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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻13 歌番号822から826まで

2025年02月24日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 822 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 堂々久止天 也止乃川万止遠 安个多礼者 比止毛己寸恵乃 久比奈々利个利

和歌 たたくとて やとのつまとを あけたれは ひともこすゑの くひななりけり

読下 たたくとてやとのつまとをあけたれは人もこすゑのくひななりけり

解釈 誰かが戸を叩いたと思って屋敷の妻戸を開けみたら、人がやって来たのではなく、梢のクイナの鳴き声でした。

 

歌番号 823

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈川己呂毛 宇寸幾奈可良曽 多乃末留々 飛止部奈留之毛 三尓知可个礼者

和歌 なつころも うすきなからそ たのまるる ひとへなるしも みにちかけれは

読下 夏衣うすきなからそたのまるるひとへなるしも身にちかけれは

解釈 夏衣は薄いではありますが夏には身に十分です、その言葉の響きではありませんが、一重で薄いとは言いますが、信頼を寄せる人になるでしょう、私の身近に居るのですから。

 

歌番号 824

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 加里天保寸 与止乃満己毛乃 安女布礼者 徒可祢毛安部奴 己日毛寸留可奈

和歌 かりてほす よとのまこもの あめふれは つかぬもあへぬ こひもするかな

読下 かりてほすよとのまこもの雨ふれはつかねもあへぬこひもするかな

解釈 刈り取って干す淀の真菰に雨が降れば束ねることも出来ない、そこ言葉の響きではありませんが、束の間も逢えない、そのような貴女との恋をしたようです。

 

歌番号 825 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 美奈川幾乃 川知左部左个天 々留比尓毛 和可曽天飛女也 以毛尓安者寸之天

和歌 みなつきの つちさへさけて てるひにも わかそてひめや いもにあはすして

読下 みな月のつちさへさけててる日にもわかそてひめやいもにあはすして

解釈 水無月、六月の土さえ乾ききって裂ける炎天下にも、私の袖は恋の苦しみに流す涙で濡れている、愛しい貴女に逢えなくて。

 

歌番号 826

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 奈累加美乃 志波之宇己幾天 曽良久毛利 安女毛布良奈无 幾美止万留部久

和歌 なるかみの しはしうこきて そらくもり あめもふらなむ きみとまるへく

読下 なる神のしはしうこきてそらくもり雨もふらなん君とまるへく

解釈 鳴る神がしばし動いて空が曇り、きっとあめも降るでしょう、貴方が泊まるようにと。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号817から821まで

2025年02月21日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 817 拾遺抄記載

詞書 冬よりひえの山にのほりて、はるまておとせぬ人のもとに

詠人 藤原きよたたかむすめ

原文 奈可女也留 也万部者以止々 加寸美川々 於保川可奈佐乃 万左留者留可奈

和歌 なかめやる やまへはいとと かすみつつ おほつかなさの まさるはるかな

読下 なかめやる山へはいととかすみつつおほつかなさのまさる春かな

解釈 貴方が籠る、その眺めて見遣る山の辺に大層に霞が立ち、貴方が居ないおぼつかなさが優って来るこの春です。

 

歌番号 818

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 和可世己遠 幾万世乃也万止 比止者以部止 幾美毛幾万佐奴 也万乃奈々良之

和歌 わかせこを きませのやまと ひとはいへと きみもきまさぬ やまのなならし

読下 わかせこをきませの山とひとはいへと君もきまさぬ山のなならし

解釈 私の愛しい貴方よ、やって来なさいと言う、その言葉のような来増山と人は呼びますが、でも、貴方はやっても来ません、そのような山の名前なのでしょう。

 

歌番号 819 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 山辺赤人

原文 和礼背子遠 奈良之乃遠可乃 与不己止利 幾美与比可部世 与乃布計奴止幾

和歌 わかせこを ならしのをかの よふことり きみよひかへせ よのふけぬとき

読下 我か背子をならしの岡のよふことり君よひかへせ夜のふけぬ時

解釈 私の愛しい貴方を慣れ親しむ、その言葉の響きのような、均しの岡の呼子鳥、お前の名前のようにあの人を呼び返して下さい、夜が更けない時分に。

 

歌番号 820

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己奴比止遠 万川知乃也万乃 本止々幾須 於奈之己々呂尓 祢己曽奈可留礼

和歌 こぬひとを まつちのやまの ほとときす おなしこころに ねこそなかるれ

読下 こぬ人をまつちの山の郭公おなし心にねこそなかるれ

解釈 来ぬ人を待つ、その言葉のような、待乳山のホトトギス、その片恋片恋と鳴く、同じ心に声を立てて泣いてしまいます。

注意 和歌のホトトギスは現在のカッコウ鳥で「カッコウ、カッコウ」と鳴く鳴き声を「片恋、片恋」と聞くのが万葉集での約束です。

 

歌番号 821 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 志乃々女尓 奈幾己曽和多礼 保止々幾寸 毛乃遠毛飛也止者 志留久也安留良无

和歌 しののめに なきこそわたれ ほとときす ものおもふやとは しるくやあるらむ

読下 しののめになきこそわたれ時鳥物思ふやとはしるくやあるらん

解釈 東雲に染まる空に鳴きながら飛び渡れ、ホトトギスよ、夜通しに物思いに耽っている人が住む屋敷と気が付いているのだろう。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号812から816まで

2025年02月20日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 812

詞書 題しらす

詠人 よみひとしらす

原文 安徒左由美 者留乃安良田遠 宇知可部之 於毛飛也美尓之 比止曽己比之幾

和歌 あつさゆみ はるのあらたを うちかへし おもひやみにし ひとそこひしき

読下 あつさゆみ春のあら田をうち返し思ひやみにし人そこひしき

解釈 梓弓を張る、その言葉ではありませんが、春の新しい田を打ち返す、そのように何度も打ち返して、恋焦がれる思いで病むほどの、貴女が恋しいのです。

 

歌番号 813

詞書 題しらす

詠人 みつね

原文 加乃遠可尓 波幾可留遠乃己 奈者遠奈美 祢留也祢利曽乃 久多計天曽遠毛飛

和歌 かのをかに はきかるをのこ なはをなみ ねるやねりその くたけてそおもふ

読下 かのをかにはきかるをのこ縄をなみねるやねりそのくたけてそ思ふ

解釈 かの岡に萩を刈る男、縄が無いので捩じり撚った蔦がささくれ砕ける、その言葉ではありませんが、あれこれと心を砕けて貴女のことを慕います。

 

歌番号 814

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者留久礼者 也奈幾乃以止毛 止个尓个利 武春本々礼多留 和可己々呂可奈

和歌 はるくれは やなきのいとも とけにけり むすほほれたる わかこころかな

読下 春くれは柳のいともとけにけり結ほほれたるわか心かな

解釈 春がやって来れば、柳の糸のような枝葉もほどけてそよいでいる、でも、願いが叶うことなく堅く結び絡まっている私の気持ちです。

 

歌番号 815

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 以徒可多尓 与留止可者美武 安遠也幾乃 以止佐多女奈幾 比止乃己々呂遠

和歌 いつかたに よるとかはみむ あをやきの いとさためなき ひとのこころを

読下 いつ方によるとかは見むあをやきのいとさためなき人の心を

解釈 いったい誰の元に寄ると思えばいいのか、青柳の糸のような枝葉がゆらゆらと揺れる、そのようなゆらゆらと揺れ定めない、あの人の気持ちを。

 

歌番号 816

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 満幾毛久乃 比者良乃可須美 多知可部利 加久己曽者美女 安可奴幾美可奈

和歌 まきもくの ひはらのかすみ たちかへり かくこそはみめ あかぬきみかな

読下 まきもくのひはらの霞立返りかくこそは見めあかぬ君かな

解釈 巻向の檜原に霞が立つ、その言葉の響きではないが、朝焼けに立ち、立ち返りして、このように見ても、心飽きることの無い貴女です。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号807から811まで

