骨も炭化しているんですよ」。そう言いながら具志堅さんがそっと足元の土の中から、小さな塊を拾い上げた。「これは指の骨ですね」と言われても、殆ど真っ黒のその塊が、私には周囲の石と見分けがつかなかった。持ってみると確かに、同じ大きさの小石よりも幾分か軽いのが分かる。しゃがんで目を凝らし、地表の泥を払ってみると、足元から次々と、遺骨らしきもの、薬莢が破裂した後の残骸、軍服のボタン、小銭と、人が確かにそこにいた痕跡が次々と見つかる。76年経ってもなお、この暗闇から抜け出せずにいる遺骨がこんなにも残されているのかと、しばし言葉を失ったまま、足元の光景に見入ってしまった。

私がこの骨の主を、直接知る由はない。果たしていきなりやってきた自分がシャッターを切っていいものなのか、躊躇する。そんな私に具志堅さんは静かに語ってくれた。「あなたが撮った写真の掲載されたものが、偶然、遺族の元に届くことだってあり得る。写真を通してこの人が家に帰れるようにと、念じながら撮って下さい」。

遺骨の状態は、そこで何が起きたのか、その人はどのように亡くなったのかということを物語ることがある。具志堅さんは、下半身だけがかたまって見つかり、なぜか金歯やあごの骨が壁の上に引っかかっている遺骨を目にしたことがあるという。それは骨の主が手榴弾を爆発させた、あまりに凄惨な現場だった。それも、ひとつ目が不発でもなお諦めず、ふたつ目の安全ピンを抜いた痕跡があったのだという。他にも、小銃の筒先をのど元にあて、片足の靴を脱いで足で引き金をひいたらしい遺骨も目の当たりにしたことがある。

軍規を徹底させるための『戦陣訓』の一節には、「生きて虜囚の辱を受けず」と記されていた。捕虜になるぐらいなら死ね、という教えが、こうして多くの命を奪うことになった。「それが間違った教えだったと国がしっかり認めなければ、その人たちは“自殺”したことになってしまう。実際は“した”のではない、“させられた”んですよ」と語る具志堅さんの言葉には、静かな怒りが感じられた。

壕から這うようにして地上に戻ると、入り口近くの岩陰から、具志堅さんが小さな白い塊をそっと拾い上げた。3、4歳前後と思われる、子どもの歯だった。兵士たちと思われる遺骨が壕内で見つかり、民間人の遺骨が外で見つかったことが、何か沖縄戦の過酷さを表しているように感じられた。もちろん、この壕自体に何が起きたのかは分からない。ただ、壕やガマ(自然洞窟)で住人たちが、時に危険な入り口近くに追いやられ、時に外へと追い出された歴史を思わずにはいられなかった。


■「遺骨が入り込むということは100%ない」は本当か
 
激しい地上戦が続いた沖縄では、推定で約9万4000人の住民を含む20万人以上が犠牲になったとされている。とりわけ激戦が展開された本島南部の土砂が今、辺野古の新基地建設のための埋め立てに使われる可能性があるのだ。「戦没者の血が染み込んだ土砂を、新たな基地を作ることに使うこと自体、戦死者への冒涜だと思うんです」と、具志堅さんは憤る。

辺野古の海で軟弱地盤が見つかったことを受け、2020年4月、防衛省は設計変更の申請書を沖縄県に提出し、県内で調達できる土砂のうち、約7割が本島南部の糸満市と八重瀬町内で調達が可能だとした。南部で今、新たな採掘場が作られはじめているのは、埋め立ての需要を見越して開発を加速させているためだと具志堅さんは見ている。

4月8日、私たちが訪れた糸満市の壕近くで鉱山開発を進めようとしている業者が、沖縄県議会土木環境委員に参考人招致され、「遺骨が入り込むということは100%ない」と答えている。採掘して売るのは、表土の下の琉球石灰岩であり、そこには遺骨はない、というのが業者側の言い分だ。

