国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が安倍総理宛てに送った「共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡」――それは「国連の総意じゃないない」と主張し、反論した日本政府。この問題で、2017年5月29日配信「日刊ゲンダイ」が興味深い記事を書いています。転載させていただき、紹介したいと思います。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
<「国連の総意じゃない」 猛反論で無知をさらした安倍政権>
これぞ“二枚舌”政権の正体見たりだ。国連人権理事会の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案の問題点を指摘する文書を安倍首相宛てに送ったことに対し、安倍首相と菅官房長官のコンビは「国連の総意じゃない」などと猛反論しているが、「無知」にもホドがある。
G7サミットでイタリア南部、シチリア島を訪れた安倍首相は、27日に国連のグテレス事務総長と立ち話。グテレス氏から「(ケナタッチ氏の)主張は必ずしも国連の総意を示すものではない」との発言を引き出してニンマリ顔。22日の会見で菅官房長官が「特別報告者は個人の資格で調査報告を行う。国連の立場を反映するものではない」という“裏付け”を得て上機嫌だったのだろうが、全く分かっちゃいない。
そもそもケナタッチ氏の指摘が現時点で国連の総意でないのは当たり前のことだ。日本のプライバシー権の保護状況を調査する義務を負うケナタッチ氏の報告を基に、人権理事会が「問題あり」と判断し、採択されて初めて「総意」となるからだ。調査途上にあるケナタッチ氏の指摘は総理や閣僚が感情ムキ出しで反論するようなことではない。しかも、政府は昨年7月15日、「世界の人権保護促進への日本の参画」と題した文書を公表し、人権理事会の調査に協力姿勢を示している。文書には〈特別報告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため、今後もしっかりと協力していく〉と明記されているのだ。特別報告者に協力する――と約束しながら、問題提起されると「個人」扱い。世界もア然ボー然だ。
しかもだ。日本政府は今春、北朝鮮の日本人拉致などの人権問題解決に尽力し、16年まで特別報告者を務めていたインドネシア国籍のマルズキ・ダルスマン氏に旭日重光章を授与している。政権にとって都合のいい人物は絶賛するが、苦言を呈する人物はこき下ろす。まったくデタラメだ。
「今回の対応は、分かりやすいダブルスタンダードで、安倍政権らしい考え方と言える。ケナタッチ氏は特別報告者として、日本社会を調査する権限を持っています。しかるべき立場の人物が調査のために送った『質問書』を『国連の総意ではない』と切り捨て、抗議するなど全くの見当外れです」(日弁連共謀罪法案対策本部事務局長の山下幸夫弁護士)
安倍政権から抗議文を送りつけられたケナタッチ氏は、「(抗議文は)中身のあるものではなかった」と憤慨。いやはや、世界中に恥をさらすのはいい加減にしてほしい。
【出典】2017年5月29日配信「日刊ゲンダイ」
2017年5月29日配信「BuzzFeed News」ではケナタッチ氏の書簡以外に日韓合意などをめぐっても発表に食い違いがあったと指摘。日本政府のプレスリリースをうのみにして報道するメディアの姿勢についても言及しています。そこで、2017年5月29日配信「BuzzFeed News」から記事を転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)
※以下、転載はじめ↓
<日本政府と国連、日韓合意などめぐり発表に食い違い 安倍首相と事務総長の懇談、外務省に見解を聞いた>
日本のメディアは外務省の発表に基づいた記事を書いていましたが…
慰安婦問題の日韓合意と「共謀罪」についての国連特別報告者をめぐり、安倍晋三首相とグテーレス国連事務総長の懇談内容について、国連と外務省の発表に食い違いが生じている。
懇談は5月27日、G7サミットのあったイタリア・シチリア島で開かれたものだ。
外務省は同日付けで、「安倍総理大臣とグテーレス国連事務総長との懇談」との文書を発表。一方の国連は28日、「特派員へのお知らせ」という短いプレスリリースを出している。
まず、慰安婦問題に関する日韓合意についてはこうだ。
外務省の発表では、国連事務総長が合意に「賛意」と「歓迎」を示している、とされている。
――安倍総理から慰安婦問題に関する日韓合意につき,その実施の重要性を指摘したところ,先方は,同合意につき賛意を示すとともに,歓迎する旨述べました。
一方、国連の発表を見ると、事務総長は合意内容について「彼自身の意見を述べてはいない」そうだ。
「原則的にこの問題における具体的な解決策や本質は、二国間ではっきりさせるもの」ともしているが、その内容には言及していなかったという。
――The Secretary-General did not pronounce himself on the content of a specific agreement but on the principle that it is up to the two countries to define the nature and the content of the solution for this issue.
また、「共謀罪」に関する特別報告者の扱いについても、ニュアンスが違う。
特別報告者をめぐっては、日本政府に法案の危険性を指摘した書簡を送ったことに、政府が抗議する事態に発展していた。
外務省の発表によると、事務総長は特別報告者の主張が「国連の総意を反映するものではない」と述べたという。
――先方は,人権理事会の特別報告者は,国連とは別の個人の資格で活動しており,その主張は,必ずしも国連の総意を反映するものではない旨述べました。
一方、国連の発表では「特別報告者は人権理事会に直接報告をする独立した立場の専門家」としており、「総意ではない」とまで踏み込んでいない。
――Regarding the report of Special Rapporteurs, the Secretary-General told the Prime Minister that Special Rapporteurs are experts that are independent and report directly to the Human Rights Council.
日本のメディアは外務省の発表に基づき、この会談内容を報じている。
たとえば読売新聞(5月27日、電子版)は「テロ準備罪懸念は『総意でない』…国連事務総長」との見出しをとって、こう書いている。
――グテレス氏は日本の国会で審議中の組織犯罪処罰法改正案(テロ準備罪法案)を巡り、国連人権理事会の特別報告者が懸念を伝える書簡を首相に送ったことについて、「必ずしも国連の総意を反映するものではない」との見解を明らかにした。
慰安婦問題については、「グテレス氏は合意への賛意を示した」としているが、ソースは明示されていない。
朝日新聞(5月28日、電子版)も「国連事務総長『総意でない』 『共謀罪』法案懸念の書簡」と報じている。
慰安婦問題には触れていないが、この記事には「日本政府の説明によると」とソースが明示されている。
なぜ食い違いが生じるのか。菅義偉官房長官は5月29日の記者会見でこの点を問われたが、「事実については日本側の発表した通りです」と譲らなかった。
BuzzFeed Newsは経緯を外務省に取材した。
国連企画調整課の担当者は、「日本側としては懇談の内容については発表した通り」としつつも、そもそもプレスリリースの内容が「同一であることの方が少ない」と語った。
なぜ違いが生まれてしまうのだろうか。
「外交上のやりとりなので、言ったままではなく、要所をまとめて出しています。今回も全体として10分程度の懇談でした」
「どこの国と会談をしても、双方で案文を見せ合うことはない。一致させる性質のものでもないですから」
BuzzFeed Newsでは、特別報告者と政府のやりとりを【共謀罪法案、衆院を通過 国連報告者は日本政府の抗議を「中身がない」と批判】にまとめています。
【出典】2017年5月29日配信「BuzzFeed News」
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