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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻18 歌番号1179から1183まで

2025年06月05日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1179 合作歌

詞書 中将に侍りける時、右大弁源致方朝臣のもとへ、やへこうはいををりてつかはすとて

詠人 右大将実資/むねかたの朝臣

原文 利宇曽久乃 以呂尓者安良寸 武女乃者奈/知武知宇須部幾毛 乃止己曽美礼

和歌 りうそくの いろにはあらす うめのはな/ちむちようすへき ものとこそみれ

読下 流俗のいろにはあらす梅の花/珍重すへき物とこそ見れ

解釈 巷の流行の色合いとは違う梅の花よ、珍重すべきものとして眺めなさい。

注意 二人による上句に下句を付ける遊び歌です。

 

歌番号 1180 合作歌

詞書 つくしへまかりける時に、かまと山のもとにやとりて侍りけるに、みちつらに侍りける木にふるくかきつけて侍りける

詠人 もとすけ

原文 者留者毛恵 安幾者己可留々 加万止也万/加寸美毛幾利毛 个不利止曽美留

和歌 はるはもえ あきはこかるる かまとやま/かすみもきりも けふりとそみる

読下 春はもえ秋はこかるるかまと山/かすみもきりもけふりとそ見る

解釈 春は緑が萌え、秋は紅葉が焦がれる、竈山、それで、霞も霧も煙かと見間違えます。

 

歌番号 1181 合作歌

詞書 春、よしみねのよしかたかむすめのもとにつかはすとて

詠人 藤原忠君朝臣/むすめ

原文 遠毛飛多知奴留 个不尓毛安留可那/加々良天毛 安利尓之毛乃遠 者留可寸美

和歌 おもひたちぬる けふにもあるかな/かからても ありにしものを はるかすみ

読下 思ひたちぬるけふにもあるかな/かからてもありにしものをはるかすみ

解釈 貴方の許を訪れようと思い立った今日のことであります。無理に今日、訪れなくてもいいものを、山に懸かる春の霞、その言葉の響きのような、かかることではないのですから。

 

歌番号 1182 合作歌

詞書 ひろはたのみやす所、内にまゐりておそくわたらせたまひけれは/とそうし侍りけれは

詠人 ひろはたのみやす所/内

原文 久良寸部之也者 以末々天尓幾美/止布也止曽 和礼毛万知川留 者留乃比遠

和歌 くらすへしやは いままてにきみ/とふやとそ われもまちつる はるのひを

読下 くらすへしやはいままてにきみ/とふやとそ我もまちつるはるの日を

解釈 これほどに遅くまで日を暮らすものでしょうか、今に至るまで、君よ。貴女はそのように詰問しますが、私は待っていたのです、冬が終わりこの長い春の一日を。

 

歌番号 1183 合作歌

詞書 よひにひさしうおほとのこもらて、おほせられける/御前にさふらひてそうしける

詠人 天暦御製/しけののないし

原文 佐世布遣天 以満者祢不多久 奈利尓个里/由女尓安不部幾 比止也末川良无

和歌 さよふけて いまはねふたく なりにけり/ゆめにあふへき ひとやまつらむ

読下 さ夜ふけて今はねふたくなりにけり/夢にあふへき人やまつらん

解釈 夜が更けて今は眠たくなりました、それは夢の中で逢うべき人が待っているからですか。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1174から1178まで

2025年06月04日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1174

詞書 東三条院の賀、左大臣のし侍りけるに、かむたちめかはらけとりて、うたよみ侍りけるに

詠人 右衛門督公任

原文 幾美可与尓 以満以久多比可 加久之川々 宇礼之幾己止尓 安者无止寸良无

和歌 きみかよに いまいくたひか かくしつつ うれしきことに あはむとすらむ

読下 きみか世に今いくたひかかくしつつうれしき事にあはんとすらん

解釈 君の御代に、これからも幾たびか、このようにありますと、この嬉しき祝い事に参加したいと願います。

 

