とだ九条の会blog

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危険な核兵器発射態勢に国連が待った!--国際世論は核兵器の廃絶(2)

2008年02月29日 | 国際・政治
昨日に引き続き、核兵器廃絶に向けての世界の動きをご紹介します。

2000年の「核不拡散条約(NPT)再検討会議」でアメリカも含めて全世界が合意した「核兵器廃絶」への「明確な約束」は、もともと1998年にインドやパキスタンが相次いで行った核実験に抗して世界が出した回答でした。
それは「核兵器の拡散を防ぐためには、既存の核保有国の特権にしがみつくのではなく、世界が一致して核兵器廃絶に動く以外にない」という決意でした。
しかし、それに対し、米国ブッシュ政権は、その「合意」に背を向け、こともあろうに「先制武力攻撃」と「核兵器使用」からなる「国家安全保障戦略」を持ち込んで、国際世論の動きに敵対しているのです。
しかし、核兵器にしがみつくアメリカの孤立は目に見えて明らかになってきています。これも先の当ブログでもご紹介しましたが、核兵器廃絶の「約束」実行を求める非核国の「新アジェンダ連合」提案は、賛成156、反対5、棄権14というこれも圧倒的大差で採択されましたし、マレーシアなど非同盟諸国の提案「ICJ勧告的意見の後追い」でも賛成127、反対27、棄権27という圧倒的大差で可決されました。
包括的核実験禁止条約の発効(賛成176、反対1、棄権4)、第4回国連軍縮特別総会の開催(賛成179、反対1、棄権1)から、アメリカ社会を悩ます小型武器の取り締まりについての決議まで7本の決議では、アメリカ1国のみが反対し、孤立した姿をさらしたのです。

こうした変化は、国際社会だけではなく、当の核保有国でも現れてきています。キッシンジャー元米大統領補佐官は「核兵器のない世界を共通とすべき」と提唱していますし、イギリス外相も「核兵器のない世界へのビジョンと行動」を呼びかけ、さらにスペインのサパテロ首相も07年世界大会の「長崎からの手紙」に応え、「非核国・スペインは核兵器廃絶運動に確固たる意思を持って支持する」と述べています。また、ローマ教皇も核兵器廃絶の交渉開始を呼びかけています。
(つづく)

【参考】『いま行動のとき!核兵器のない世界 非核平和の日本へ~2008年3・1ビキニデー』(原水爆禁止日本協議会:編集・発行、頒価200円)


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
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危険な核兵器発射態勢に国連が待った!--国際世論は核兵器の廃絶(1)

2008年02月28日 | 国際・政治
2月15~17日付け当ブログ「核兵器のない世界へ--3・1ビキニデーへ」でもご紹介しましたが、今年のビキニデーをはじめ、反核平和運動において、これからの2年間には特別な思いがあります。それは、2010年春の「核不拡散条約(NPT)再検討会議」にむけて、今後2年間の核兵器廃絶の運動をとりわけ大きく発展させる必要があるからです。

すでにご紹介しましたが、2000年の「再検討会議」で、核保有国も含め世界のすべての国が賛同して「自国核兵器の完全廃絶を達成する」との明確な約束を含めた「最終文書」を合意するという画期的な成果を実現しましたが、その後行われた2005年の「再検討会議」では、最大の核保有国であり圧倒的な力を持つアメリカなどがあれこれの理由をつけてこれを妨害しており、2年後2010年の「核不拡散条約(NPT)再検討会議」には、どうしても本格的な核兵器廃絶への実施を実現しなければならないからです。

特に昨年12月5日、国連総会が「核兵器の即時発射態勢」に待ったをかける決議「核兵器システムの作戦即応態勢の低減」を採択したことは、大きな意味を持っています。
世界の核兵器はロシア16000発を筆頭に、アメリカ10100発、フランス350発 イギリス200発、中国200発と続き、世界でおよそ27000発あると言われています。そのうち、警報があればただちに発射できるものは2000発とも3000発とも言われているのです。国連でアメリカ代表は「即時発射態勢などとっていない」などと否定に大わらわでしたが、米ロが「警報即発射態勢」を解いていないのは想像するに難しくありません。
結局、「核兵器システムの作戦即応態勢の低減」の決議は、賛成139、反対3(アメリカ、フランス、イギリスの3国)の大差で採択されました。特にアメリカの同盟国であり、アメリカの核が配備されているドイツとイタリアが賛成票を投じたことは画期的なことでした。
(つづく)

【参考】『いま行動のとき!核兵器のない世界 非核平和の日本へ~2008年3・1ビキニデー』(原水爆禁止日本協議会:編集・発行、頒価200円)


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脱「構造改革」、日本経済もうひとつの道へ--山家悠紀夫氏の講演から(7)

