昨日に引き続き、『日本国憲法の精神』(渡辺洋三著、新日本出版社刊)から、渡辺氏が指摘する国連憲章と日本国憲法の基本精神について見て行きます。(文責:サイト管理者)
国連加盟国が、国連憲章にもとづいて武力の行使やその威嚇の禁止を前提としたとしても、世界の平和は守られるのか、第二次世界大戦のときのようにヒットラーや日本軍国主義のような侵略者が出てきたらどうするのか、といった疑問が出てきます。
そこで国連は、こうした場合に備えて「集団安全保障体制」という仕組みを設けました。
これは、国連が、全体として世界の平和を守る責任をとるという考え方です。国連憲章は、国と国との争いで主権国家の武力行使を認めないというのですから、争いの解決は、中立で第三者の立場にある国連の手で解決する以外にはありません。そこで、国連憲章第6章で、国連がまず紛争の平和的解決に努力し、それでも解決しない場合には、安全保障理事会に対し解決を付託したり、安全保障理事会の手で紛争の調整や勧告をするとしています。もし侵略国が出現したとしたら、安全保障理事会が中心となっていろいろ手を打ちますが、この場合もまず非軍事的措置が優先するのは当然です。例えば経済措置とか外交関係や通信手段などを止めるとか、いろいろ考えられます。しかし、どんな非軍事的なやり方での制裁でも侵略が終らない場合の例外中の例外として、国連憲章では、いわゆる国連軍をつくって武力制裁することも認めているのです。
この点が、いかなる武力行使も認めていない日本国憲法と決定的に違う点であり、国連憲章が軍隊そのものを禁止していないことの当然の結果であるというわけです。
しかし、国連憲章の規定がそうなっていても、実際には今まで一度も国連軍なるものは作られなかったといいます。というのは、この国連の集団安全保障体制を動かす安全保障理事会の5つの常任理事国(米・英・仏・ソ〈当時〉・中)が「拒否権」という特権を持っており、1国でもその「拒否権」を主張すれば、この集団安全保障体制は動けない仕組みになっているからです。そうした意味では、世界の平和を守るための国連の集団安全保障体制という仕組みは、現在まで凍結状態だったというわけです。(つづく)
【参考】『日本国憲法の精神』(渡辺洋三著、新日本出版社刊、1800円+税)
※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/
国連加盟国が、国連憲章にもとづいて武力の行使やその威嚇の禁止を前提としたとしても、世界の平和は守られるのか、第二次世界大戦のときのようにヒットラーや日本軍国主義のような侵略者が出てきたらどうするのか、といった疑問が出てきます。
そこで国連は、こうした場合に備えて「集団安全保障体制」という仕組みを設けました。
これは、国連が、全体として世界の平和を守る責任をとるという考え方です。国連憲章は、国と国との争いで主権国家の武力行使を認めないというのですから、争いの解決は、中立で第三者の立場にある国連の手で解決する以外にはありません。そこで、国連憲章第6章で、国連がまず紛争の平和的解決に努力し、それでも解決しない場合には、安全保障理事会に対し解決を付託したり、安全保障理事会の手で紛争の調整や勧告をするとしています。もし侵略国が出現したとしたら、安全保障理事会が中心となっていろいろ手を打ちますが、この場合もまず非軍事的措置が優先するのは当然です。例えば経済措置とか外交関係や通信手段などを止めるとか、いろいろ考えられます。しかし、どんな非軍事的なやり方での制裁でも侵略が終らない場合の例外中の例外として、国連憲章では、いわゆる国連軍をつくって武力制裁することも認めているのです。
この点が、いかなる武力行使も認めていない日本国憲法と決定的に違う点であり、国連憲章が軍隊そのものを禁止していないことの当然の結果であるというわけです。
しかし、国連憲章の規定がそうなっていても、実際には今まで一度も国連軍なるものは作られなかったといいます。というのは、この国連の集団安全保障体制を動かす安全保障理事会の5つの常任理事国(米・英・仏・ソ〈当時〉・中)が「拒否権」という特権を持っており、1国でもその「拒否権」を主張すれば、この集団安全保障体制は動けない仕組みになっているからです。そうした意味では、世界の平和を守るための国連の集団安全保障体制という仕組みは、現在まで凍結状態だったというわけです。(つづく)
【参考】『日本国憲法の精神』(渡辺洋三著、新日本出版社刊、1800円+税)
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