とだ九条の会blog

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「靖国DVD」の危険な中身(2)

2007年07月20日 | アニメ・コミック・ゲーム
昨日に引き続き日本青年会議所作成の「靖国DVD」について、その危険な中身を見ていきましょう。

しかも、「これはただのビデオ上映ではない」と藤森氏は指摘します。
アニメを上映した後、生徒にグループ討論をさせ、そこに青年会議所のメンバーが加わって討論を組織することになっているそうです。メンバーはこのために5時間に及ぶ近現代の研修を受けることになっており、テキストもあるらしいのですが、それには「南京大虐殺はなかった」などの歴史の事実を偽造する靖国史観がつまっているのだとか。討論のマニュアル(手引書)には靖国史観でつづられた論点のポイントが記され、メンバーを生徒には「先生とよばせる」よう、それこそ“洗脳”プログラムとなっているのです。

この「靖国DVD」は、安倍晋三首相が2006年12月に日本青年会議所の池田前会頭(当時は会頭)との会談で、「美しい国」で意気投合した際に池田会頭から手渡され、安倍首相も「教育再生の参考にしたい」と答えたというやりとりがある“いわく付き”の代物。おまけにその直後、池田会頭は文科省の調査研究委託の選定を行う委員の一人に就任しているのです。
この日本青年会議所の靖国教育が、その中身が問われないまま「地域住民の学校参加」の事業枠として認可され、文科省の事業となった訳です。この経過は、安倍政権と「靖国派」との距離の近さを動かぬ事実で示したものと言えると、藤森氏は言っています。

伊吹文科相自身が「私が校長なら使わない」と言ったほどの物を文科省が認可したこと自体、問題ですが、日本青年会議所は、政府の公式見解にも反するこの企てに全国から多くの批判を受けて、辞退せざるを得ませんでした。しかし、独自に各地の教育現場に持ち込む策動は回避できた訳ではありません。

■「靖国DVD」を教育に持込ませないことについて「とだ九条の会」が戸田市教育長に申し入れ
「とだ九条の会」でも7月5日、戸田市教育長に対し、代表の高柳美知子さんら4名がこの「靖国DVD」を教育に持ち込ませないように求めた「申し入れ書」を提出しました。応対した古沢立巳教育部長は「現在この様なアニメが教育現場に持ち込まれるという状況は聞いていない。採用は学校の裁量に任せているが、教育委員会として公正・中立の教育行政は堅持してゆきたい」と述べました。 (「とだ九条の会」ホームページ参照)
全国各地で日本青年会議所の策動を許さない上映阻止の取り組みが旺盛に行われていますが、これからも戸田市でこうした動きがないかどうか注意が必要です。


【参考】『前衛』2007年7月号「“靖国”派の支配としての安倍『教育再生』」(日本共産党文教委員会責任者・藤森毅著)

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タイムリーだった「せめぎあう映像メディア」―『新婦人しんぶん』より(1)

2007年06月30日 | アニメ・コミック・ゲーム
――「戦争は仕方なかった」「気づかない間にとりこまれていった」父や母があの戦争について語るとき、こんな話をよく聞かされました。いま、安倍内閣の下で教育基本法改悪や改憲手続き法などの悪法が次つぎと成立させられ、日本列島全土が軍事基地に再編させられようとしています。時を同じくして、「戦争する国」へ、巧みに国民を誘導する映画が全国上映され、学校現場には「日本の戦争は自衛のためだった」と教えるアニメDVDが持ち込まれようとしている――こんな書き出しで6月14日付の『新婦人しんぶん』1面で「せめぎあう映像メディア」と題した特集が掲載されています。
改憲に向けて、国会内では改憲勢力が多数を占め、改憲へ直結する様々な悪法が強行採決されたり、日米軍事同盟の再編強化が露骨に推し進められている中で、まさに“時を同じくして”改憲派・護憲派双方から多くの映画やDVDなど「映像メディア」が発表・放映されている時だけに『新婦人しんぶん』の特集は大変タイムリーな特集でしたので、その概要をご紹介したいと思います。

特集は、1ページにわたり、 歴史教育者協議会委員長の石山久男氏に聞くかたちで、4つの「映像メディア」を比較検討しています。改憲派の映像メディアとしては『俺は、君のためにこそ死ににいく』と『靖国DVD』を、一方、護憲派の映像メディアとしては『日本の青空』と『陸に上がった軍艦』です。

