タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

骨盤が狭いと帝王切開?

2017-02-06 21:30:24 | 産科

上の写真は、篠山市奥山の暁人(あきと)くん、12月30日生まれ。
「希望溢れる明るい人生を送れますように。周りの人々に希望の光を与えられますように。
出産は、ウォーターベッドが暖かく、心地よかったです。
年末年始に、夜中も親切に優しく対応していただき、嬉しかったです。」

次はよりリラックスして産みたいということでしたよ。

基本的にニュースは新聞で読むということは減りましたが、
昨日の読売新聞の1面には、「リキッドバイオプシー」の記事が有りましたよ。
リキッドとは液体の意味です。
ソリッド(個体)の反対語です。
つまりガンかどうか、組織を一部採取しなくても、
血液検査でガンかどうかわかる時代になってきているというニュースです。
タマル産ではいち早く、乳がんやすい臓がんのリキッドバイオプシーを始めていますからね。

それはさておき、今日は医療界の裏話をしてみましょう。
ただ医療はいつまでも尊厳が必要なもので、大衆化してほしくないという方も居られるでしょうからご注意を。

先日、里帰りのために紹介状を書いて、実家に帰っていただいた妊婦さんの、その後の経過です。
里の先生からのお返事です。
「謹啓、先生にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
で始まります。
私はこの手の挨拶は苦手なのですが、出世する先生は、こういうのが得意です。

「ご紹介いただきましたA氏(36歳)につきましてご報告申し上げます。
児頭の下降がなく骨盤計測を行いましたところ、
産科的真結合線(恥骨と尾骨の付け根の間)が10.5cmでした。
ご本人、ご家族と相談の上、試験分娩は行わず、
帝王切開により分娩されました。
児は3310gの女児で・・・」と続きます。

みなさんは驚かれませんか?
これが現実なのですよ。
初めてのお産で、まだ陣痛も来ていないのに、いきなり帝王切開です。

理由は云々と書いて有りますが、私には理解できません。
みなさんなら、きっと言われるがままに受け入れられるのかもしれませんね。

いくつかこの返礼書の問題点を考えてみましょう。
まず予定日が近づいて胎児の頭が下降してこない。
これはよく有ることです。
2人目の場合はとくにそうですが、初めての場合でもよく有ります。
へその緒が巻いていて下がらないことも有れば、
難産になりそうだと思っても、すっと生まれたり。

次に骨盤計測ですが、おそらくX線写真を撮られているのでしょう。
骨盤と胎児の頭の位置関係を観るものです。マルチウスグースマン撮影法と名前も有ります。
ですが、日本の産婦人科では半分の施設でしかX線写真を撮れないのですよ。
撮っても仕方がないからです。
だって、胎児の頭は伸び縮みできますから、骨盤に対して大きいとか小さいとか意味はないのです。
猿なら、頭は伸び縮みしないので、有効かもしれませんけれどね。
ただし裁判所ではこの撮影は認められたりします。これが日本の医療裁判のおかしなところですよ。

そして仮に難産そうに見えても、陣痛が来る前から帝王切開するなんて!
せめて陣痛が来て、どうしても生まれなければすればいいでしょう。
タマル産では20年近くで、数千人のお母さんに赤ちゃんを産んでいただきましたが、
骨盤が小さいからと帝王切開したことは一度も有りませんからね。

最近、ベトナム人の若い妊婦さんに聞いてみたのですよ。
ベトナムでも帝王切開は増えているのかと。
普通のお産は痛いから、みんな帝王切開するよ、と言われるのです。
ああ、そんな時代になってしまったのですね。

ちなみに、先天性股関節脱臼や、脳性マヒで、骨盤が十分に開かないお母さんが居られます。
でもお産は、何も問題なくされるのですよ。