広島市の松井一実市長は「原爆の日」の8月6日に行われる平和記念式典で読み上げる「平和宣言」について、「原爆」と「原発」事故は別物との認識を示したうえで、エネルギー政策に関する内容を盛り込むことが7月26日、判明しました。
これは「産経新聞」のインタビューに応えたもので、松井市長は「核兵器反対がなかなかうまくいかないから、(原発の)放射能被害で参りましょうかという、駆け引きには使わないでほしい」などと述べ、「原爆」と「原発」を同一視して論じることに不快感を示したというものです。
松井市長はインタビューの中で、福島第一原発事故の被害者について「放射能被害に対しての心配は分かる」と理解を示しながらも、「原爆」と「原発」の違いについて言及し、「人殺しのための絶対悪の核兵器と、人間のエネルギー造成のために使う技術は、きちっとした区分けが重要。一緒にしないでくださいということ」と説明しました。
また、「原発」について「問題があってもずっとやれということではない。国民の経済生活やエネルギーの確保、料金問題などを考え、再生可能エネルギーとのバランスをどうしていくか。政府がそこをしっかり国民に説明して解決すべき問題だ」と述べました。
松井市長は平成23年4月に就任。過去2回の平和宣言でも「脱原発」に踏み込まず、「市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を一刻も早く確立すること」を求めてきています。
昨年の平和記念式典では、平和記念公園の会場周辺に市民団体が多数集結し、「再稼働やめろ」などと叫ぶ場面があり、出席者らが原爆死没者に黙とうをささげる最中も、声をあげていたことが問題となりました。
こうした原爆死没者への追悼の場で「再稼働止めろ」との声を上げることは慎まなければならないのは当然です。しかし、「原発」が1950年代初頭に、アメリカのアイゼンハワー大統領(当時)によって自国の「核軍拡」を正当化させるための「核の平和利用」として喧伝され、アメリカ政府の政策として、日本においても1954年3月、ビキニ事件と時を同じく、中曽根元首相(当時は衆院議員)らによって「原発」関連の予算化がなされ、それ以降「原発」推進へ突き進んだ“歴史”がある訳です。さらに、アメリカはわが国最初の「原発」をこともあろうに被爆地・広島に作ろうとしたという経緯もあり、日本被団協も3・11の福島第一原発事故以降、「脱原発」を掲げていることからも、松井市長の「原爆と原発は別」発言は、到底受け入れ難い主張だと指摘しなければなりません。(サイト管理者)
【出典参考】2013年7月26日配信「産経新聞」
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