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国連特別報告者ケナタッチ氏書簡――「国連の総意」を巡り日本政府とくいちがい

2017年05月31日 | まち歩き

国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が安倍総理宛てに送った「共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡」――それは「国連の総意じゃないない」と主張し、反論した日本政府。この問題で、2017年5月29日配信「日刊ゲンダイ」が興味深い記事を書いています。転載させていただき、紹介したいと思います。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<「国連の総意じゃない」 猛反論で無知をさらした安倍政権>
  

これぞ“二枚舌”政権の正体見たりだ。国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案の問題点を指摘する文書を安倍首相宛てに送ったことに対し、安倍首相と菅官房長官のコンビは「国連の総意じゃない」などと猛反論しているが、「無知」にもホドがある。

G7サミットでイタリア南部、シチリア島を訪れた安倍首相は、27日に国連のグテレス事務総長と立ち話。グテレス氏から「(ケナタッチ氏の)主張は必ずしも国連の総意を示すものではない」との発言を引き出してニンマリ顔。22日の会見で菅官房長官が「特別報告者は個人の資格で調査報告を行う。国連の立場を反映するものではない」という“裏付け”を得て上機嫌だったのだろうが、全く分かっちゃいない。

そもそもケナタッチ氏の指摘が現時点で国連の総意でないのは当たり前のことだ。日本のプライバシー権の保護状況を調査する義務を負うケナタッチ氏の報告を基に、人権理事会が「問題あり」と判断し、採択されて初めて「総意」となるからだ。調査途上にあるケナタッチ氏の指摘は総理や閣僚が感情ムキ出しで反論するようなことではない。しかも、政府は昨年7月15日、「世界の人権保護促進への日本の参画」と題した文書を公表し、人権理事会の調査に協力姿勢を示している。文書には〈特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく〉と明記されているのだ。特別報告者に協力する――と約束しながら、問題提起されると「個人」扱い。世界もア然ボー然だ。

しかもだ。日本政府は今春、北朝鮮の日本人拉致などの人権問題解決に尽力し、16年まで特別報告者を務めていたインドネシア国籍のマルズキ・ダルスマン氏に旭日重光章を授与している。政権にとって都合のいい人物は絶賛するが、苦言を呈する人物はこき下ろす。まったくデタラメだ。

「今回の対応は、分かりやすいダブルスタンダードで、安倍政権らしい考え方と言える。ケナタッチ氏は特別報告者として、日本社会を調査する権限を持っています。しかるべき立場の人物が調査のために送った『質問書』を『国連の総意ではない』と切り捨て、抗議するなど全くの見当外れです」(日弁連共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫弁護士)

安倍政権から抗議文を送りつけられたケナタッチ氏は、「(抗議文は)中身のあるものではなかった」と憤慨。いやはや、世界中に恥をさらすのはいい加減にしてほしい。


【出典】2017年5月29日配信「日刊ゲンダイ」

 

2017年5月29日配信「BuzzFeed News」ではケナタッチ氏の書簡以外に日韓合意などをめぐっても発表に食い違いがあったと指摘。日本政府のプレスリリースをうのみにして報道するメディアの姿勢についても言及しています。そこで、2017年5月29日配信「BuzzFeed News」から記事を転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<日本政府と国連、日韓合意などめぐり発表に食い違い 安倍首相と事務総長の懇談、外務省に見解を聞いた>

日本のメディアは外務省の発表に基づいた記事を書いていましたが…


慰安婦問題の日韓合意と「共謀罪」についての国連特別報告者をめぐり、安倍晋三首相とグテーレス国連事務総長の懇談内容について、国連と外務省の発表に食い違いが生じている。

懇談は5月27日、G7サミットのあったイタリア・シチリア島で開かれたものだ。

外務省は同日付けで、「安倍総理大臣とグテーレス国連事務総長との懇談」との文書を発表。一方の国連は28日、「特派員へのお知らせ」という短いプレスリリースを出している。