まず、『俺は、君のためにこそ死ににいく』=「みんな、美しか、すばらしか若者たちでした」と食堂のおかみさんの言葉で始まるこの物語は、太平洋戦争末期、日本の敗戦が色濃くなった中で、軍の上層部が最後の手段として考えた“特攻作戦”で命を落としていった若者たちの物語。この映画の脚本と製作総指揮はなんと石原慎太郎東京都知事とか。たしかに親や兄弟、妻や恋人との別れ、再会、機体や天候の不良で帰還せざるを得なかった特攻隊員の苦悩などさまざまなドラマが描かれているものの、「この闘いは、白人の手からアジアを解放するため、正しい信念だった」とか「靖国神社で待っている」などと「靖国」を観客に印象づける構成になっているといいます。この映画について、石山氏は、「(題名に関して)特攻の若者たちは『君のために』行ったわけではない。国家のために死にに行かされたんです」「特攻で死ぬという理不尽な死を自分自身に納得させるために、『家族のため』『恋人のため』と考えた。特攻で死んでいった人の中には『君のため』といった人もいるでしょうが、そこだけを取り上げて美化したら、戦争になればまた同じように国のために殺されることになる。そこがこの映画の狙いだと思います」と指摘しました。(つづく)


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日本青年会議所の“靖国DVD”に全国各地で上映反対の声

2007年06月06日 | アニメ・コミック・ゲーム
5月23日~25日の当ブログでもご紹介しましたが、日本青年会議所が作成したいわゆる“靖国DVD”(アニメ)が全国の学校に持ち込まれている問題で、各地で上映反対の動きが起こっています。

このDVDは、文部科学省が委託事業として採用した日本青年会議所作成の「近現代史教育プログラム」。『誇り』と題したこのDVDは、日本の侵略戦争を「日本の自衛、アジアの解放のための戦争だった」と描き、日本が中国で戦争をしたのは「ロシアがさまざまな謀略を日本にしかけたから」とか、朝鮮などでの日本の植民地支配についても「道路を整備したり、学校を建設した。国の水準を引き上げる努力もした」などと、侵略戦争を美化、正当化しており、そのシナリオは“靖国史観”そのもの、批判されてきた「新しい歴史教科書をつくる会」の主張する内容そのものとなっていて問題です。

おまけに、このDVDを生徒に見せた後、日本青年会議所のメンバーが加わって生徒たちとグループ討論をするのだそうですが、そのメンバー用の資料(マニュアル)には「戦争後の裁判で悪い国とされたことを払拭することに重点をおく」などと“東京裁判”を敵視するなど、ご丁寧にも“指導”が書かれている始末です。まさに“靖国史観”を植えつける“洗脳DVD”と言うべき危険なものと指摘せざるを得ません。

日本青年会議所は、安倍晋三首相が、以前、日本青年会議所会頭と対談した際に、このDVDを受け取り、「教育再生の参考にする」と答えています。今回、それを裏付けるかのように、文部科学省がこのDVDを委託事業として採用したということは、国が“お墨付き”を与えたわけで、非常に問題です。
日本青年会議所の方も、安倍首相の“激励”や文部科学省の“お墨付き”を得たことで活気づき、これを自らのホームページなどで最大限に宣伝して、地元の学校で実施するよう全国の地方青年会議所に呼びかけています。そして、地方の青年会議所も、これに応えて学校関係者を交えた上映会を開くなど周到に準備を進めていることも判明しています。
一方、この問題で全国各地で上映反対の動きも活発になっています。「“靖国DVD”を学校現場に持ち込むな」との申し入れを受けた多くの教育委員会では「適切ではない」「広げるつもりはない」「後援できない」「副材料としてもふさわしくない」などとの回答を得ています。また、伊吹文明文科相も採用した責任にはふれなかったものの、「私が校長なら使わない」と国会で答えざるを得ませんでした。ならば文部科学省は委託をただちに取り消すべきです。

この問題について、韓国メディアも「日本の右翼勢力が誤った歴史観を子どもたちに注入し、これを政府が事実上あおっており、子どもたちの歴史観が危険な方向に達するとの指摘が出ている」と報道しています。

