12月26日、鳩山由紀夫首相は、アール・エフ・ラジオ日本の番組収録で、「憲法改正」問題と「米軍普天間基地」問題の2点について語りました。
「憲法改正」問題については、「心の中に、ベストな国の在り方のための憲法を作りたい気持ちはある。議論することは議会人としての責務ではないか」と述べ、改憲姿勢を示しました。
首相在任中に改憲への姿勢を明示したのは、自身の首相在任中に改憲を実施すると公約して登場した安倍晋三元首相につづいてになります。
具体的テーマとしては「必ずしも9条というわけではなく、地方と国との在り方を大逆転させる地域主権という意味での改正をやりたい」などと語りました。
もともと鳩山首相は、安倍晋三元首相などとともに、自民、公明、民主、国民新党の改憲派議員で構成する「新憲法制定議員同盟」の顧問に就任しているれっきとした改憲論者であり、かつて「自衛軍」の保持などを柱とする改憲試案『新憲法試案』を発表していますし、民主党も「創憲」といって「改憲」を否定していません。しかし、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)では、改憲に関して「慎重かつ積極的に検討」と記しているだけで、首相も就任後、「憲法改正」問題に言及したことはありませんでした(※文末【資料】参照)。
また、鳩山由紀夫首相は米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題についても同番組の中で言及。「現実の中で考えれば、抑止力の観点からみて、グアムにすべて普天間を移設させることは無理があるのではないか」と述べ、米領グアムなど国外移設の可能性を事実上否定する発言をしました。
社民党が有力な国外移設先と位置付けるグアムを首相が排除する考えを示したのは初めてで、社民党からは「真意が理解できない」と批判する声が上がっており、連立政権内で新たな火種となるのは必至です。
鳩山首相は、米軍普天間基地の国外移設に関し、先に岡田勝也外相が強調していた「抑止力」論を持ち出し、その上で、前政権の産物とはいえ日本政府が「米海兵隊約8000人のグアム移転で米側と合意している」ことを指摘。「それ以上(の国外移転)というのはなかなか難しい」と語りました。
鳩山首相は先に、この「日米合意」(2006年)を見直し、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県名護市辺野古)以外の新たな移設先を社民、国民新両党と協議の上、2010年5月までに結論を出す方針を表明。12月28日には平野博文官房長官が主宰する政府・与党実務者級の協議機関が初会合を開き、検討作業を具体化させることになっていますが、調整は難航しそうとの見通しが一般的です。
首相就任100日目の現在、支持率が低迷してきている中であせりはじめたのか、鳩山首相のこうした発言には注意が必要です。
【資料】民主党マニフェストの「憲法」についての記述から
<国民の自由闊達な憲法論議を>
「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんにの皆さんとの自由闊達な憲法論議を各地で行ない、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。
【参考】2009年12月26日配信「時事通信」など
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