まず、慰安婦問題に関する日韓合意についてはこうだ。

外務省の発表では、国連事務総長が合意に「賛意」と「歓迎」を示している、とされている。

――安倍総理から慰安婦問題に関する日韓合意につき,その実施の重要性を指摘したところ,先方は,同合意につき賛意を示すとともに,歓迎する旨述べました。

一方、国連の発表を見ると、事務総長は合意内容について「彼自身の意見を述べてはいない」そうだ。

「原則的にこの問題における具体的な解決策や本質は、二国間ではっきりさせるもの」ともしているが、その内容には言及していなかったという。

――The Secretary-General did not pronounce himself on the content of a specific agreement but on the principle that it is up to the two countries to define the nature and the content of the solution for this issue.

また、「共謀罪」に関する特別報告者の扱いについても、ニュアンスが違う。

特別報告者をめぐっては、日本政府に法案の危険性を指摘した書簡を送ったことに、政府が抗議する事態に発展していた。

外務省の発表によると、事務総長は特別報告者の主張が「国連の総意を反映するものではない」と述べたという。

――先方は,人権理事会の特別報告者は,国連とは別の個人の資格で活動しており,その主張は,必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました。

一方、国連の発表では「特別報告者は人権理事会に直接報告をする独立した立場の専門家」としており、「総意ではない」とまで踏み込んでいない。

――Regarding the report of Special Rapporteurs, the Secretary-General told the Prime Minister that Special Rapporteurs are experts that are independent and report directly to the Human Rights Council.

日本のメディアは外務省の発表に基づき、この会談内容を報じている。

たとえば読売新聞(5月27日、電子版)は「テロ準備罪懸念は『総意でない』…国連事務総長」との見出しをとって、こう書いている。

――グテレス氏は日本の国会で審議中の組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)を巡り、国連人権理事会の特別報告者が懸念を伝える書簡を首相に送ったことについて、「必ずしも国連の総意を反映するものではない」との見解を明らかにした。

慰安婦問題については、「グテレス氏は合意への賛意を示した」としているが、ソースは明示されていない。

朝日新聞(5月28日、電子版)も「国連事務総長『総意でない』 『共謀罪』法案懸念の書簡」と報じている。

慰安婦問題には触れていないが、この記事には「日本政府の説明によると」とソースが明示されている。

なぜ食い違いが生じるのか。菅義偉官房長官は5月29日の記者会見でこの点を問われたが、「事実については日本側の発表した通りです」と譲らなかった。
 
BuzzFeed Newsは経緯を外務省に取材した。

国連企画調整課の担当者は、「日本側としては懇談の内容については発表した通り」としつつも、そもそもプレスリリースの内容が「同一であることの方が少ない」と語った。

なぜ違いが生まれてしまうのだろうか。

「外交上のやりとりなので、言ったままではなく、要所をまとめて出しています。今回も全体として10分程度の懇談でした」

「どこの国と会談をしても、双方で案文を見せ合うことはない。一致させる性質のものでもないですから」

BuzzFeed Newsでは、特別報告者と政府のやりとりを【共謀罪法案、衆院を通過 国連報告者は日本政府の抗議を「中身がない」と批判】にまとめています。


【出典】2017年5月29日配信「BuzzFeed News」

 

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野党は共闘!!「6・4オール埼玉総行動」へ

2017年05月30日 | 国際・政治

これまでもご案内しましたが「オール埼玉」が2017年6月4日(日)10:00より北浦和公園にて1万5千人規模で開催する「6・4オール埼玉総行動」が開催されます。

メイン・スローガンは、「安保関連法廃止!立憲主義を取り戻す!9条こわすな 戦争させない!」です。

ゲストスピーカーとして国際ジャーナリスト、九条の会世話人の伊藤千尋さんも決まりました。

「とだ九条の会」も参加します。情勢は「北朝鮮問題」を口実としてますますキナ臭くなっており、「共謀罪」も「改憲」問題も、重大な局面を迎えようとしています。
みなさん、今こそ「野党は共闘!!」の精神で、「安保法廃止、立憲主義を取り戻そう!」「9条こわすな、戦争させない!」の声を高らかに、こぞって参加しましょう。

