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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻13 歌番号797から801まで

2025年02月17日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 797 拾遺抄記載

詞書 春宮左近

原文 布良奴世乃 己々呂遠志良天 於保曽良乃 安女遠徒良之止 於毛飛个留可奈

和歌 ふらぬよの こころをしらて おほそらの あめをつらしと おもひけるかな

読下 ふらぬ夜の心をしらておほそらの雨をつらしと思ひけるかな

解釈 (女が通って来るはずの男を待つ、その)雨が降らない夜の気持ちを気付かないのでしょうか、大空からの雨だけを(通うことが)辛いことだと貴方は思っているようです。

注意 新日本古典文学大系の解釈とは大きく違います。これは独善です。

 

歌番号 798 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己呂毛多尓 奈可尓安利之者 宇止可利幾 安者奴与遠左部 々多天川留可奈

和歌 ころもたに なかにありしは うとかりき あはぬよをさへ へたてつるかな

読下 衣たになかに有りしはうとかりきあはぬ夜をさへへたてつるかな

解釈 衣さえも二人の間にあれば邪魔なものだと思っていましたが、今は、貴方と逢わない夜さえも、幾夜も二人の間を隔てているようです。

 

歌番号 799

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈可幾世毛 比止遠川良之止 於毛不尓八 祢奈久尓安久留 毛乃尓曽安利个留

和歌 なかきよも ひとをつらしと おもふには ねなくにあくる ものにそありける

読下 なかき夜も人をつらしと思ふにはねなくにあくる物にそ有りける

解釈 長い夜、その泣いた夜もあの人の振る舞いが辛いと思うので、寝ることも無く、音を上げて泣く、その夜が明ける、そのようなことであります。

 

歌番号 800 拾遺抄記載

詞書 今はとはしといひ侍りける女のもとにつかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 和春礼奈无 以満者止者之止 於毛飛徒々 奴累与之毛己曽 由女尓美恵个礼

和歌 わすれなむ いまはとはしと おもひつつ ぬるよしもこそ ゆめにみえけれ

読下 わすれなん今はとはしと思ひつつぬる夜しもこそゆめに見えけれ

解釈 もう、忘れてしまおう、今は貴女の許へ問うこともしませんと、思いながら寝るときに限り、貴女の姿が夢に現れます。

 

歌番号 801

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 与累止天毛 祢良礼左利个利 比止之礼寸 祢左女乃己比尓 於止呂可礼川々

和歌 よるとても ねられさりけり ひとしれす ねさめのこひに おとろかれつつ

読下 よるとてもねられさりけり人しれすねさめのこひにおとろかれつつ

解釈 夜だからと言っても寝ることが出来ません、人知れず寝ることも出来ない貴女への恋心に、今更ながらに気付かされます。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号792から796まで

2025年02月14日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 792 拾遺抄記載

詞書 月を見て、ゐなかなるをとこを思ひいててつかはしける

詠人 中宮内侍

原文 己世飛幾美 以可奈留佐止乃 川幾遠美天 美也己尓多礼遠 於毛飛以川良无

和歌 こよひきみ いかなるさとの つきをみて みやこにたれを おもひいつらむ

読下 今夜君いかなるさとの月を見て宮こにたれを思ひいつらむ

解釈 今夜、貴方は、どのような里にいて月を眺め、都の誰を思い出していますか。

 

歌番号 793

詞書 題しらす

詠人 たたみね

原文 川幾加个遠 和可身尓可不留 毛乃奈良八 於毛者奴比止毛 安者礼止也美武

和歌 つきかけを わかみにかふる ものならは おもはぬひとも あはれとやみむ

読下 月かけをわか身にかふる物ならはおもはぬ人もあはれとや見む

解釈 月の姿を我が身と交換できるものでしたら、私のことを見向きもしない貴女でも、心が寄せられると眺めるでしょうか。

 

歌番号 794 拾遺抄記載

詞書 万葉集和せるうた

詠人 したかふ

原文 飛止利奴留 也止尓者川幾乃 美恵佐良者 己比之幾己止乃 加寸者万左良之

和歌 ひとりぬる やとにはつきの みえさらは こひしきことの かすはまさらし

読下 ひとりぬるやとには月の見えさらは恋しき事のかすはまさらし

解釈 独りで寝る床の間から月が眺められないのなら、きっと、しみじみと恋しいと思うことの数は増えないでしょうね。

 

歌番号 795

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 奈可川幾乃 安利阿个乃川幾乃 安利川々毛 幾美之幾万左八 和礼己比女也毛

