家守綺譚
2008年07月06日 | 本
この本も、すこぶるよい。
ほんの百年すこし前、京都は山科の辺りかな?が舞台の不思議な話。
古くから、ひっそりと息づいている異界の物たちや、亡き友との交わりが、淡々と、ほのぼのと語られる。
季節の折々の風物が美しく、大正ロマンと懐かしい民話的な世界の混じり具合が、いい風情。
和風エキセントリック小説とでも言おうか・・・。
また、主人公の誠実な感じもよいではないか。
何より、文章が好みだな。
淡々として、飾らず、情趣に富む筆致。
言葉たちが、多すぎず、少なすぎず、あるべきところにぴったり嵌っているのは、心地いい。
ゆかしい。
本作、植物を冠した掌編連作という仕立てで、野の花好きには、嬉しかった。
家守綺譚の界隈、歩いてみたい。
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はじめまして。コメント、残して頂いて、ありがとうございます!
はい、ほんとうに、家守綺譚、文章もいいし、世界観も良かったですね。
終盤、主人公が、葡萄を食べることなく、敢えて、俗世に戻るところなども、印象的でした。
こういう素敵な本に、たくさん出会えるといいなと思いますね。
私もこの本を読んだところです。
たしかに、すこぶるよかったです。
全体を流れる時間感覚とか、人と人、人と人ならぬ者との関わりが染み入るような文章とかが、素敵でした。