 

<安保関連法廃止!立憲主義を取り戻す!9条こわすな 戦争させない!
「6・4オール埼玉総行動」>

日時:2017年6月4日(日)9:30文化行事 10:00開会
   集会後パレード
会場:北浦和公園(JR京浜東北線北浦和駅西口下車すぐ)

ゲストスピーカー:伊藤千尋さん(国際ジャーナリスト、九条の会世話人)

主催:「安保関連法」廃止!集団的自衛権行使容認「閣議決定」撤回を求めるオール埼玉総行動実行委員会(90団体、25個人、103人の呼びかけ人、27人の賛同者)
共催:オール1区~15区の会
協賛:安保関連法に反対するママの会@埼玉、安保関連法に反対する高校生・大学生の会VIP埼玉、立憲デモクラシーを守る大学人の会@埼玉、戦争ゆるさなき女性のレッドアクションin埼玉、九条の会埼玉県連絡会
後援:埼玉弁護士会、連合埼玉(日本労働組合総連合会埼玉県連合会)、埼労連(埼玉県労働組合連合会)


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6月2日、戦争法、共謀罪、憲法改悪を許さない埼玉県集会

2017年05月29日 | 国際・政治

「戦争をさせない埼玉県1000人委員会」は、安倍首相が憲法改悪を2020年に実施すると期日を明言したこと、共謀罪を衆院法務委員会で強行採決したこと――そうした情勢に対し「戦争法廃止!共謀罪状案廃止!憲法改悪を許さない 埼玉県集会」を6月2日(金)18:30から、浦和のコミュニティーセンターで開催すると発表しました。

講演では、作家の落合恵子さんが「眠るな、こころよ。―すべてを、いのちから―」と題しお話します。

また、歌手の川口真由美さんが沖縄の歌を披露します。


<戦争法廃止!共謀罪状案廃止!
憲法改悪を許さない 埼玉県集会>

日時:2017年6月2日(金)18:30~
場所:浦和コミュニティーセンター10階多目的ホール
  (JR浦和駅東口下車 徒歩1分)

うた:川口真由美さん
  「沖縄・平和をうたう」

講演:落合恵子さん 
  「眠るな、こころよ。―すべてを、いのちから―」

会費:500円

主催:戦争をさせない埼玉県1000人委員会
連絡:048-825-9898

 

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「全面勝訴」――戸田市の「市議の海外派遣」裁判

2017年05月28日 | 国際・政治

全国で政務活動費の私的流用や税金の無駄遣いなどが問題となっている中、判決が注目されたわが戸田市の「市議の海外派遣」住民訴訟で、「全面勝訴」という画期的な判決が下されました。

これは、平成25年10月に戸田市の市議5名が戸田市の友好姉妹都市である豪州リバプール市に行った「市議の海外派遣」は5泊6日のうち、実際、リバプールに滞在したのは1日だけで、残りの約3日間は、お隣のシドニーの観光地を巡っていたとして市民238人が原告となって、さいたま地裁で神保市長を相手に当該の市議に対し「旅費の返還」を請求せよと提訴していた裁判の判決が5月24日下されたのです。

原告席や傍聴席が、つめかけた市民や報道関係者でいっぱいのなか、11時30分、入廷した森冨裁判長は「神保市長は当該5市議に対し、かかった旅費全額(一人47万8800円、合計239万4000円)を市に返還するよう5市議に請求せよ」との主文を読みました。

主文が読み上げられたほんの30秒で閉廷となりました。あまりの短さに会場は一瞬あけに取られましたが、住民側の主張がほぼ全面的に受け入れられ、「全面勝訴」が分かるや、会場は拍手と歓喜の声が溢れました。