ただ、具志堅さんはその言い分にも疑問を抱いているという。「琉球石灰岩は雨水に侵食されて、地下に空洞ができることがあるんです。その“ガマ”にも多くの人たちが戦時中、逃げ込んで亡くなったり、入り口が陥没して脱出できなくなったりしています。こうして様々なケースがあるので、地下から遺骨が出ることはあり得るんです。地下10メートルから遺骨が見つかったこともあります。遺骨が岩の隙間に落ちてしまっていることもありました」。

さらに問題視しているのは、「個体性」が失われてしまうことだ。具志堅さんたちの収集作業では、一人ひとりの遺骨を丁寧に掘り出し、そこから名前入りの万年筆が見つかったことで遺族の元に戻れたケースもあった。「表土をはぎ取って持っていった時点で、複数の遺骨が混ざって分からなくなってしまうんです」。

2016年にできた、遺骨収集を“国の責務”とする「戦没者遺骨収集推進法」が、まるで存在しないかのように事が進んでしまっている。先行開発の需要を国が生み出しているのであれば、国の方針に対して物を言うべきではないか……具志堅さんはそう考え、沖縄の防衛局に遺骨が見つかった現場の視察要請を昨年出している。ところが防衛局からは、「内部で共有します」という通り一遍の答えが返ってくるに止まった。戦没者の遺骨があったことを認識したうえで計画を立てたのかを問うても、回答はない。


■具志堅さんのハンストから若者へ広がった「輪」

「まずこの問題を知ってほしい」と、具志堅さんは今年3月、県庁前でのハンガーストライキに踏み切った。このハンスト中、具志堅さんの下を訪ねてきた遺族の中には、父親が泳げなかったために海に入って逃げることができず、家族と別れ行方が分からなくなったことを話してくれた人もいた。「ここには父の遺骨が眠っているかもしれない。泳げなかった父親を、辺野古の海に沈めるのはやめてほしい」と泣きながら具志堅さんに語っていたという。いまだにトラウマを抱え、南部に足を踏み入れることもできないという声さえある中で、一番の当事者であるはずの遺族の声が反映されないまま、事が推し進められようとしていること自体、具志堅さんにとっても受け入れ難いことだった。

「当事者は、沖縄の人たちだけではないはずなんです。行方不明者の中には、アメリカ兵、本土からの兵士、朝鮮半島の人々もいる。遺族は全国にいらっしゃり、自分の親族の遺骨が使われるかもしれないという現実があるんです」。

具志堅さんは、沖縄南部の戦没者の遺骨収集を、自分たちの世代だけでは終わるものではないと実感しているという。「だからこそこうした場所は戦死者への慰霊と、次世代の平和学習の場にしていくべきではないかと思っています。戦争で殺されたのは事実なんだと子どもたちに知ってもらい、そこで考えてもらいたいんです。なぜ私たちが戦争を止めきれなかったのか、なぜアジアの人たちが犠牲になることに私たちは気が付かなかったのか。そういったことを考えるための現場が、沖縄にはこうして残っているんですよ」。

こうした具志堅さんのアクションに、有志で集まった次世代が「具志堅隆松さんのハンガーストライキに応答する若者 緊急ステートメント」を発した。その一節にはこうある。「これは決して沖縄という一地方の政治問題ではなく、日本全体の戦後処理・戦争体験継承・人権意識・民主主義に関わる問題なのです」。呼びかけ人の一人である石川県在住の坂本菜の花さんは、15歳から3年間、沖縄県で暮らしていた。その間に、遺骨収集を手伝ったことがあり、精神力も体力もいる地道な作業の一端に触れた。穏やかで控えめな印象だった具志堅さんが、ハンガーストライキまでしなければならない事態なのかと衝撃を受けたという。「ハンガーストライキはガマで生き埋めになった人々の気持ちに近づくためのものでもある」と語る具志堅さんの様子に、呼吸が浅くなるほど胸が締めつけられた。「何ができるか分からないけれど、具志堅さんの行動を受け止めています、というアクションを起こしたかった。どうしていいのか分からないけれど、考えるための場を作るのがこの声明の意味のひとつ」と語る。大切なのは「そもそも」から分かち合い、間口を広げていくこと、と菜の花さんはいう。「そもそも辺野古って何?」といったことから知る場を作ることは、この問題に興味、関心をこれまで向けていなかった人々を置き去りにしない上で大切なことかもしれない。

