とだ九条の会blog

「とだ九条の会」公式HPに併設=「とだ九条の会ブログ」でネットワークを広げます。

岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』を読んで(3)――憲法研究会案

2007年10月31日 | ニュース
11月10日(土)に「とだ九条の会」でも試写会を実施する、映画「日本の青空」の主人公・鈴木安蔵(憲法学者)ら民間人による「憲法研究会」が作成した『憲法草案要綱』が、『検証・憲法第九条の誕生』(岩田行雄編・著)に資料として掲載されています。
これまで、日本国憲法はGHQによって作られ、「押し付けられた憲法」という批判がもっぱら改憲理由の筆頭に掲げられ、もっともらしく語られてきましたが、日本人、それも民間人が『憲法草案』を提案していたこと、そしてそれをGHQが高く評価していたこと、さらにそれが現行・日本国憲法のお手本として大いに役立っていたということは、意外と知られていません。ましてや、その原文はなかなか目にすることはなかったでしょう。そこで、憲法研究会の『憲法草案要綱』全文をご紹介します。

『検証・憲法第九条の誕生』で、岩田氏は次のように説明を加えています。

民間の研究団体である憲法研究会が、1945年12月26日に発表。内閣に対して参考意見として提出され、GHQにも届けられた。日本政府はこれを採用しなかったが、GHQ民政局に高く評価され、現行憲法の基礎となった。会員は、高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩渕辰雄、室伏高信、鈴木安蔵。起草者は憲法学者・鈴木安蔵(劇映画「日本の青空」で紹介)。8章58条の構成。戦争放棄にはふれていないが、軍に関する規定はない。原文は、以下の通りの箇条書きで、第○章、第○条の文字はない。句読点も、濁点もない。


憲法草案要綱 憲法研究会案

根本原則(統治権)
一、日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス
一、天皇ハ国政ヲ親ラセス、国政ノ一切ノ責任者ハ内閣トス
一、天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル
一、天皇ノ即位ハ議会ノ承認ヲ経ルモノトス
一、摂政ヲ置クハ議会ノ議決ニヨル

国民権利義務
一、国民ハ法律ノ前ニ平等ニシテ出生又ハ身分ニ基ク一切ノ差別ハ之ヲ廃止ス(現行憲法第一四条、以下カッコ内は同じ)
一、爵位勲章其ノ他ノ栄典ハ総テ廃止ス
一、国民ノ言論学術宗教ノ自由ヲ妨ケル如何ナル法令ヲモ発布スルヲ得ス(二〇、二一、二三条)
一、国民ハ拷問ヲ加へラルルコトナシ(三六条)
一、国民ハ国民請願国民発案及国民表決ノ権利ヲ有ス
一、国民ハ労働ノ義務ヲ有ス(二七条)
一、国民ハ労働ニ従事シ其ノ労働ニ対シテ報酬ヲ受クル権利ヲ有ス(二七条)
一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス(二五条)
一、国民ハ休息ノ権利ヲ有ス、国家ハ最高八時間労働ノ実施、勤労者ニ対スル有給休暇制療養所、社交
教養機関ノ完備ヲナスヘシ(二五条)
一、国民ハ老年疾病其ノ他ノ事情ニヨリ労働不能ニ陥リタル場合、生活ヲ保証サル権利ヲ有ス(二五条)
一、男女ハ公的並私的ニ完全ニ平等ノ権利ヲ享有ス(現:第二四条ほか)
一、民族人種ニヨル差別ヲ禁ス(一四条)
一、国民ハ民主主義並平和思想ニ基ク人格完成社会道徳確立諸民族トノ協同ニ務ムルノ義務ヲ有ス