2008年02月27日 | 国際・政治
昨日に引き続き、山家悠紀夫氏の講演および著書『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』から、自民党が「新憲法草案」の基調としている新自由主義的「構造改革」について考えていきたいと思います。(文責:サイト管理者)

山家氏は、政府がよく行う「日本は高齢化社会を迎えており負担が大変」という議論についても、この話には「誇大宣伝」があると批判しています。興味深い指摘なので最後にご紹介します。

山家氏は、厚生労働省などのホームページや出版物などで、よく下に成人が手を上げて台を支え、その台の上にお年寄りが乗っているイラストを見ますが、このイラストは誤解を与えると言います。
その理由の1つは、働く人が支えるのはお年寄りだけではなく、子どもも支えるはずだということ。現在、現実的には大学生くらいまでの子どもも支えている訳ですから、その意味では台の上に乗らなければならないのは、お年寄りと子どもでなければならないと言うのです。
その両方を乗せるという考えで行くと、戦後の日本は子どもが多かったので支える人の比率は55%くらい。その後、高齢化がそんなに進まず、子どもの数も減ったために60数%が支えているという状況に変わりましたが、さらに子どもが減りお年寄りが増えて、また重みが変わってきたというのが最近の状況だと言うのです。その意味では、およそ戦後直後の55対45の比率に戻るということで、そんなに支える人の負担が重くなるわけではないはずだと指摘しています。
理由の2つ目は、戦後の経済水準と現在の経済水準の違いということを指摘します。GDPでいうと何十倍になるわけですから、遙かに豊かになっている現在、お年寄りと子どもを大人が支えきれないと言うのはおかしいと言うのです。
理由の3つ目に、山家氏は「支えきれないからといって、だからどうしようというのか」という点を指摘します。負担増があるなら、これはもう仕方がないと諦めるしかないと。
高齢化社会が負担だからといって、まさかお年寄りに死んでもらうという解決策を提案する人はいないのではないか(今の政府の社会保障切り捨てと後期高齢者医療制度新設などの庶民増税は、まさに「死んで欲しい」と言わんばかりの仕打ちだと思いますが…サイト管理者)とした上で、山家氏は、「大変だから、社会保障を減らしてお年寄りにもっとしんどい目をしてもらわなくちゃいけない」というのは、本末転倒だと思うと述べ、本来の社会や政治のあり方の問題をするどく批判しました。

さあ、山家氏の講演(一部、その著書より補填)はどうだったでしょうか。自民党が2005年10月に発表した「新憲法草案」は、橋本・小泉元首相が掲げてきた新自由主義的な「構造改革」、つまり日本経済の発展を市場の原理にゆだね、政府が日本経済の舵取りで果たす役割も、また国民の社会保障を充実させるという役割も投げ捨ててきた経過がよく分かったのではないかと思います。そして、現在の福田首相も継承する「構造改革」から“脱却”し、日本経済を「もうひとつの道へ」進める根本的な転換が必要なこともよく分かったのではないでしょうか。


【出典】『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』(山家悠紀夫著、かもがわ出版刊、1800円+税)


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脱「構造改革」、日本経済もうひとつの道へ--山家悠紀夫氏の講演から(6)

2008年02月26日 | インポート
昨日に引き続き、山家悠紀夫氏の講演および著書『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』から、自民党が「新憲法草案」の基調としている新自由主義的「構造改革」について考えていきたいと思います。(文責:サイト管理者)

山家氏は、財政赤字を解消する手段として話題に上がっている消費税増税には3つの大きな問題があると指摘します。
1つは、消費税が所得の少ない人ほどその負担が重いという不公平税制であるということ。
2つは、消費税が中小・零細企業いじめの税になるということ。
3つは、消費と景気への影響がきわめて大きな税であり、増税による景気の悪化が懸念されるということ。

それでは、政府がことあるごとに国債残高が537兆円あり、国民一人当たり400万円以上の借金があると脅かす財政赤字をどうすれば克服したらいいか--山家氏は、まず政府の赤字を、政府の資産と負債全体の中でとらえるべきであると語ります。借金だけを見ていては実態を見誤るというのです。銀行勤務が長かった山家氏らしい指摘です。要約するとこうなります。
第1に、政府の財政を資産と負債の「バランスシート」で見るということ。
第2に、日本経済は政府だけで成り立っているわけではないので、他の経済部門(家計部門・企業部門など)を含めて、日本経済全体のなかで財政赤字を考えるということ。

まず第1の視点では、2004年末時点の数字ですが、政府の金融資産は478兆円、借金が886兆円(総債務残高)ですから、差し引き408兆円が資金不足(純債務残高)となります。
一方、日本の家計部門では、金融資産は1433兆円、住宅ローンなどの借金が378兆円となっており、さらに企業部門では資金不足が503兆円、その他非営利団体等の資金余剰が42兆円となっています。
このように日本経済全体で見ると、(478+1433+42)-(886+378+503)=186兆円のお金が余っているという状況です。
こうした視点で考えると、日本政府はお金が足りないけれども、日本全体ではお金が余っているというのが日本経済の姿だというのです。