故・翁長雄志知事に対し、当時官房長官だった菅義偉首相は「戦後生まれなので沖縄の歴史はなかなか分からない」と発言したことがあった。「採石業者においてご遺骨に配慮した上で、土砂の採取が行える」と繰り返す首相含め、国を動かすのは、市民の声だ。現在、有志による「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」の呼びかけが行われるなど、世代を超えたアクションの輪が、今着実に広がろうとしている。


■【安田菜津紀】1987年神奈川県生まれ。NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事  世界の子どもたちと向き合って』(日本写真企画)、『故郷の味は海をこえて 「難民」として日本に生きる』(ポプラ社)、『君とまた、あの場所へ シリア難民の明日』(新潮社)他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。


【出典】2021年4月22日配信「Foresight」


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「国民投票法改悪案採決強行」緊迫――反対行動呼びかけ

2021年04月28日 | 国際・政治
5月3日「憲法記念日」を前に、緊迫した情報が飛び込んできました。改憲議論を進めようとする国民投票法改悪案の採決をめぐって衆院憲法審査会が5月6日の審査会で採決強行を狙っています。事態は緊迫です。憲法共同センターは「同法改悪案の強行採決に反対する要請書」を作成し、4月中に憲法審査会委員へ届けるよう呼び掛けました。
2021年4月28日付け「しんぶん赤旗」、憲法共同センターホームページから記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


【緊急】<国民投票法改悪案――憲法共同センター反対行動呼びかけ>


改憲議論を前に進めようとする国民投票法改悪案の採決をめぐって、衆院憲法審査会が緊迫しています。5月6日に予定されている次回の同審査会で、与党らが採決強行をする危険があり、全労連や全日本民医連などでつくる憲法共同センターは、採決阻止のための行動を緊急で呼びかけています。
 
同改悪案をめぐっては、自民、公明、維新などが「議論は尽くされた」と採決を求めています。参院憲法審査会を開催する動きもあり、改憲議論が一気に進む危険があります。
 
憲法共同センターは、同法改悪案の強行採決に反対する要請書を作成。4月中に憲法審査会委員へ緊急で届けようとアピールしています。
 
各地で取り組んでいる「改憲発議に反対する全国緊急署名」を5月19日に国会へ提出すると発表し、署名を14日までに事務局まで送ることを呼びかけています。
 
要請書や衆参の憲法審査会委員の名簿は憲法共同センターのホームページからダウンロード・確認することができます。


【出典】2021年4月28日付け「しんぶん赤旗」


■憲法共同センターホームページ==========================
http://www.kyodo-center.jp/?p=8668


1.議員要請について

別添の要請書を参考に、憲法審査会委員の立憲、共産、国民各党議員に要請を行ってください。できましたら、4月中の取り組みをお願いいたします。
要請書はこちら
憲法審査会名簿(PDF)

衆議院憲法審査会委員名簿 2021年4月5日現在(Excel)
参議院憲法審査会委員名簿 2021年4月22日現在(Excel)


2.改憲発議緊急署名の国会提出について

5月19日(水)の19日行動時に署名を提出する準備を行います。5月14日(金)までに事務局に送ってください。

戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター(略称:憲法共同センター)
〒113-8462 東京都文京区湯島2-4-4全労連会館4F TEL 03(5842)5611 FAX 03(5842)5620
=========================================

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沖縄戦犠牲者の遺骨含む土砂を辺野古埋立に使うな――理不尽すぎる日本政府の仕打ち

2021年04月28日 | 国際・政治
「沖縄戦で、本土決戦を遅らせるための捨て石とした人たちを、今度は米軍基地の土台にするつもりなのか――」

軟弱地盤が判明したことで埋め立て工事が難航していて米有力シンクタンクが「完成する可能性は低い」と述べ、1966年の海兵隊基地建設計画で「建設費が高くて実現できない」と記していた辺野古米海兵隊新基地建設。今、その埋め立てに沖縄戦で犠牲となった県民の遺骨が埋まり、血のしみ込んだ土砂を使用しないよう菅政権に求めています。
昨日に引き続き、この問題について2021年4月21日配信「現代ビジネス」から沖縄タイムス・福元 大輔記者の記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<辺野古埋め立てに「沖縄戦の犠牲者の遺骨」を含む土が使われる…理不尽すぎる日本政府の方針>