議会
一、議会ハ立法権ヲ掌握ス法律ヲ議決シ歳入及歳出予算ヲ承認シ行政ニ関スル準則ヲ定メ及其ノ執行ヲ
監督ス条約ニシテ立法事項ニ関スルモノハ其ノ承認ヲ得ルヲ要ス
一、議会ハ二院ヨリ成ル
一、第一院ハ全国一区ノ大選挙区制ニヨリ満二十歳以上ノ男女平等直接秘密選挙(比例代表ノ主義)ニヨリテ満二十歳以上ノ者ヨリ公選セラレタル議員ヲ以テ組織サレ其ノ権限ハ第二院ニ優先ス
一、第二院ハ各種職業並其ノ中ノ階層ヨリ公選サラレタル満二十歳以上ノ議員ヲ以テ組織サル
一、第一院ニ於テ二度可決サレタル一切ノ法律案ハ第二院ニ於テ否決スルヲ得ス
一、議会ハ無休トス ソノ休会スル場合ハ常任委員会ソノ職責ヲ代行ス
一、議会ノ会議ハ公開ス秘密会ヲ廃ス
一、議会ハ議長並書記長官ヲ選出ス
一、議会ハ憲法違反其ノ他重大ナル過失ノ廉ニヨリ大臣並官吏ニ対スル公訴ヲ提起スルヲ得之ガ審理ノ為ニ国事裁判所ヲ設ク
一、議会ハ国民投票ニヨリテ解散ヲ可決サレタルトキハ直チニ解散スベシ
一、国民投票ニヨリ議会ノ決議ヲ無効ナルシムルニハ有権者ノ過半数カ投票ニ参加セル場合ナルヲ要ス
(つづく)


【参考】『検証・憲法第九条の誕生~「押し付け」ではなく、自ら平和条項を豊富化した論議の全経過』(岩田行雄 編・著、自費出版、特別価格200円)

<発行者・岩田行雄氏扱いの場合>
1口10冊単位での普及をお願いしています。
電話・FAX03-5386-1497 岩田行雄(いずれも午後9時まで)
郵便振替00190-1-352884 岩田行雄宛て

<書店で購入の場合>
以下の書店で1冊から販売しています。
●芳林堂書店高田馬場店4F(政治コーナー)03-3208-0241
●美和書店(代々木)03-3402-4146
●友好堂書店神保町店03-3291-1181


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

防衛省からの軍需企業上位15社への天下り475人

2007年10月30日 | ニュース
テレビで守屋武昌前防衛事務次官の「証人喚問」が放映されました。軍需専門商社「山田洋行」の宮崎元伸元専務から、ゴルフや飲食の接待を受けていたという疑惑が発覚したということ、そして海上自衛隊によるインド洋上で米艦船への給油活動でイラク戦争へ参加の艦船に給油していたのではないかという疑惑が発覚したからですが、問題の本質は、国際貢献という美名のもとで国民を欺いて米国への戦争支援を行いながら、一方で防衛省・政軍財と軍需産業とが癒着しあって便宜供与しているのではないかとの疑惑が持たれていること――さらには宴席に防衛庁長官経験者も同席していたということも判明したように、まさに防衛省を巡る構造的な問題に発展しています。
すでに当ブログでも、「軍需企業からの自民党への献金、約1.9億円(上位15社分)」など、軍需企業から政府・自民党への献金などについて糾弾してきましたが、このほど、その防衛省から軍需企業への天下りが、防衛省との契約上位15社中になんと475人もいるということが、『しんぶん赤旗』の10月28日の報道で判明しました。

守屋前防衛事務次官の疑惑解明をはじめ、こうした軍需産業と防衛省・政軍財との癒着の構造的体質の全容解明を求めると共に、こうした天下りをきっぱりとやめることこそ、今求められていることではないでしょうか。

9月16日付け当ブログに掲載の「防衛省2006年度契約上位15社の契約金額と自民党への献金額」一覧に、今度は「天下り」人数を追加してみます。防衛省契約高に比例して自民党への政治献金額と天下り人数が多いことに気がつかれるでしょう。


