タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

妊娠中の体重増加は気にし過ぎ?

2021-03-12 21:06:53 | 産科
昨日は孫娘と食事に行ったのですが、食事そっちのけで、デザートのアイスだけはペロッと食べていましたよ。
どうしても子どもの頃から 甘いもの好きになってしまいますね。
ちなみに上の写真は、 先週のタマル産での夜食のデザートです。
新しい厨房のスタッフが増えてさらにパワーアップしています。
産後くらいはデザートは許されますよね?

最近のニュースでは妊娠中の体重増加は、これまでより基準がゆるくなったというのですよ。
根拠は、日本の赤ちゃんの平均体重が軽くなっているからなのですって。
ネットでは、産婦人科医や助産師を非難する声でいっぱいです。
これまでの体重指導が厳しすぎたのだ、とね。

ですが、これにはトリックが有りますよ。
日本は世界一、新生児死亡が少ない国なのです。
妊娠22週からでも助かる生命が有るのですからね。
そうです、日本の赤ちゃんの平均体重は世界一軽くて当たり前なのです。
本来は同じ週数で比べないといけませんね。
37週から41週に生まれた赤ちゃんだけで比べるのです。
そうすれば何も日本人の赤ちゃんだけが小さいということはなくなるでしょう。
そもそも西洋人と東洋人の赤ちゃんの体重は、どちらが大きいかすぐに見当がつくでしょう。
それと日本人の女性は喫煙率が高いですから、体重も小さくなるのかもしれませんよ。

これを機会に、妊娠中の体重増加を、どうしてそれほど気にしなくてはならないか、という考察をしてみましょう。
ただ単に分娩時にたいへんだということだけでしょうか。
先週も、4人目の赤ちゃんでしたが、4キロ超えで、とってもたいへんなお産が有りましたよ。
最近の赤ちゃんは、小さいどころかとても大きくなったというのが私の印象ですよ。

大きな赤ちゃんを産むお母さんもまた、太られた分、産道が狭くなります。
狭い道を大きな赤ちゃんが通るものですから、産道裂傷が起きやすいし、
場合によっては、赤ちゃんの腕の神経が麻痺することも有るのですからね。
吸引分娩や緊急帝王切開の比率が上がるのも、うなづけますね。

それとは逆に、小さくて、2500グラム前後の赤ちゃんも、ときどき生まれます。
その場合も、実は原因は、お母さんの体重増加によるのですよ。
お母さんの体重が増えると、赤ちゃんの体重も増えるものだとばかり考えられるでしょうけれど、
逆に妊娠高血圧症候群の原因になって、胎盤の働きが悪くなって、赤ちゃんが育たなくなるのです。
そんな時は、予定日より早くに、胎盤が剥がれてしまう、常位胎盤早期剥離という病気になることも有るのですよ。
最近3人目を帝王切開で産まれたお母さんは、1人目の時は夜中に緊急で帝王切開をして、赤ちゃんの一命を取り留めることができました。
まさに奇跡的なことだったのですが。

産後に病棟を朝夕に回診しています。
ちょうど食事が終わった頃の時間帯なので、みなさんが好き嫌いしているのがよくわかるのです。
大きな赤ちゃんや逆に小さな赤ちゃんを産んだお母さんのお皿には、まず、緑のものが残っています。
きっと家でもそんな食事をされているのでしょうね。

日本の妊婦健診は、おそらく世界で一番良いのですよ。
無料で、ちゃんと分娩教育をしてもらえるのです。
そもそもアメリカなどは、健診もそこそこで、産後もその日に退院するのですからね。
母体死亡率なんか、日本よりずっと高いのです。
ですが残念なことに、ここ10年ほどで、日本が世界に誇る助産制度もすっかり崩壊してしまいましたね。
何でもかんでも帝王切開すれば良いという風潮です。
普通に産むための努力なんて、必要なくなってしまったも同然ですよ。
そうですね、妊娠中に好きなものを好きなだけ食べて、帝王切開すれば良いだけのことなのですから。




この記事についてブログを書く
« 子育てするならやっぱり丹波... | トップ | 胚盤胞はエイリアンです »
最新の画像もっと見る

産科」カテゴリの最新記事