福元 大輔(沖縄タイムス記者)


■ガマを掘る理由


亡くなった身内の骨が混じっているかもしれない土砂を、埋め立て工事のために海へ放り込まれたら、どんな気持ちになるだろうか。いま沖縄はそのような事態に直面している。

「沖縄戦で、本土決戦を遅らせるための捨て石とした人たちを、今度は米軍基地の土台にするつもりなのか」

沖縄の言葉で、ガマを掘る人という意味の「ガマフヤー」を名乗る具志堅隆松さん(67)は、怒りに震えている。

ガマとは、沖縄特有の石灰岩が作り出す鍾乳洞、自然の洞窟だ。1945年の沖縄戦で、日本軍や住民が避難するために利用した。その中で、多くの人たちが犠牲になった。

具志堅さんはなぜガマを掘るのか。理由は簡単だ。沖縄戦から76年目の今も、まだ、そこに骨が残っているから。ガマを掘る——。それは戦没者の遺骨を収集することを意味する。

具志堅さんは28歳の時、ボーイスカウトの成人リーダーとして、遺骨収集のボランティアに初めて参加した。マッシュルーム型の岩があり、自分ならあの下に身を潜めるだろうなとぼんやりと考えた場所で、土をどかしてみた。骨が出てきた。

ここで死んだ人が何十年もほったらかされていたなんて。戦没者への申し訳なさで胸が詰まった。一方で遺族でもない自分が掘り出してもいいのだろうか、と葛藤した。

なぜ沖縄の人々はガマに逃げ込むまで追い詰められたのだろうか。

沖縄本島の中でも南部地域は激戦地となった。次から次に陣地を攻略された日本軍は南へ南へと戦線を下げた。当然、米軍は追い詰める。南部には多くの住民が避難していた。日本軍が逃げたことで、住民たちを巻き込み、被害が拡大した。

太平洋の島々で敗戦を続けた日本軍は、武器も兵士も枯渇していた。日本本土での決戦に備え、体勢を立て直す時間が必要と考え、沖縄を捨て石にした。

日本軍が南部に撤退した時にはすでに勝負は決していた。にもかかわらず、時間稼ぎの目的のためだけに犠牲者の数は膨らんだのだ。

具志堅さんはかつて、沖縄本島南部の糸満市の小さなガマで、ひざを抱えるようにうずくまった少年の遺骨を発見したことがある。県立中学の校章がボタンにあった。「学徒隊」だったとみられる。

沖縄戦の動員数は、米軍が約55万人、日本軍が約10万人。日本軍10万人のうち2万人以上は、急きょ集められた沖縄の人々だった。

今の中学生や高校生くらいの生徒たちでつくったのが「学徒隊」。「ひめゆり学徒隊」や「鉄血勤皇隊」がよく知られている。日本軍は少しでも時間を稼ごうと、十分な訓練も受けず、武器もない少年、少女を戦場に放り出した。

具志堅さんは小さな遺骨の近くで、日本兵の鉄帽も見つけた。中には、頭蓋骨が残っていた。周囲の壁は、米軍の火炎放射器で焼かれのだろうか、れんがのようだった。

「お母さん、熱い、熱い」。二人の叫び声が聞こえてきた。せめて遺骨を遺族のもとに返したい、まず掘り起こさなければ。真っ暗なガマで、うっそうと茂った雑木林で、40年近く、ひたすら遺骨を探し続けてきた具志堅さんの原点となった出来事だ。


■埋め立てに「遺骨を含む土」が使われる

具志堅さんは今年3月1日から6日間、沖縄県庁の前でハンガーストライキを実施した。米軍普天間飛行場の返還条件として、防衛省が名護市辺野古の海を埋め立て、代わりの施設を造る作業を進めている。その埋め立て工事に、遺骨を含んだ可能性のある沖縄本島南部の土砂を使う計画が明らかになったからだ。