【防衛省2006年度契約上位15社の契約金額と自民党への献金額と天下りの実態】
※軍需企業名(契約額:億円)<献金額:万円>【天下り:人】

1、三菱重工業(契約額2776億円)<献金額3000万円>【62人】
2、川崎重工業(1306億円)<500万円>【49人】
3、三菱電機(1177億円)<1820万円>【98人】
4、日本電気(831億円)<1800万円>【40人】
5、アイ・エイチ・アイ・マリンユナイテッド(446億円)<――>【16人】
6、富士通(441億円)<1680万円>【16人】
7、東芝(423億円)<2850万円>【35人】
8、石川島播磨重工業(365億円)<1090万円>【34人】
9、小松製作所(363億円)<1000万円>【21人】
10、富士重工業(199億円)<1800万円>【26人】
11、日立製作所(194億円)<2850万円>【59人】
12、中川物産(148億円)<――>【――】
13、新日本石油(143億円)<――>【――】
14、ダイキン工業(133億円)<300万円>【17人】
15、コスモ石油(131億円)<――>【2人】


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』を読んで(2)――国際貢献と軍備について

2007年10月29日 | ニュース
インド洋での海上自衛隊による給油活動継続を巡って、政府が「新テロ対策特別措置法案」を閣議決定し今国会に提出し可決成立させようとしていますが、まさにこの「国際貢献と軍備」という問題で、昭和21年6月に、憲法改正草案に関する想定問答として時の法制局が作成した文章があります。
岩田行雄編・著『検証・憲法第九条の誕生』に資料として掲載されているものです。

それによると、「第九条により軍備を保持しないことになると将来国際連合に加入する場合に支障があるのではないか」という問いについて、こう回答が用意されています。

まず、国際連合憲章は、「戦争防止のための措置」として、「即ち経済関係及び交通通信の断絶等を含む非兵力的措置(第41条)を以っては不充分な場合には、陸海空軍による行動をとることが出来ると定め(第42条)、このために必要な兵力の組織に関しては『連合全加盟国は国際平和並びに安全の維持に貢献するために安全理事会の要求に基づき、特殊の一又はそれ以上の協定に従い、安全理事会に対し国際平和並びに安全の維持に必要なる武装兵力――を提供する』(第43条第一項)と定め、又、『連合国をして緊急軍事措置をとることを得しむるために、加盟国は総合的国際強制措置に直ちに使用し得るよう自国空軍分遣隊を保有して置かねばならない』(第45条)」と定めています。

従って、将来日本が国際連合に加入使用とする場合には、ある程度の陸海空軍を備えて置かねばならないのではないか――という問題が生ずるとして、想定問答を作成しています。

この問いに対し、問答では、これは将来の問題であって、現在種々論ずることは適当でないとしたうえで、もし仮に国際連合に加入することになっても、最も適当と考える措置を講ずる所存だといいながら、なお強いて論ずるならばとことわって、次のような興味深い答弁をしています。
「その際は、本条(九条のこと)を改正する必要があるとするのも一つの考え方であるが、わが国は本条第一項の示すように、永久に戦争を放棄することを国是とし、本条はこの国是を闡明(せんめい)したものであるから、基本的な立場を堅持し、寧ろ国際連合憲章自身に対しても批判的な態度を採り、連合加盟各国といえども将来はわが国に追随し軍備なき平和国家となるべきものであり、国際連合の究極の目的もこの理想の達成にあることを思い、この見地に立って国際連合を指導する態度をとるべきものと考えることもできるのである」
そして、「実際政治の関係上、仮に日本がこの基本的立場を達成せられない状況で国際連合に加入することになった場合には、国際連合憲章を改正するか、あるいは解釈により、わが国に対し例外的な取り扱いをなし、兵力提供の義務を免ぜしめることもまた可能であろうと思う」とも語っています。


これは昭和21年6月、法制局が作成したものですが、今読み返しても、まさに現在の論じられている議題にぴったりと合っていると感じませんか。
大変卓越した問答と感じました。(つづく)