歌番号 1175

詞書 右大臣、家つくりあらためてわたりはしめけるころ、ふみつくり、うたなと人人によませ侍りけるに、水樹多佳趣、といふ題を

詠人 右衛門督公任

原文 須美曽武留 寸恵乃己々呂乃 美由留可奈 美幾八乃万川乃 加計遠宇川世八

和歌 すみそむる すゑのこころの みゆるかな みきはのまつの かけをうつせは

読下 すみそむるすゑの心の見ゆるかなみきはの松のかけをうつせは

解釈 新築の屋敷に住み始めて、将来の様子を想像いたします、苑池の汀に生える常盤の松の姿を映している風情を拝見すると。

 

歌番号 1176 拾遺抄記載

詞書 ある人の賀し侍りけるに

詠人 権中納言敦忠

原文 知止世布留 之毛乃川留遠者 於幾奈可良 比左之幾毛乃者 幾美尓曽安利个留

和歌 ちとせふる しものつるをは おきなから ひさしきものは きみにそありける

読下 ちとせふる霜のつるをはおきなからひさしき物は君にそありける

解釈 千年を経た霜のように白い鶴を長寿の証と据え置きますが、それでも久しいものは貴方の長寿にあります。

 

歌番号 1177 拾遺抄記載

詞書 清和の女七のみこの八十賀、重明のみこのし侍りける時の屏風に、竹に雪ふりかかりたるかたある所に

詠人 つらゆき

原文 志良由幾者 布利可久世止毛 知与万天尓 堂个乃美止利者 加者良左利个利

和歌 しらゆきは ふりかくせとも ちよまてに たけのみとりは かはらさりけり

読下 しらゆきはふりかくせともちよまてに竹のみとりはかはらさりけり

解釈 白雪が降り積もりその姿を隠しますが、身を潜めても千代までに竹の緑は変わることがありません。

 

歌番号 1178

詞書 こを、とみはたとつけて侍りけるに、はかまきすとて

詠人 もとすけ

原文 与乃奈可尓 己止奈留己止者 安良寸止毛 止美者多之天武 以乃知奈可久八

和歌 よのなかに ことなることは あらすとも とみはたしてむ いのちなかくは

読下 世の中にことなる事はあらすともとみはたしてむいのちなかくは

解釈 この世の中に特別なことは無いとしても、「とみはた」のお名前ではありませんが、きっと、富を果たすでしょう、長く生きて行かれますから。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1169から1173まで

2025年06月03日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1169

詞書 延喜の御時、斎院屏風四帖、せんしによりて

詠人 つらゆき

原文 伊久世部之 以曽部乃万川曽 武可之与利 多知与留奈美也 可寸八之留良无

和歌 いくよへし いそへのまつそ むかしより たちよるなみや かすはしるらむ

読下 いく世へしいそへの松そ昔よりたちよる浪やかすはしるらん

解釈 いったい、幾代を経た磯の松なのでしょうか、その磯に立ち寄せる浪の数を知りたいものです。

 

歌番号 1170

詞書 人のかうふりし侍りけるに

詠人 もとすけ

原文 己武良左幾 堂奈比久々毛遠 志留部尓天 久良為乃也万乃 美祢遠多川祢无

和歌 こむらさき たなひくくもを しるへにて くらゐのやまの みねをたつねむ

読下 こ紫たなひく事をしるへにて位の山の峯をたつねん

解釈 濃い紫色に棚引く雲を道しるべにして、今日から位の山の峯を尋ねるのでしょう。

注意 官服の濃紫色は三位以上ですので、そこを目指して官人の道を行くということです。

 

歌番号 1171 拾遺抄記載

詞書 天暦御時、内裏にて為平のみこはかまき侍りけるに

詠人 参議好古

原文 毛々之幾尓 知止世乃己止者 於本可礼止 遣不乃幾美者多 女川良之幾可奈

和歌 ももしきに ちとせのことは おほかれと けふのきみはた めつらしきかな

読下 ももしきにちとせの事はおほかれとけふの君はためつらしきかな

解釈 たくさんの岩を重ねた宮での千歳の伝統行事は多いのですが、今日の皇子の袴着の儀式は大層盛大でありました。

 