辺野古の海を埋め立てるために、防衛省は2020万立方メートル、東京ドームの約16・3杯分の土砂を使用する予定だ。

当初、土砂の7割を沖縄県外から調達する計画だったが、埋め立て工事に反対する沖縄県が、外来種の侵入を防止するために県外土砂の運び入れを規制する条例を制定した。

防衛省はこれに対抗するように、沖縄県内からの調達可能な量を調査し、沖縄本島南部の糸満市と八重瀬町で、約3200万立方メートルの調達が可能と報告した。

具志堅さんはそれを知り、がく然とした。戦争につながる辺野古の米軍基地を造るために、戦争で亡くなった人たちの遺骨を含む可能性のある土砂を使用することがどうしても、どうしても許せなかった。

沖縄戦で無念のうちに亡くなった人が何を望むか。

遺骨収集を通じ、二つの結論にいたった。一つは「家族の元へ帰りたい」、もう一つは「二度と、こんなバカな戦争はしないでくれ」


■数万人分の遺骨が埋もれている

沖縄戦で亡くなったのは約20万人。米国側が1万2520人、日本側が15倍の18万8000人に上る。このうち沖縄県出身以外の日本兵が6万6000人で、軍人・軍属、一般住民を含む沖縄県民全体が12万2000人以上、県民の4人に1人が亡くなったといわれている。

これまでに収集できた遺骨は18万柱を超えたとされる。実際にはダブルカウント、トリプルカウントがあるとみられ、本島南部を中心に数万人分の遺骨がまだ埋もれていると考えられている。

防衛省は「遺骨の混入している土砂を資材として使用することはあってはならない」との認識だ。「開発前に遺骨がないか、業者が目視で確認する」と対策を示すが、具志堅さんは「知識のない人が目視で探し出すのは、技術的にも物理的にも無理」と話す。

その理由は、(1)小さく、風化した骨が多い(2)赤土や石灰岩の色に同化している(3)手にとって重さを比べなければ石との違いが分からない―というものだ。破砕した骨もあり、どんなに時間をかけてもすべての収集はできない。

具志堅さんのハンストは大きく報道された。玉城デニー知事は「県民の心を深く傷つける」と南部地域の土砂の使用に反対の姿勢を鮮明にしている。

県議会も4月15日の臨時議会で、沖縄戦戦没者の遺骨が混入した土砂を埋め立てに使用しないよう国に求める意見書を全会一致で可決した。辺野古新基地建設に容認か反対かのスタンスを問わず、党派を超えて、「遺骨が混入した土砂の使用」には反対している。

一方、新たに沖縄本島南部で土砂採掘の開発を届け出た業者に対し、沖縄県は4月16日、現場周辺が沖縄戦跡国定公園に指定されていることから、自然公園法に基づき、「風景を保護するための必要な措置を求める」と命令を出す方針を発表した。

現場周辺には沖縄戦後すぐに、住民たちが散乱していた遺骨を集めて建立した魂魄之塔をはじめ、多くの慰霊塔がある。あちらこちらに遺骨も残っているとみられる。

国内唯一の「戦跡」国定公園だが、自然公園法を根拠としており、都道府県知事が開発を制限するには「風景を保護するために必要な限度」と定めている。遺骨が風景に当たるかどうか。沖縄県は検討を重ねた結果、遺骨を風景の一部として保護対象とした。

しかし、自然公園法4条は鉱業権の尊重を定めている。業者はすでに鉱業権と事業計画を国から認められており、沖縄県は弁護士と協議し、私権の制限につながることから土砂採取の全面禁止の命令を見送った。

つまり、「風景を保護するための必要な措置」を求めただけで、「土砂を取ってはいけない」と命じることはできなかった。

遺骨を風景と解釈するのは異例で、玉城知事は「最大限の対策。百点満点を望んでいる方もいるが、法制度上の限界もある」と理解を求めた。土砂採取の全面禁止を要望してきた具志堅さんは「残念を通り越して、憤りを感じる。国に誤ったメッセージを送った」と怒りの矛先を沖縄県や玉城知事にも向けている。