【参考】『検証・憲法第九条の誕生~「押し付け」ではなく、自ら平和条項を豊富化した論議の全経過』(岩田行雄 編・著、自費出版、特別価格200円)

<発行者・岩田行雄氏扱いの場合>
1口10冊単位での普及をお願いしています。
電話・FAX03-5386-1497 岩田行雄(いずれも午後9時まで)
郵便振替00190-1-352884 岩田行雄宛て

<書店で購入の場合>
以下の書店で1冊から販売しています。
●芳林堂書店高田馬場店4F(政治コーナー)03-3208-0241
●美和書店(代々木)03-3402-4146
●友好堂書店神保町店03-3291-1181


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

守屋証人喚問と軍需産業、そして派兵恒久法

2007年10月28日 | ニュース
このところ、ニュースはなぜか防衛省を巡る話題でこと欠きません。「新テロ特措法」審議で出だしから“証人喚問”です。なぜ証人喚問が行われることになったのか、それは法案審議の前提として重大問題が発覚したからです。
一つは、2003年2月に「テロ特措法」にもとづき海上自衛隊補給艦「ときわ」がインド洋上で米補給艦「ペコス」に実施した給油量が、当時の国会答弁で福田官房長官が「米空母キティーホークの1日分にも満たない20万ガロン」といわれていたものの、実際は「80万ガロン」だったことが判明したこと。この米空母「キティホーク」は、その直後、イラク作戦に参加していたことから、海自の給油活動がイラク作戦に展開中の米艦船に実施されていたのではないかという疑惑。このとき「20万ガロン」という国会答弁の文章を作成していた防衛省の責任者が、当時防衛局長だった守屋武昌氏だったのです。もちろん、当時の防衛庁長官であった石破茂防衛相と官房長官だった福田首相の責任も追及されるのは当然です。
二つ目は、その防衛省の事務方の最高責任者だった守屋前防衛事務次官が、長年、軍需専門商社の「山田洋行」からゴルフや飲食の接待を受けていて、その商社の元専務が新たに作った同様の商社に対して「口利き」をしたのではないかとの疑惑が持ち上がったからです。
さらに、この元専務は、経営方針の対立から「山田洋行」を退職する前後に、同社の米子会社「ヤマダインターナショナルコーポレーション」が管理していた株売却益約1億円を日本に送金させ、持ち出していたことが判明しており、東京地検特捜部が不正な経理処理が行われているのではと捜査を始めていることが報道されています。その使い道によってはロッキード疑獄事件に匹敵する事件に広がりかねないのではないかとして、注目されているのです。
また、久間元防衛相もこの「山田洋行」の元専務から飲食接待を受けていたことも報道されていますから、この問題は今後ますます国会で重大問題として取り上げられるでしょう。


ところが、防衛省全体がこうした軍需産業と利権で癒着していたという疑惑も採り沙汰されているというのに、石破茂防衛相は10月26日の衆院テロ特別委員会で「防衛産業の確立というものをやって行かなければいけない」としたうえで、「戦車の生産数は国内需要だけで年間13~14両にとどまり、武器輸出三原則を遵守すると、どうしても単価が高くなる。このままでいいだろうか」などと「武器輸出三原則」に否定的な見方を主張しました。「これから先、(自衛隊の)国際活動は増える。各国のリスク分担とコストを下げるうえでも、国際間の兵器の共同開発・生産は世界の流れだ」などと破廉恥にも発言しています。
また、福田康夫首相も衆院テロ特別委員会で、アフガニスタン本土での支援活動への参加について、今後模索すべきこととして、自衛隊の海外派兵は現行のPKO(国連平和維持活動)協力法では「活躍は限られている」として「一般法(派兵恒久法)」の制定について言及していることも問題です。