歌番号 1172

詞書 五月五日、ちひさきかさりちまきを山すけのこにいれて、ためまさの朝臣のむすめに心さすとて

詠人 春宮大夫道綱母

原文 己々呂左之 布可幾美幾者尓 加留己毛者 知止世乃左川幾 以川可和寸礼无

和歌 こころさし ふかきみきはに かるこもは ちとせのさつき いつかわすれむ

読下 心さしふかきみきはにかるこもはちとせのさ月いつかわすれん

解釈 厚意深く、その言葉ではありませんが、深い汀に刈る菰は千歳の伝統行事である五月五日の今日のことを、何時、忘れることがあるでしょうか。

 

歌番号 1173

詞書 天徳四年、右大臣、五十賀屏風に

詠人 清原元輔

原文 知止世部无 幾美之以万左者 寸部良幾乃 安女乃志多己曽 宇之呂也寸个礼

和歌 ちとせへむ きみしいまさは すめらきの あめのしたこそ うしろやすけれ

読下 ちとせへん君しいまさはすへらきのあめのしたこそうしろやすけれ

解釈 千歳を経て、貴方が御健在でしたら、天皇が治めるこの天下は安泰であります。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1164から1168まで

2025年06月02日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1164

詞書 賀屏風、人の家に松のもとより泉いてたり

詠人 貫之

原文 万川乃祢尓 以川留以川美乃 美川奈礼者 於奈之幾毛乃遠 多恵之止曽遠毛飛

和歌 まつのねに いつるいつみの みつなれは おなしきものを たえしとそおもふ

読下 松のねにいつる泉の水なれはおなしき物をたえしとそ思ふ

解釈 松の根元に湧きだす泉の水なので、同じ長寿の印のものとして、絶えることは無いと思います。

 

歌番号 1165

詞書 冷泉院の五、六のみこはかまき侍りけるころ、いひおこせて侍りける

詠人 左大臣

原文 伊者乃宇部乃 万川尓多止部武 幾美/\者 与尓万礼良奈留 多祢曽止於毛部八

和歌 いはのうへの まつにたとへむ きみきみは よにまれらなる たねそとおもへは

読下 いはのうへの松にたとへむきみきみは世にまれらなるたねそとおもへは

解釈 磐の上の松に例えましょう、君々は世に稀ならぬ高貴な種だと思いますので。

注意 左大臣とは藤原実頼のことで冷泉院の五番目、六番目の皇子とは実は花山天皇の御子で母親は平一族の出で皇族でも藤原家でもない格の落ちる御子です。それで藤原家筆頭の実頼から見た時の四句目と五句目の表現なのです。

 

歌番号 1166

詞書 ある人の産して侍りける七夜

詠人 もとすけ

原文 万川可恵乃 加与部留恵多遠 止久良尓天 須多天良留部幾 川留乃比奈可那

和歌 まつかえの かよへるえたを とくらにて すたてらるへき つるのひなかな

読下 松かえのかよへる枝をとくらにてすたてらるへきつるのひなかな

解釈 万年の齢の松の枝の、その入り組んだ枝を巣にして、巣立するでしょう、千年の齢の鶴の雛であります。(そのように丈夫ですくすくと育ちますように)

 

歌番号 1167

詞書 大弐国章、むまこのいかに、わりこてうして、うたをゑにかかせける

詠人 もとすけ

原文 満川乃己个 知止世遠加祢天 於以之个礼 川留乃加比己乃 寸止毛美留部久

和歌 まつのこけ ちとせをかねて おひしけれ つるのかひこの すともみるへく

読下 まつの苔ちとせをかねておひしけれつるのかひこのすとも見るへく

解釈 万年の齢の松の苔よ、さらに千歳を目指して生い茂れ、この贈る破籠が千年の齢の鶴の卵(かうこ)の巣と思えるように願います。

 