これは世界の主要国との比較で見ても、ダントツでお金が余っている国ということが言えます。
山家氏は、現在の「構造改革」を脱皮して、財政赤字を解決する「もう一つの道」として、この余っているお金を有効に使うことを考えた方がいいと提言しています。つまり、ムリに増税すると橋本内閣の時のように景気悪化の二の舞になりますから、家計にお金が回るような、家計の所得と消費が増えるような経済政策をとり、景気をよくする必要があると主張します。その意味では日本の公共事業支出は必要な公共事業もありますが、どう考えても多すぎますので、無駄な公共事業を削ること、そして軍事費5兆円という無駄も次第に減らしていくことが大事だと言います。
さらに山家氏は、政府がサラリーマンや国民の所得税や消費税を増税するというのではなく、負担能力に応じた増税、つまり空前の利益を上げている大企業や高額所得者、資産家などから相応分の増税をすべきだとも主張します。
大企業増税をすると、よく国際競争力が低下するという反論が聞かれますが、この点でも山家氏は、その主張が根拠のない点を指摘し、日本が世界一の国際収支黒字国であるという現実を示しながら、国際競争力に不安はないとの見解を示しています。


【出典】『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』(山家悠紀夫著、かもがわ出版刊、1800円+税)


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脱「構造改革」、日本経済もうひとつの道へ--山家悠紀夫氏の講演から(5)

2008年02月25日 | 国際・政治
昨日に引き続き、山家悠紀夫氏の講演および著書『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』から、自民党が「新憲法草案」の基調としている新自由主義的「構造改革」について考えていきたいと思います。(文責:サイト管理者)

2007年10月1日の福田首相の「所信表明演説」を報道した日本経済新聞の夕刊は、「改革継承、格差も配慮」という大見出しにつけ加えて「財政収支 11年度黒字堅持 給油継続は『日本の責任』」という見出しを立てて報道しました。この「財政収支 11年度黒字堅持」とは、前述したように2011年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化するという目標のことです。
山家氏の著書では、「基礎的財政収支」について次のように解説しています。

「基礎的財政収支」とは、「借入を除く税収等の歳入」から「過去の借入に対する元利払いを除いた歳出」を差し引いた財政収支のこと。基礎的財政収支が均衡すれば、毎年度の税収等によって、過去の借入に対する元利払いを除いた毎年度の歳出を賄うこととなります。近年の我が国の基礎的財政収支は大幅な赤字となっていますが、政府は、持続可能な財政の構築に向けて、子や孫の世代に負担を先送りすることで債務残高が経済の規模に比べてさらに増大することを抑制するため、まずは2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指すこととしています。
つまり「基礎的財政収支」を黒字にするという目標はどういう事かというと、一般歳出をすべて税金で賄うということです。言い換えると借金収入は借金の金利の支払いと借金の返済の範囲内に限るようにするということで、そういうところまで年間の財政赤字を縮めるということです。

例えば、2006年度の国の一般会計予算は、歳入(収入)は80兆円、うち税金収入は50兆円、国債発行が30兆円ですが、歳出(支出)の方はどうかといえば、総額は同じ80兆円ですが、一般歳出(社会保障関係費、公務員の給料等々)が61兆円、国債費(金利の支払いと過去の借金の返済)が19兆円です。
この数字から前述の「基礎的財政収支」を計算すると、11兆円の赤字となり、これをなんとかしなければならないとなるわけです。

さらにこれに特別会計なども加え、2011年度の財政収支を計算すると、さらに膨らみ16.5兆円の収支改善が必要というのが小泉内閣の終わり頃に出した目標数値ということです。
この16.5兆円をどうやって捻出していくのか--方法は2つ。「出」の方である一般歳出を極力抑えることと、「入り」の方である税収を増やすことだと考えたわけです。
歳出を押さえるために「小さな政府」にするという政策。具体的には雇用保険への政府の負担を廃止したり、生活保護を見直したり、介護保険や医療保険も見直し、さらには公務員の人件費を削減するなどです。
また歳入を増やすためには、消費税増税をもくろんでいるのは前述したとおりです。自民党の「2008年度税制改正大綱」では「社会保障の費用を賄う主要な財源として消費税を位置づけ、早期に抜本改革を」と主張しています。また民主党も「税制改革大綱」で「社会保障目的税化、社会保障制度の抜本的改革を前提に、消費税増税」を掲げていると山家氏は紹介しています。
このように、小泉、安倍と続いて、「構造改革」を継承した福田首相は、さらに格差をもたらす方向に日本経済を進めようとしているのです。
(つづく)


【出典】『「痛み」はもうたくさんだ!脱「構造改革」宣言』(山家悠紀夫著、かもがわ出版刊、1800円+税)


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