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/








コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

埼玉県教委委員長に「つくる会」元副会長・高橋史朗氏

2007年10月27日 | ニュース
10月25日、埼玉県教育委員会は、委員による互選で「新しい歴史教科書をつくる会(以下、つくる会)」元副会長の高橋史朗氏(明星大教授)を新委員長に選出しました。任期は翌26日から2008年10月までの1年間で、「つくる会」幹部経験者として初めての都道府県教育委員長となります。

高橋氏が、埼玉県の教育委員に就任する直前まで、日本の侵略戦争を美化する「つくる会」の副会長を務め、その後、会そのものは脱会したと伝えられていますが、同会が主導した扶桑社版中学公民教科書「新しい歴史教科書」を監修しました。
高橋氏は、上田清司埼玉県知事の要請を受け、2004年12月に教育委員に就任。しかし「つくる会」との関係が指摘され、多くの教育関係者や県民から批判を受けました。県議会でも当時の5会派のうち3会派が反対を表明。こうした中で、2005年の中学歴史と公民の教科書採択の際には「混乱を招きたくない」として自ら退席し、昨年の委員長選挙も辞退していました。
しかし、委員就任後も公立学校教職員の人事権を握る立場にありながら、教員研修などを目的とした「埼玉師範塾」を設立し、自ら理事長に就任していました。
また、高橋氏は、悪名高き「靖国DVD『誇り』」を発行した(社)日本青年会議所の近現代史教育実践委員会の年間アドバイザーでもあるとの報道もあります。

埼玉県教育委員会教育長が発出している「教科用図書採択の公正確保確保について」の三項には、「教科用図書の編著作者ないし編著作に関与した者は、教科用図書の選定、採択に関与し、又はその指導を行わないこと」とあるといいます。教科書を監修した高橋氏が教科書の選定や採択に関与することができないのは当然ではないでしょうか。
ましてや、侵略戦争を美化する「つくる会」副会長だった人物を県の教育委員に任命し、さらには教育委員長に互選するなどもってのほかです。

さらに、高橋氏は、教育基本法改悪をめざす「国民運動組織」として「つくる会」と「日本会議」が共同して結成した「日本の教育改革」有識者懇談会(民間教育臨調)の中心的役割を担い、発足後は運営委員長の任を務めた人物です。この団体は実際、様々な教育提言を行っていますが、当時の中山文部科学省大臣に対して、教育基本法の早期改正、教育委員会制度の全廃を提言しており、これは教育委員には禁じられている積極的な政治運動にあたります。

また、高橋氏は長らく性教育批判を行い、純潔教育を提唱していますが、その主張は「統一教会(世界基督教統一心霊協会)」の主張と同一であると同時に、高橋氏が統一教会系の団体の会合に参加し、講演も行っていることも報道されているところです。

上田知事は、高橋氏を教育委員に就任させた際、「つくる会」副会長職にあったことに関して、マスコミの質問に対し「就任を要請するまで知らなかった」「高橋氏の経歴書を見るまでは、つくる会の副会長だったことを知らなかった」と説明していました。
ところがその2年前の上田氏自身のホームページで、高橋氏が「つくる会」副会長などを務める気鋭の教育研究家として紹介していたのです。
つまり、上田知事は、県民にウソをついてまで高橋氏を教育委員に任命し、今に至っているわけですが、それならば百歩譲って「つくる会」副会長だったことを知ったのが任命した事後だったとしても、こうした人物を今まで教育委員として就任させ続け、全国で初の「つくる会」幹部経験者である高橋氏を県教育委の委員長に迎えた今回の事態を上田知事はどう説明するのでしょうか。


※このブログをお読みの方で、「私も九条の会のアピール(「とだ九条の会」HPをご覧ください。)に賛同し、憲法九条を守る一翼になりたい」という方は、 「とだ九条の会」HPに「WEB署名」がありますので、「賛同署名」にご協力ください。
■「とだ九条の会」公式ホームページもご覧ください。
http://www15.ocn.ne.jp/~toda9jo/





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする