みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

木枯らし

2006年12月28日 | 俳句・短歌
急に猛烈に寒くなってきた。
日中、上着がいらないかも?と思えるくらい暖かった昨日から一転、ここ名古屋も木枯らしが吹き荒れてる。
少し前、NHKの俳句番組で紹介されていた木枯らしの句、三題。

海に出て木枯らし帰るところなし
(山口誓子)

木枯らしや目刺にのこる海のいろ
(芥川龍之介)

木枯らしの帰りか今日の南風(みなみかぜ)
(倉島厚)

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誓子の句・・・広く世に知らせた木枯らしの句。自分は小学校か中学校の国語で習った。でも、知らなかった。木枯らしが太平洋戦争の特攻隊員と重ね合わせられていることを。海に出て、ついに帰ることを許されなかった特攻隊員を想って詠まれた句だったとは・・・。悲しくも潔い句。

目刺の句・・・龍之介は短編も巧ければ、俳句も巧い。巧すぎる句だなぁ。もはや動かぬ目刺の点のような小さな目から、大海原をすいすい泳いでいた頃の元気な目刺君の世界が広がってくる。巧い。海辺の漁村の木枯らしが吹き荒れる様子も、目に浮かぶ。

南風の句・・・誓子の句に触発されて詠まれた句だそうだ。願わくは、故人も、南風になって戻って来てほしいという思いが込めらているのだろうか・・・。
(年の瀬に、なんだか、暗い話題ですみません。)

そうそう、ピアノ弾きにとっては、「木枯らし」と言えばショパンの「木枯らしのエチュード」なのだけど、この曲は英語名で「Winter Wind」なんですね。いい訳。というか「木枯らし」という言葉がある日本語は素敵だ。我らが先祖様に感謝しよう。

最初に「木枯らし」と訳したのは誰なんだろうか?でも、この曲を弾くレベルまで達することは、到底ありえないわけで、まぁどうでもよいか・・・。

仕事に振り回せれて、たいへんな一年だったけれど、なんとか、仕事納めまでやってきた。
あと1日、無事に終わりますように。
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