その後、原告弁護団に手渡された判決文の中で、詳細が判明。
裁判長は、まず本件派遣自体について「本件派遣の場所や行程は~その目的に照らし明らかに不合理といわざるを得ない」と強く断罪したうえで、被告側がシドニー市訪問の目的として中学生海外派遣事業で中学生が訪れるシドニー市の治安状況や安全性の確認が含まれると主張した点では、それが本件派遣を決定した9月定例会に配布された資料にもシドニー市という派遣先やその目的とした治安状況や安全性の確認といった目的が明記されていなかったこと、帰国後の報告書にも一切記載がなかったことなどを指し「到底認められない」と被告側の主張を一蹴しました。
そして「本件決定は、市議会の裁量権を逸脱又は濫用してされたもので、違法であり、本件支出も違法というべきである」と判決を言い渡し、派遣費用全額を返却すさせるよう命じたのです。

「市議の海外派遣をやめさせる会」(高坂美之留代表)は同日午後1時半から、埼玉弁護士会館で記者会見を行い、「全面勝利」報告を行いました。全国的にも議員の政務活動費の私的流用や税金の無駄遣いが問題になっているためか住民訴訟の「全面勝訴」の結果に関心が高く、NHKをはじめTBS、テレビ埼玉などテレビカメラ4台と、朝日、読売、毎日、東京、埼玉、赤旗、共同通信、時事通信など新聞社8社の記者が取材に駆けつけました。

「会」では、5月28日(日)午後、戸田市文化会館301号室で「報告集会」を開き、駅頭や市役所門前などで宣伝するとともに、5月29日(月)からの6月定例会開会に際し、神保市長に対し「判決を真摯に受け止め、控訴しないこと」や戸田市議会に「今後の市議の派遣はやめること」などの要望書を手渡して行くことを発表しました。

すでに「会」には全国から「喜びの声」が届いているほか、同様の裁判を行っている自治体の市民オンブズマンから問い合わせが寄せられています。

 

 ■「市議の海外派遣をやめさせる会」ブログ
http://ameblo.jp/yamesaserukai

 

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国連特別報告者ケナタッチ氏、日本政府の「抗議文」に反論

2017年05月27日 | 国際・政治

日本政府の「抗議文」に対して、ケナタッチ氏の「反論」を2017年5月23日付け「東京新聞」 朝刊」から転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論>


安倍晋三首相宛ての公開書簡で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を表明した国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は二十二日、菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日の記者会見で抗議したと明らかにした日本政府の対応を「中身のないただの怒り」と批判し、プライバシーが侵害される恐れに配慮した措置を整える必要性をあらためて強調した。電子メールで本紙の取材に答えた。


ケナタッチ氏によると、「強い抗議」は十九日午後、国連人権高等弁務官事務所を訪れた在ジュネーブ日本政府代表部の職員が申し入れ、その後、約一ページ余りの文書を受け取った。しかし、内容は本質的な反論になっておらず「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と指摘した。

抗議文で日本側が、国際組織犯罪防止条約の締結に法案が必要だと述べた点について、ケナタッチ氏は「プライバシーを守る適当な措置を取らないまま、法案を通過させる説明にはならない」と強く批判。法学者であるケナタッチ氏自身、日本のプライバシー権の性質や歴史について三十年にわたって研究を続けてきたとし、「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と訴えた。

ケナタッチ氏は日本政府に引き続き、法案の公式な英訳文とともに説明を求めている。菅官房長官は二十二日、ケナタッチ氏の書簡に「不適切だ」と反論していた。


犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を巡り、衆院議院運営委員会は二十二日の理事会で、衆院本会議を二十三日に開くことを佐藤勉委員長(自民党)の職権で決めた。与党は「共謀罪」法案を採決し、衆院を通過させる方針。二十四日の参院での審議入りを目指している。

与党が理事会で「共謀罪」法案の採決を提案したのに対し、民進、共産両党は、与党が衆院法務委員会で法案の採決を強行したことに反発して拒否。双方が折り合わず、佐藤氏が本会議開催を決めた。「共謀罪」法案を採決するかどうかは与野党の協議に委ねた。