歌番号 1168

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和礼乃美也 己毛多留天部者 多可左己乃 於乃部尓多天留 万川毛己毛多利

和歌 われのみや こもたるてへは たかさこの をのへにたてる まつもこもたり

読下 我のみやこもたるてへは高砂のをのへにたてる松もこもたり

解釈 私だけでしょうか、子供を持つのかと問えば、高砂の尾の上に立ち生える松も子を持っていますと答えます。

注意 二句目「もたるてへは」は「もたるていへは」の省略と解釈し「持たるて言へば」となります。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1159から1163まで

2025年05月30日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

拾遺和歌集

 

巻十八:雑賀

 

歌番号 1159

詞書 延喜二年五月中宮御屏風、元日

詠人 紀貫之

原文 乃不与利遠 知遠者志良寸毛 々止世乃者 留乃者之女者計 不尓曽安利个留

和歌 きのふより をちをはしらす ももとせの はるのはしめは けふにそありける

読下 昨日よりをちをはしらすももとせの春の始はけふにそ有りける

解釈 昨日より以前のことは知らない、これからの百年の春の始めは、今日のこの時にある。

 

歌番号 1160 拾遺抄記載

詞書 屏風に

詠人 伊勢

原文 者累/\止 久毛為遠左志天 由幾布祢乃 由幾須衛止遠久 於毛本由留可奈

和歌 はるはると くもゐをさして ゆくふねの ゆくすゑとほく おもほゆるかな

読下 はるはると雲井をさして行く舟の行末とほくおもほゆるかな

解釈 はるばると雲井を指して行く舟の行方は遠くと思えます。

注意 詞書の「屏風」の持ち主により歌の解釈は持ち主の将来が遥か長いことを寿ぐとします。ただ、何時の時の、誰の屏風かは、解釈者次第です。

 

歌番号 1161

詞書 九条右大臣の五十賀、屏風に、竹ある所に花の木ちかくあり

詠人 もとすけ

原文 者奈乃恵呂毛 止幾者奈良奈无 奈与多計乃 奈可幾与尓遠久 川由之加々良者

和歌 はなのいろも ときはならなむ なよたけの なかきよにおく つゆしかからは

読下 花の色もときはならなんなよ竹のなかきよにおくつゆしかからは

解釈 花の色は常盤であって欲しい、なよ竹の長い節(よ)に置く露、その言葉の響きのように、これまでの長い世に齢を置く、このようにこれからもあるのならば。

 

歌番号 1162

詞書 ためあきらの朝臣、きのかみに侍りける時に、ちひさきこをいたきいてて、これいのれ、いのれ、といひたるうたよめといひ侍りけれは

詠人 もとすけ

原文 与呂徒世遠 加曽部武毛乃者 幾乃久尓乃 知比呂乃者万乃 万佐己奈利个利

和歌 よろつよを かそへむものは きのくにの ちひろのはまの まさこなりけり

読下 よろつ世をかそへむ物はきのくにのちひろのはまのまさこなりけり

解釈 萬代を数えるものは、紀国の千尋の浜の真砂を数えるもの、その言葉の響きではありませんが、まさに貴方の子であります。

 

歌番号 1163

詞書 東宮のいしなとりのいしめしけれは、三十一をつつみて、ひとつにひともしをかきてまゐらせける

詠人 よみ人しらす

原文 己遣武左者 飛登日毛加部武 左々礼以之乃 加者留美奈止留 与者日以久与曽

和歌 こけむさは ひろひもかへむ さされいしの かすをみなとる よはひいくよそ

読下 こけむさはひろひもかへむさされいしのかすをみなとるよはひいくよそ

解釈 この石に苔が生したら、また、石を拾って換えましょう、さざれ石の数を、皆、読み取るのに、一体、齢は幾代ほどでしょうか。

注意 句の頭「こひさかよ」は「請ふ栄代」でもあります。

 

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