和歌 なかつきの ありあけのつきの ありつつも きみしきまさは わかこひめやも

読下 長月の在明の月の有りつつも君しきまさは我こひめやも

解釈 九月の有明の月の光がまだ残っている、このように送ることが出来るのなら、貴方がやって来たのなら、私はこれほどに恋焦がれることはありません。

 

歌番号 796 拾遺抄記載

詞書 月あかき夜、人をまち侍りて

詠人 人まろ

原文 己止奈良波 也美尓曽安良末之 安幾乃与乃 奈曽川幾可个乃 比止堂乃女奈留

和歌 ことならは やみにそあらまし あきのよの なそつきかけの ひとたのめなる

読下 ことならはやみにそあらまし秋のよのなそ月かけの人たのめなる

解釈 同じことならば闇夜であって欲しい、秋の夜、どうして、月の光はやって来る人をはっきりと見せないの、(私の愛しい人と間違えたじゃないの)

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号787から791まで

2025年02月13日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 787 拾遺抄記載

詞書 月あかかりける夜、女の許につかはしける

詠人 源さねあきら

原文 己飛之佐者 於奈之己々呂尓 安良寸止毛 以満世乃川幾遠 幾美々佐良女也

和歌 こひしさは おなしこころに あらすとも こよひのつきを きみみさらめや

読下 こひしさはおなし心にあらすとも今夜の月を君見さらめや

解釈 恋しいと言う気持ちが貴女と私とで同じ心持ちでは無くても、今夜の美しい月を、貴女、見ませんでしたか。

 

歌番号 788 拾遺抄記載

詞書 返し

詠人 中務

原文 佐也可尓毛 美留部幾川幾遠 和礼者多々 奈美堂尓久毛留 於利曽於保可留

和歌 さやかにも みるへきつきを われはたた なみたにくもる をりそおほかる

読下 さやかにも見るへき月を我はたた涙にくもるをりそおほかる

解釈 清らかに眺めるべきの月ではありますが、私は、ただ、涙に曇れる折が多いこの頃です。

注意 返歌ですが、貴方を慕って流す涙とは言いません。そこが難しいのです。

 

歌番号 789

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 飛左可多乃 安万天留川幾毛 加久礼由久 奈尓々与曽部天 幾美遠之乃者武

和歌 ひさかたの あまてるつきも かくれゆく なにによそへて きみをしのはむ

読下 久方のあまてる月もかくれ行く何によそへてきみをしのはむ

解釈 遥か彼方の天空で輝く月もやがて山の端へ隠れ行きます、いったい、何に擬えて、貴女のことを変わらぬ思いを持って恋焦がれましょうか。

 

歌番号 790 拾遺抄記載

詞書 京に思ふ人をおきてはるかなる所にまかりけるみちに、月のあかかりける夜

詠人 よみ人しらす

原文 美也己尓天 美之尓加者良奴 川幾可个遠 奈久佐女尓天毛 安可寸己呂可奈

和歌 みやこにて みしにかはらぬ つきかけを なくさめにても あかすころかな

読下 宮こにて見しにかはらぬ月影をなくさめにてもあかすころかな

解釈 都にて貴女と共に見た時の姿と変わらない月の姿を慰めにして、夜を明かすこの頃です。

 

歌番号 791 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 つらゆき

原文 天累川幾毛 可个美奈曽己尓 宇川利个利 尓多留毛乃奈幾 己日毛寸留可那

和歌 てるつきも かけみなそこに うつりけり にたるものなき こひもするかな

読下 てる月も影みなそこにうつりけりにたる物なきこひもするかな

解釈 天空で照り輝く月が水面に映っている、月は空と水面と二つ似たものがあるようだが、私は似たものがない、ただ一つの思いで貴女に恋をしています。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号782から786まで

2025年02月12日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 782 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 安之飛起乃 也万与利以徒留 川幾満川止 比止尓者以比天 幾美遠己曽万天

和歌 あしひきの やまよりいつる つきまつと ひとにはいひて きみをこそまて

読下 あしひきの山よりいつる月まつと人にはいひて君をこそまて

解釈 (夜に屋敷の門に立つのなら、)足を曳くような険しい山から出て来る月を待っていると人には行って、恋しい恋人の訪れを待っていなさい。

 

歌番号 783

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 美可川幾乃 佐也可尓美恵寸 久毛可久礼 美末久曽保之幾 宇多天己乃己呂