法案を巡っては、安倍晋三首相(自民党総裁)が二十二日の党役員会で「今国会での確実な成立を目指す」と強調。高村正彦副総裁も「二十三日に間違いなく衆院通過させる」と話した。民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で「審議は不十分だし、この間のやり方は極めて遺憾だ」と与党の国会運営を批判した。

与党は法案の成立を確実にするため、来月十八日までの今国会の会期延長も検討している。  


<国連特別報告者> 国連人権理事会から任命され、特定の国やテーマ別に人権侵害の状況を調査したり、監視したりする。子どもの人身売買や、表現の自由に関する人権状況などの報告者がいる。政府や組織などから独立した専門家で、調査結果は理事会に報告する。


【出典】2017年5月23日付け「東京新聞」 朝刊


*******************************


次に、ケナタッチ氏自身の「反論」そのものを2017年5月23日配信「OurPlanet-TV」から転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<日本政府の見解に対するケナタッチ氏のコメント>
 
私の書簡は、特に日本政府が、提案された諸施策を十分に検討することができるように十分な期間の公的議論を減ることなく、法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況のおいては、完全に適切なものです。
 
私が日本政府から受け取った「強い抗議」は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、一つの点においても反論するものではありませんでした。この抗議は、プライバシー権に関する私が指摘した多くの懸念またはその他の法案の欠陥について、ただの一つも向き合ったものではありません。
 
私はその抗議を受けて、5月19日(金)の朝、次のような要望を提出しました。
 
「もし日本政府が、法案の公式英語訳を提供し、当該法案のどこに、あるいは既存の他の法律又は付随する措置のどの部分に、新しい法律が、私の書簡で示唆しているものと同等のプライバシー権の保護措置と救済を含んでいるかを示すことを望むのであれば、私は、私の書簡の内容について不正確であると証明された部分について、公開の場で喜んで撤回致します。」
 
日本政府は、これまでの間、実質的な反論や訂正を含むものを何一つ送付して来ることが出来ませんでした。いずれかの事実について訂正を余儀なくされるまで、私は、安倍晋三内閣総理大臣に向けて書いた書簡における、すべての単語、ピリオド、コンマに至るまで維持し続けます。日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法律を押し通すことを正当化することは絶対に出来ません。
 
日本政府は、その抗議において、2020年の東京オリンピックに向けて国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにこの法律が必要だという、政府が多用している主張を繰り返しました。
 
しかし、このことは、プライパジシーの権利に対する十分な保護措置のない法律を成立させようとすることを何ら正当化するものではありません。日本が国連条約を批准することを可能にし、同時に、日本がプライバシー権及び他の基本的人権の保護分野でリーダーとなることを可能にする法案(それらの保護措置が欠如していることが明らかな法案でなく)を寄贈することは確実に可能でした。
 
私は日本及び文化に対して深い愛着を持っています。更に、私は日本におけるプライバシー権の性質および歴史についてこれまで調査してきており、30年以上にわたるプライバシー権とデータ保護に関する法律の発展を追跡してきたものです。私は、日本が高い基準を確立し、この地域における他の国々及び国際社会全体にとって良い前例を示していただけるものと期待しております。ですので、私が先の書簡を書かなければならなかったことは、私にとって大きなる悲しみであり、不本意なことでした。
 
現在の段階において、日本政府が私の書簡で触れたプライバシーの権利に着目した保護措置と救済の制度に注意を払い、法案の中に導入することを望むばかりです。私は書簡にて述べましたとおり、私は日本政府が私の支援の申し出を受け入れて下さるのであれば、日本政府が更に思慮深い地位への到達できるように喜んでお手伝いさせて頂きます。今こそ日本政府は、立ち止まって内省を深め、より良い方法で物事を為すことができることに気づくべき時なのです。私が書簡にてアウトラインをお示しした全ての保護措置を導入するために、必要な時間をかけて、世界基準の民主主義国家としての道に歩を進めるべき時です。日本がこの道へと進む時、私は全力を尽くして支援することと致しましょう。(訳 小川竜太郎弁護士) 


【出典】2017年5月23日配信「OurPlanet-TV」


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