竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌952から集歌956まで

2020年09月21日 | 新訓 万葉集
集歌九五二 
原文 韓衣 服楢乃里之 嶋待尓 玉乎師付牟 好人欲得
訓読 韓衣(からころも)服(き)楢(なら)の里し嶋松(しままつ)に玉をし付けむ好(よ)き人もがも
試訳 韓人の織る綾の衣を身に着けると云う平城京にある松林苑で待っています。松林苑で天下を冒(おお)う公を玉座に就ける高貴な人が居て欲しい。
注意 試訳では「待つ」から「松」を導き、「木」と「公」に分解してみました。その「木」には大地を冒(おお)うと云う意味があります。また、松林苑は平城京における天皇が宴を催すような大規模な苑池を持つ禁苑とされています。

集歌九五三 
原文 竿牡鹿之 鳴奈流山乎 越将去 日谷八君 當不相将有
訓読 さ雄鹿(をしか)し鳴くなる山を越え行かむ日だにや君しはた逢はざらむ
私訳 立派な角を持つ牡鹿が鳴いている山を越えて行こう。その山を越えて行くその日さえも、貴方にはまだ逢えないのでしょうか。
左注 右、笠朝臣金村之謌中出也。或云、車持朝臣千年作也。
注訓 右は、笠朝臣金村の謌の中に出ず。或は云はく、車持朝臣千年の作なり。
注意 詩経の小雅に載る「鹿鳴」の故事から、松林苑で君王が臣下に対し宴を張ることを暗示します。ここでの「君」は君王への就任を示します。

膳王謌一首
標訓 膳王(かしはでのおほきみ)の謌一首
集歌九五四 
原文 朝波 海邊尓安左里為 暮去者 倭部越 鴈四乏母
訓読 朝(あした)しは海辺(うみへ)に漁(あさり)し夕(ゆふ)されば大和へ越ゆる雁し羨(とも)しも
私訳 朝には海辺で餌をあさり、夕べには大和へ峠を越えて行く雁よ、(その姿に思うと大和に居る貴女を思い出し)、吾を忘れてしまう。
左注 右、作謌之年不審。但、以謌類便載此次。
注訓 右は、謌の作れる年の審(つばび)らかならず。但し、謌の類(たぐひ)を以つて便(すなは)ち此の次(しだい)に載す。

太宰少貳石河朝臣足人謌一首
標訓 太宰少貳石川朝臣足人(たりひと)の謌一首
集歌九五五 
原文 刺竹之 大宮人乃 家跡住 佐保能山乎者 思哉毛君
訓読 さす竹し大宮人の家(いへ)と住む佐保(さほ)の山をば思ふやも君
私訳 天を刺す様に伸びる竹のように発展する大宮に勤める宮人の役宅として住む佐保の山を恋しく思いますか。貴方は。

帥大伴卿和謌一首
標訓 帥(そち)大伴卿の和(こた)へたる謌一首
集歌九五六 
原文 八隅知之 吾大王乃 御食國者 日本毛此間毛 同登曽念
訓読 やすみしし吾(あ)が大王(おほきみ)の御食国(をすくに)は大和もここも同(おや)じとぞ念(も)ふ
私訳 八方をあまねく統治なされる吾等の大王の御領土は、大和もここも同じと思っています。

コメント
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