このDVDは、政府が1995年に、過去の侵略戦争と植民地支配の誤りを公式に認めた『村山談話』の立場にも反するものです。作成し普及している日本青年会議所に抗議するとともに、政府・文部科学省はただちに委託を取り消すよう要求するものです。

そして、子どもと教育を守るためにも、まだまだ知られていないこの危険な動きを広く国民に知らせ、全国から、批判の声をあげていきましょう。


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驚き!“靖国DVD”の授業、 文科省が採用(3)

2007年05月25日 | アニメ・コミック・ゲーム
日本青年会議所作製のDVD「誇り」の内容の一部を「しんぶん赤旗」(5月18日付)より転載し、紹介します。


<DVDが語る主な内容>
DVDアニメ「誇り」は、過去の戦争をめぐって高校生「こころ」が、過去から来た青年「雄太」から話を聞くかたちで進行します。2人は靖国神社へも出かけます。雄太が語る戦争の歴史とは――。

■【日露戦争】
「領土拡大戦略として南下してきたロシアと、そのロシアから自分たちの国を守りたかった日本。その後、それぞれの思惑とは別に周囲を巻き込みながら、その後の大東亜戦争にまで発展していくんだ」

■【日中戦争】
「ロシアは、中国大陸における覇権争いをしていた国民党や共産党をたくみに操り、さまざまな謀略を日本にしかけはじめた。そうとは知らない日本は中国大陸で抜けるに抜け出せない、泥沼のような戦いを繰り広げていくことになっていく」

■【対米戦争】
「日本対アメリカを含む連合国軍との戦いを、当時、日本では東アジアの白人からの解放を大義目的にそう(大東亜戦争と)呼んでいたんだ」
「日本は亡国の道を歩むか、戦争に突入するか――二つに一つの決断を迫られ、アメリカをはじめとする連合国軍との戦争という苦渋の決断を強いられた」

■【東京裁判・GHQ(連合国軍総司令部)】
「東京裁判は勝った国が負けた国を一方的に裁く復しゅう裁判だった」
「(GHQは)戦争で残虐行為を働いた凶悪な日本兵というイメージを日本国民に植え付け、洗脳していった」

靖国神社で、雄太は「愛する自分の国を守りたい、そしてアジアの人々を白人から解放したい――日本の戦いには、いつも、その気持ちが根底にあったような気がする」と語ります。
雄太の話を聞いた、こころはつぶやきます。
「私が今ここにいるのは、過去に日本という礎を築いてくれたたくさんの人たちがいたから…。そして大事なことは、正しい事実をきちんと知ること」


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驚き!“靖国DVD”の授業、 文科省が採用(2)

2007年05月24日 | アニメ・コミック・ゲーム
この問題の指摘は、石井郁子参議院議員(日本共産党)が5月17日の衆院教育再生特別委員会で質問して明かとなったもの。石井議員の追及に、安倍晋三首相は「まだ見ていないが、日本共産党の立場から評価しているのではないか」などと述べました。石井議員は「(政府が1995年に公式に、過去の侵略戦争と植民地支配の誤りを認めた)『村山談話』とまったく違う内容を学校で普及することは政府の立場とも相いれない」と指摘。伊吹文明文科相は採用した責任にはふれなかったものの、「私が校長なら使わない」と答えざるを得ませんでした。

この文部科学省の研究委託事業「新教育システム開発プログラム」は「あるべき新しい教育システムを提言するための調査研究を行う」として文部科学省が2006年度から始めた事業ですが、今回のDVDの採用は偶然ではありません。
それは安倍首相が日本青年会議所の広報誌『We Believe』2006年12月号で、当時の池田佳隆会頭と対談した際、日本青年会議所が「美しき日本」をスローガンにしていることで、安倍首相と同じ理念を掲げていると意気投合。その席で手渡されたDVDを安倍首相は「教育再生の参考に是非拝見させていただきましょう」と述べていたからです。

このような“靖国史観”を地で行くDVDを教材にすることは、過去の戦争への反省とおわびを述べた1995年の『村山談話』に反するものであり、公教育で使われることは、あってはならないことです。政府・文部科学省は、委託をただちに撤回し、上映活動をやめさせるべきです。(つづく)


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