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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻16 歌番号1005から1009まで

2025年04月17日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1005 拾遺抄記載

詞書 正月に人人まうてきたりけるに、又の日のあしたに、右衛門督公任朝臣のもとにつかはしける

詠人 中務卿具平親王

原文 安可佐里之 幾美可尓保比乃 己比之左尓 武女乃者奈遠曽 計左八遠利川留

和歌 あかさりし きみかにほひの こひしさに うめのはなをそ けさはをりつる

読下 あかさりし君かにほひのこひしさに梅の花をそけさは折りつる

解釈 お会いして飽きることが無い貴方の残した匂いが恋しく思われて、その代わりとして、梅の花を、今朝、折りました。

 

歌番号 1006 拾遺抄記載

詞書 なかされ侍りける時、家のむめの花を見侍りて

詠人 贈太政大臣

原文 己知布可波 尓本比遠己世与 武女乃者奈 安留之奈之止天 者留遠和寸留奈

和歌 こちふかは にほひおこせよ うめのはな あるしなしとて はるをわするな

読下 こちふかはにほひおこせよ梅の花あるしなしとて春をわするな

解釈 東風が吹いたらいつものように匂いを立たせよ、我が屋敷の梅の花、主が居なくなっても春を忘れないでくれ。

 

歌番号 1007

詞書 ももそのの斎院の屏風に

詠人 よみ人しらす

原文 武女乃者奈 者留与利佐幾尓 左幾之可止 美留比止万礼尓 由幾乃不利川々

和歌 うめのはな はるよりさきに さきしかと みるひとまれに ゆきのふりつつ

読下 梅の花雪よりさきにさきしかと見る人まれに雪のふりつつ

解釈 梅の花が雪より先に咲いたけれど、それを眺める人はほとんどいなくて、ただ、雪が降る続いている。

 

歌番号 1008 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 中納言安倍広庭

原文 以尓之止之 祢己之天宇部之 和可也止乃 和可木乃武女者 者奈左幾尓个利

和歌 いにしとし ねこしてうゑし わかやとの わかきのうめは はなさきにけり

読下 いにし年ねこしてうゑしわかやとのわか木の梅は花さきにけり

解釈 去年に根ごと移して植えた私の屋敷の若木の梅が花を咲かせました。

 

歌番号 1009 拾遺抄記載

詞書 天暦御時、大はん所のまへにうくひすのすをこうはいの枝につけてたてられたりけるを見て

詠人 一条摂政

原文 者奈乃恵呂者 安可寸美留止毛 宇久飛寸乃 祢久良乃恵多尓 天奈々布礼曽毛

和歌 はなのいろは あかすみるとも うくひすの ねくらのえたに てななふれそも

読下 花の色はあかす見るとも鴬のねくらの枝に手ななふれそも

解釈 花の様子を飽きることなく眺めても、貴方たち、鶯がねぐらにする枝には手など触れてはいけない。

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拾遺和歌集 巻16 歌番号1000から1004まで

2025年04月16日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

拾遺和歌集

 

巻十六:雑春

 

歌番号 1000

詞書 題しらす

詠人 凡河内躬恒

原文 者留多知止 於毛飛己々呂者 宇礼之久天 以満比止々世乃 於以曽々比个留

和歌 はるたつと おもふこころは うれしくて いまひととせの おいそそひける

読下 春立つと思ふ心はうれしくて今ひととせのおいそそひける

解釈 立春になったと思う気持ちは嬉しいのだが、一方で、今、一歳の老いが身に加わりました。

 

歌番号 1001

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安多良之幾 止之者久礼止毛 以多川良尓 和可三乃美己曽 布利万佐利个礼

和歌 あたらしき としはくれとも いたつらに わかみのみこそ ふりまさりけれ

読下 あたらしき年はくれともいたつらにわか身のみこそふりまさりけれ

解釈 新しい時は来たけれど、何の意味もなく、我が身だけには歳老いることだけが増えました。

 

歌番号 1002

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 阿堂良志幾 止之尓八安礼止毛 宇久飛寸乃 奈久祢左部尓八 加者良左利个利

和歌 あたらしき としにはあれとも うくひすの なくねさへには かはらさりけり

読下 あたらしきとしにはあれとも鴬のなくねさへにはかはらさりけり

解釈 新しい年になりましたが、だからと言って鶯の鳴き声でさえ変わることは有りません。

 

歌番号 1003

詞書 北宮屏風に

詠人 右近

原文 止之川幾乃 由久衛毛志良奴 也万可川者 多幾乃遠止尓也 者留遠志留良无

和歌 としつきの ゆくへもしらぬ やまかつは たきのおとにや はるをしるらむ

読下 年月のゆくへもしらぬ山かつはたきのおとにやはるをしるらん

解釈 年月が過ぎ行くと言ってもどこへ行くのか知らない、でも、山人は急流の瀬音に春の訪れに気が付くのでしょうか。

 

歌番号 1004

詞書 延喜十五年斎院屏風歌

詠人 紀貫之

原文 者留久礼者 多幾乃志良以止 以可奈礼也 武寸部止毛奈本 安和尓美由良无

和歌 はるくれは たきのしらいと いかなれや むすへともなほ あわにみゆらむ

読下 春くれは滝のしらいといかなれやむすへとも猶あわに見ゆらん

解釈 春がやって来ると滝の白糸はどうなるのでしょうか、糸を結ぶではありませんが、水を手で掬(むす)んでも、それでもまだ水泡のように見えるでしょうか。

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