ただ、国によると、沖縄戦跡国定公園内には18業者、21鉱山が存在し、すでに土砂を採取、搬出しているところもある。新たに開発を届け出た業者だけに土砂採取の禁止命令を出したところで問題の根本的な解決にはつながらない。沖縄防衛局が沖縄本島南部地域からの土砂調達計画を変えない限り、遺骨を含んだ土砂が辺野古新基地建設のための埋め立て工事に使われる可能性がある。

「基地建設はだめで、他の工事に使ってもいいのか」「沖縄本島全体が戦場になっており、南部だけではなく、中北部にも戦没者のいくつを含んだ土砂はある」といった疑問も残されたままだ。


■「あいまいな喪失」を避けるために

具志堅さんは「辺野古の埋め立て工事に沖縄本島南部の土砂を使用することを国に断念させることが最終的な目標」と前を見据える。

沖縄戦の組織的な戦闘が終わったとされる6月23日には、沖縄全戦没者追悼式が開かれる糸満市摩文仁の平和祈念公園で、さらに、終戦記念日の8月15日には、全国戦没者追悼式の開かれる日本武道館でハンストを実施し、多くの国民にこの問題を伝える決意を固めている。

東日本大震災や新型コロナウイルス感染症でも注目されるようになった「あいまいな喪失」という言葉がある。

最後にさよならを言えなかったり、遺体に触れることさえできなかったりすることで、喪失が不確実となり、ストレスを抱える状態だ。

沖縄戦では、いつ、どこで、どのように亡くなったのか分からないという遺族が多い。その痛みやストレスを少しでも和らげ、行き場のない感情のよりどころとなってきたものの一つが、遺骨であるといえる。

車に日の丸のシールを貼り、スマホの着信音が君が代で、「生粋の自民党支持者」という76歳の男性が、具志堅さんのハンスト現場で私に話し掛けてきた。

「76年しかたっていない。まだ遺族も体験者も、その子や孫も沖縄で、この場所で暮らしている。この問題を許すことができない」

思想や信条に関係ない。うちなーんちゅ(沖縄人)としてダメなものはダメだ、とその男性は早口でまくりたてた。「あいまいな喪失」を身近で見てきたのだろうと想像した。


■これは「本土の問題」である

«でいごの花が咲き風を呼び嵐が来た»

ザ・ブームの「島唄」は、1945年の沖縄戦を歌っている。真っ赤なでいごの花が咲く4月、米軍が沖縄に上陸し、空、海、陸から「鉄の暴風」といわれる銃弾を浴びせた。

「島唄」はほとんどの部分で「レ」と「ラ」のない「ドミファソシド」の琉球音階を使うが、サビ前の«ウージの森であなたと出会い、ウージの下で千代にさよなら»ではその琉球音階を使っていない。

なぜか。

ウージとは、沖縄の言葉でサトウキビ。生活の場を追われ、住民が逃げ込んだのがウージの下。つまり、「ガマ」だ。

地上で出会った僕らが、ガマで死ぬ――。

日本兵から「米軍の捕虜になると男は戦車でひき殺され、女は米兵の慰みものにされる」と恐怖心を植えつけられた。「ウージの下」は、親が子を、夫が妻を手にかける悲惨な集団自決(集団強制死)の現場にもなった。

ボーカルで作詞作曲を担当した宮沢和史さんは、琉球音階を使わなかったのではなく、使えなかったと語っている。

「非常にデリケートな歌詞。琉球の音階はつけられなかった。琉球音階にしてしまったら僕はそこから離れてしまう。本土の問題だと言いたかった」(2012年4月13日、沖縄タイムス)

沖縄戦はまだ終わっていない。宮沢さんのように、「本土の問題」として、しっかり向き合ってほしい。


■【福元 大輔】 沖縄タイムス記者/沖縄タイムス政経部県政キャップ。1977年生まれ。信州大学卒業。宮古毎日新聞で記者を務めた後、2003年沖縄タイムス入社。沖縄県警キャップ、八重山支局長、米軍基地・自衛隊問題担当などを経て、2017年から現職。


【出典】2021年4月21日配信「現代ビジネス」


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日米共同宣言「辺野古唯一」で一致――沖縄戦遺族「遺骨眠る土砂使うな」と抗議

