昨日に引き続き、「官房機密費」(内閣官房報償費)の使途について「大阪日日新聞」(2010年7月17日付)の特集記事から、その関連記事を掲載します。(サイト管理者)
■ザル法の政治資金規正法
―以前と比べ、派閥のたががゆるんだと聞いているが。
そうだ。政治とカネをめぐる環境は、派閥全盛のときから様変わりした。きっかけは、政党助成金(注1)だ。94年に選挙制度が中選挙区制から小選 挙区比例代表並立制に変わった際、同時につくられたもので、国民一人あたりがコーヒー一杯分の250円を負担し、各政党に交付される。だが、2000年1月から政治家個人への企業献金と団体(日教組など)献金が禁止されるまでの5年間は、政党助成金と企業献金の「二重取り」が行われていた。たとえば、1998年当時、自民党は152億円の政党助成金のほかに企業献金74億円を受けていた。―民主党はどうか?
意外に知られていないが、民主党の場合、野党のときから政治運営のカネは大半が政党助成金、つまりわたしたちの税金でまかなわれていたのだ。現に2010年分の政党助成金は172億9700万円で、党の収入の実に85%近くを占めている。ちなみに自民党の場合は103億7500万円で、党収入に占 める割合は50%強だ。―政治とカネのあり方が問題になるたびに政治資金規正法(注2)が問われているが。
議員立法でつくられた法律のため、基本的に政治家の首を絞めるような厳しい規制は排除されているからだ。“ザル法”といわれるゆえんだ。政治家に は“3つの財布”がある。政治資金管理団体と政党支部、政治団体という受け皿である。個人向けは禁止されている企業・団体献金も政党本部を経由して流され る「迂回(うかい)献金」がその例の一つだ。―週刊ポストや東京新聞は官房機密費の報道に熱心だが狙いは?
ほとんどのメディア、なかでも大手マスコミが官房機密費について完全に無視し、まったく報じていない中で、「週刊ポスト」(小学館発行)がフリー のジャーナリスト、上杉隆氏を通じて精力的に報道しているのは大いに評価に値する。特に、元NHKの官邸キャップと元産経新聞政治記者の証言を引き出したことは、真相の一端を明るみに出したスクープといえる。また、地域ブロック紙として独自の存在感を持つ「東京新聞」だけが先んじて官房機密費の報道をしたのは、大手紙への対抗意識が背景。シビアな競争に直面している新聞界で、より読者のニーズに応えることで生き残りを図るしたたかな狙いが読み取れる。
しかし、ほかの著名な記者や各マスコミはそろって口をぬぐったままだ。同じころに現役の政治記者だったわたしには「間違いなくあったこと」と分かっており、彼らはいずれも恥をさらすことへの恐怖と体面を保つために全否定しているものと理解している。染みついた悪習をなくすためにも、また、「社会の木鐸(ぼくたく)」を任じる記者ならば、今こそ重い口を開くべきときだ。
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(注1)政党助成金 政党助成金は、国勢調査人口に250円をかけた総額を、議員数割と得票数割に応じて、各政党に交付される。ただ共産党だけは制度に反対して受け取っていない。なお、政党の要件は、(1)所属する国会議員が5人以上、(2)所属する国会議員がおり、直近の国政選挙で全国の得票率が 2%以上―のいずれかを満たす必要がある。
(注2)政治資金規正法政治資金の収支を明らかにすることで、政治活動におけるカネの流れの透明性を確保するとともに、政治腐敗をなくす狙いから1948年、議員立法で成立。政治とカネにからむ腐敗事件が起きるたび、大きな制度改正が行われた。最近では、2008年に1円以上の領収書の公開や、第 三者による監査の義務付けを柱とした改正をした。
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【出典】2010年7月17日付け「大阪日日新聞」より
http://www.pressnet.co.jp/osaka/kiji/100717_16.shtml
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