和歌 みかつきの さやかにみえす くもかくれ みまくそほしき うたてこのころ

読下 みか月のさやかに見えす雲隠見まくそほしきうたてこのころ

解釈 三日月がはっきり見えずに雲に隠れるように、はっきり貴方のお姿を眺めて見たいと思います、訪れがなくやきもきする今日この頃です。

 

歌番号 784 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安布己止者 加多和礼川幾乃 久毛可久礼 於本呂計尓也者 比止乃己比之幾

和歌 あふことは かたわれつきの くもかくれ おほろけにやは ひとのこひしき

読下 逢ふ事はかたわれ月の雲かくれおほろけにやは人のこひしき

解釈 貴方に逢うことは難い、その言葉の響きのように、半分に割れた三日月が雲に隠れるようにはっきりと姿を見せない、そのおぼろな気持ちではなく、貴方が恋しいのです。

 

歌番号 785

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 安幾乃与乃 川幾可毛幾美者 久毛可久礼 志波之毛美祢者 己々良己日之幾

和歌 あきのよの つきかもきみは くもかくれ しはしもみねは ここらこひしき

読下 秋の夜の月かも君はくもかくれしはしも見ねはここらこひしき

解釈 秋の夜の月のようです、貴方は雲隠れして、少しも逢えないと、とても恋しくてたまりません。

 

歌番号 786

詞書 円融院の御屏風、八月十五夜月のかけ、池にうつれる家に、をとこ女ゐてけさうしたる所

詠人 平兼盛

原文 安幾乃世乃 川幾美留止乃美 於幾為川々 以満世毛祢天也 和礼者可部良无

和歌 あきのよの つきみるとのみ おきゐつつ こよひもねてや われはかへらむ

読下 秋の夜の月見るとのみおきゐつつ今夜もねてや我はかへらん

解釈 風流として秋の夜の月を見るだけとばかりに起きているが、今夜も貴女と共寝することなく、私は帰らなければいけないのでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号777から781まで

2025年02月11日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

拾遺和歌集

 

巻十三:恋三

 

歌番号 777

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安之飛幾乃 也万志多可世毛 佐武个幾尓 己与比毛万多也 和可比止利祢无

和歌 あしひきの やましたかせも さむけきに こよひもまたや わかひとりねむ

読下 あしひきの山した風もさむけきにこよひも又やわかひとりねん

解釈 葦や檜の生える山から吹き下ろす風が寒いのに、今夜もまつぁ、私は独りで寝ることです。

 

歌番号 778

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 安之飛幾乃 也万止利乃於乃 志多利於乃 奈可/\之与遠 飛止利可毛祢武

和歌 あしひきの やまとりのをの したりをの なかなかしよを ひとりかもねむ

読下 葦引の山鳥の尾のしたりをのなかなかし夜をひとりかもねむ

解釈 葦や檜の生える山、その山鳥の尾の枝垂れ尾のように、長々しい夜を私独りで寝るのでしょう。

 

歌番号 779

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 阿之比幾乃 可徒良幾也万尓 為留久毛乃 堂知天毛為天毛 幾美遠己曽於毛部

和歌 あしひきの かつらきやまに ゐるくもの たちてもゐても きみをこそおもへ

読下 あしひきの葛木山にゐる事のたちてもゐても君をこそおもへ

解釈 足を曳くような険しい葛城山に立ち上り居る雲のように、立っていても座っていても、貴女のことばかりが気に掛かります。

 

歌番号 780

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安之飛幾乃 也万乃也万寸計 也末寸乃美 々祢者己比之幾 々美尓毛安留可奈

和歌 あしひきの やまのやますけ やますのみ みねはこひしき きみにもあるかな

読下 あしひきの山の山すけやますのみ見ねはこひしききみにもあるかな

解釈 葦や檜の生える山の山菅、その言葉の響きではありませんが、止まずばかりに、貴方の姿を見ないと恋しいです、そのような私の恋しい貴方です。

 

歌番号 781 拾遺抄記載

詞書 たひの思ひをのふといふことを

詠人 石上乙麿

原文 阿之比幾乃 也万己恵久礼天 也止可良八 伊毛多知万知天 以祢左良无可毛

和歌 あしひきの やまこえくれて やとからは いもたちまちて いねさらむかも

読下 あしひきの山こえくれてやとからはいもたちまちていねさらむかも

解釈 足を曳くような険しい山を越える途中で日が暮れて宿を借りると、私の愛しい貴女は、私の帰りを屋敷の門で立って待っていて、寝ていないかもしれない。

 

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