みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

チューバはうたう

2008年06月22日 | 
安易にオケやブラスバンドに阿ることをよしとしないインディペンデントなチューバ娘の話。
音楽のもつ力、凄まじさ、素晴らしさが、余すことなく語られていたと思う。ポエジーに富んだ音の表現もよかったなあ。

この本の中で出てくる、東欧はバルカン半島のスーパー音楽集団「Muzicanti aurii」(←もちろん仮想)のライブの様子は鳥肌が立つな。このMuzuicanti aruriiは東欧音楽、ジプシーの音楽を受け継ぐ、超音楽集団という設定で、ツボでした。

願わくは、どこかのライブで、根こそぎ、持って行かれるような体験をしてみたい・・・。ただただ「凄い」としか表現できなようなライブを・・・。
と思って、ネットをブラブラしたら、なんと、この小説に出てくるムズイカンティ・アウリのモデルになった「シカラムータ」なるユニットを発見。
ザバダックで懐かしい太田惠資氏の名前もあるではないか・・・。こんなところで活動されてたんですね・・・。
ライブなら間違いなく、面白いのだろうけど、CDだと、ん~、どうかな???
作者の瀬川氏のブログも、発見。本当に凄い時代だと思う。(情報を手に入れるだけなら)

ここに描かれた音楽に比べると、自分のピアノなどは、まるでままごと遊びではあるけれども、
せめては、ジャンルに囚われない、いろんなピアノを弾いてみたい。


ならば、私が吹いてやる。私の肺は空気を満たし、私の内腔はまっすぐにチューバへと連なって天へと向いたベルまで一本の管となり、大気は音に変わって世界へ放たれるのだ。

チューバはうたう mit Tuba は新鮮な驚きに充ちている。作者はチューバの音の魅力を描きながら、しかし音の魅力に淫してはいない。ここでの音楽は感覚の愛撫ではなく、生への秘密の通路を開く何かなのだ


クラシックやら、ジャズやらのジャンルや、様式にとらわれた音楽に物足りなさを感じられている方には、たいへんお勧めの音楽小説です。
最近読んだ、音楽小説の中では、自分としては、ど真ん中のストライクでした。

瀬川さんの太宰治賞受賞のインタビュー記事

チューバはうたう―mit Tuba
瀬川 深
筑摩書房

このアイテムの詳細を見る


(写真の花)巴草 (トモエソウ)
コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 満月と夏至の境のボロン聴く | トップ | ●レッスン 悲愴ソナタ3回目 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (orange)
2008-06-23 19:14:39
表紙の絵の女の子が気に入って、出かけたついでに買ってきました。即読んでしまいました。さわやかな小節ですね。作者も、本当にチューバが好きなんだと思います。お医者さんなんですね。これからの作品も楽しみな方です。

チューバは、以前から、何となく、気になっていた楽器でした。縁の下の力持ちのような存在だと思っていましたが、この本で、ちょっと身近な感じもしてきました。

特に、吹奏楽は、ライブがいいですね。演奏者の息使いが、「聴こえる」というより、「見える」瞬間、感動します。
返信する
よかった~ (そらみみ)
2008-06-24 00:02:59
おおっ、orangeさん、行動が早いですね。
よかった。気に入って頂けて。
確かに、不思議とさわやかな雰囲気が漂ってましたね。

そうそう、この表紙の絵のチューバは、チューバにしては、ちょっと小さい気もしますね。
ユーホニウムっぽいような・・・。それとも、女の子が大きいのかな?

チューバ3本の重低音の響き、想像するだけで、興奮してきます・・・。
吹奏楽も見にいってみたくなりますね。

あと、音楽小説というか、ピアノ小説?としては、「パリ左岸のピアノ工房」という名作がありますが、
読まれてます?たいへんお勧めです。
返信する
青春のブラスバンド。。 (daisy)
2008-06-25 13:03:59
チューバはバスクラとバリサク、コントラ(全て略語です)のベースラインとよくパート練習してましたよ。懐かしい~!金賞が取れても九州大会に行けず(カラ金といいます)皆で泣いたりしてました。

しかしピアノ演奏・・本気でプロに転向しませんか?音が本当に綺麗で、清楚で自然な感じです。自分にはないものをたくさん持っていて、本当いつか機会があったら生で聞かせてくださいね。私も弾きますから!
返信する
懐かしいですね。 (そらみみ)
2008-06-25 23:07:41
おおっ、daisyさん、チューバ娘だったんですか?
かなりの実力校だったんですね。
自分は、県大会で金賞は取れなかったです・・・。

ピアノは、ピアノがいいのと、録音機材の性能向上のおかげのような・・・。
チェルニー40番(音楽高校受験レベル)も、まだですし・・・。まだまだ修行、修行。

帰国して、こちらに出るようなことがあれば、一声掛けて下さい。会場あたってみますよ。
返信する
きゃあ (daisy)
2008-06-26 13:43:43
そらみみさんもブラスご出身だったのですね。実力校・・全然そんなことないです!普通の県立高校です。やはり私立校がかき集めなのか上手でした。ちなみに私はトロンボーン担当でしたよ。アルフレッド リードのCDは今でも宝物です。

最近お仲間に録音を公開しませんかといわれるのですが、普段相当偉そうにしてるので躊躇してます(汗)
返信する
ますます懐かしい (そらみみ)
2008-06-27 07:08:27
はい、自分も普通の県立高校でした。
ペットでした。
うまく吹けなくて、挫折しました。(笑)
リード、ん~、春の猟犬とか、やりました。
アルバマー序曲とか、かっこよかったですね。
吹奏楽もはやり、廃りあるんだろうか・・・。

ICレコーダーも性能アップしてるし、公開、いいんじゃないでしょうか?
モチベーションアップの効果もあると思いますよ。
返信する

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事