2021年04月27日 | 国際・政治
訪米してバイデン米大統領と会談した菅義偉首相は「日米共同宣言」を発表。中国の軍事的・経済的覇権主義を意識してインド太平洋地域が厳しいとし、日米同盟を強化していく考えで一致しました。その中で、特に普天間米軍基地移設合意から25年たつも一向に進展せず、それどころか「唯一の解決策」として建設を進めている辺野古新基地建設に関し、県民が辺野古新基地建設に遺族の遺骨が眠る沖縄南部・糸満市の土砂を埋め立て用に使うなという願いを無視して、一刻も早く完成させることを確認しました。
沖縄戦犠牲者の遺族は、肉親の遺骨が埋まり、血の染みこんだ土砂を使用しないよう防衛省に迫っており、4月15日には県議会で同土砂を使用しないよう国に求める意見書を可決しており、県内市町村議会でも意見書の採択が続いています。
2021年4月19日配信「RBC NEWS」(琉球放送)、4月22日付け「しんぶん赤旗」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<日米共同声明 「辺野古唯一」で一致>

訪米した菅総理とアメリカのバイデン大統領は共同声明を発表し、普天間基地の固定化を避けるためには辺野古移設が「唯一の解決策」という従来通りの考えを踏襲しました。

(4月)17日にホワイトハウスで行われた会談で、菅総理とアメリカのバイデン大統領は「インド太平洋地域はいっそう厳しさを増している」として、日米同盟を強化していく必要性を確認したうえで、沖縄の負担を軽減するために普天間基地の辺野古移設を進める考えで一致しました。

「普天間飛行場の固定化を避けるための唯一の解決策である辺野古移設を含め、在日米軍再編を着実に推進することで一致をいたしました」(菅総理)

これを受け、玉城知事はコメントを発表し辺野古移設について「工期がおよそ12年となることが公表されていて一日も早い危険性の除去にはつながらない」と指摘したうえで、「辺野古が唯一の解決策という固定観念にとらわれることなく普天間基地の早期閉鎖・返還を実現してほしい」として、日米両政府に粘り強く対話を求めていく考えを示しています。


【出典】2021年4月19日配信「RBC NEWS」(琉球放送)


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<遺骨眠る土砂使うな――辺野古新基地 政府に遺族ら要請>

沖縄・辺野古(名護市)米軍新基地建設に沖縄戦犠牲者の遺骨の眠る土砂を埋め立てに使用する計画の撤回を求め21日、住民や遺骨収集ボランティアらが衆院第1議員会館で防衛、厚労両省への要請と院内集会を行いました。総がかり行動実行委員会など4団体が共催しました。

要請には、沖縄県南部の土砂使用に反対しハンガーストライキを行った遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(67)、沖縄平和市民連絡会で元土木技術者の北上田毅さん(75)、3組の遺族や支援者ら200人余りが参加。国が沖縄県に提出した建設工事の設計変更申請書に、南部の糸満市、八重瀬町の土砂3160万立方メートルを調達可能としていることに対し、防衛省に沖縄戦犠牲者の遺骨が埋まり、血の染みこんだ土砂を使用しないよう迫りました。

北上田さんは「南部の採掘場は、本来、法律に義務づけられた埋め戻しを行い原状復旧すべきで、辺野古に持って行く土砂はまったくない」と指摘。具志堅さんは厚労省担当者に「防衛省に、南部は遺骨があるから計画はやめてくれといってほしい。厚労省は戦没者の遺骨を遺族に返さなければいけない責任がある」と訴えました。

祖父が沖縄戦で戦死した遺族の一人は、「これは人間の行為ではない。遺骨は国のものではない。戦没者と遺族のもの。戦争で殺され、掘削で殺され、また埋め立てで殺されるのか」と声を詰まらせました。

防衛省は「遺骨の問題は重要だと考えており、今後検討したい」などと回答。厚労省担当者は「遺族としっかり対話し、一柱でも多くの遺骨をご遺族にとどけていきたい」などと述べました。

日本共産党の赤嶺政賢衆院議員をはじめ、立民、「沖縄の風」の国会議員が同席しました。


【出典】2021年4月22日付け「しんぶん赤旗」


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