2025年02月19日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 807 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 ひとまろ

原文 遊不遣止不 宇良尓毛与久安利 己与比多尓 己佐良无幾美遠 以川可万徒部幾

和歌 ゆふけとふ うらにもよくあり こよひたに こさらむきみを いつかまつへき

読下 ゆふけとふうらにも好くありこよひたにこさらむきみをいつかまつへき

解釈 夕占を問う、その占いにも吉とあった、その今夜でもやって来ないあの人を、何時と言って待っているべきでしょうか。

 

歌番号 808 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 ひとまろ

原文 由女遠多尓 以可天可多美尓 美天之可奈 安者天奴留与乃 奈久佐女尓世无

和歌 ゆめをたに いかてかたみに みてしかな あはてぬるよの なくさめにせむ

読下 夢をたにいかてかたみに見てしかなあはてぬるよのなくさめにせん

解釈 夢の中だけでも、どうにかして、恋焦がれた思い出として見てみたいものです、逢うことの出来ない夜の心の慰めにしましょう。

 

歌番号 809

詞書 題しらす

詠人 ひとまろ

原文 宇徒々尓者 安不己止可多之 多麻乃於乃 与留者堂恵世寸 由女尓美恵奈无

和歌 うつつには あふことかたし たまのをの よるはたえせす ゆめにみえなむ

読下 うつつにはあふことかたし玉の緒のよるはたえせすゆめに見えなん

解釈 現実では逢うことが難しい、その言葉の響きのような、堅い珠の緒を縒る、ではありませんが、夜には絶えず夢に貴方の姿を見せないでしょうか。

 

歌番号 810

詞書 ひろはたのみやす所、ひさしう内にもまゐらさりける、夢になむ、れいのやうにて内にさふらひたまひつると人のいひ侍りけるをききて

詠人 ひろはたのみやす所

原文 伊尓之部遠 以可天可止乃三 於毛飛三尓 己与比乃由女遠 者留尓奈左者也

和歌 いにしへを いかてかとのみ おもふみに こよひのゆめを はるになさはや

読下 いにしへをいかてかとのみ思ふ身に今夜のゆめを春になさはや

解釈 以前の帝の寵愛のあったときに、どうにかして戻らないかとばかり、願っていた我が身に、今夜の夢を、冬が終わり厳しい時が融けるような春のようにならないでしょうしょうか。

 

歌番号 811

詞書 延喜十五年の御屏風歌

詠人 つらゆき

原文 王数良累々 止幾之奈个礼者 々留乃田遠 可部寸/\曽比 止者己比之幾

和歌 わすらるる ときしなけれは はるのたを かへすかへすそ ひとはこひしき

読下 わすらるる時しなけれは春の田を返す返すそ人はこひしき

解釈 忘れられる時が無いので、春の田を何度も打ち返すように、心に打ち返し、貴女が恋しいことです。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号802から806まで

2025年02月18日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 802 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 武者多満乃 以毛可久呂可美 己与比毛也 和可奈幾止己尓 奈比幾以天奴良无

和歌 うはたまの いもかくろかみ こよひもや わかなきとこに なひきいてぬらむ

読下 むはたまのいもかくろかみこよひもやわかなきとこになひきいてぬらん

解釈 烏羽玉のような漆黒の愛しい貴女の黒髪は、今夜も私がいない床で靡いているのでしょうか。

 

歌番号 803

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和可世己可 安利可毛志良天 祢多留世者 安可川幾可多乃 万久良左比之毛

和歌 わかせこか ありかもしらて ねたるよは あかつきかたの まくらさひしも

読下 わかせこかありかもしらてねたる夜はあか月かたの枕さひしも

解釈 私の愛しい貴方がどこに居るのかも知らないで寝た夜は、暁になる時の床の主のいない貴方の枕が淋しく感じます。

 

歌番号 804

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 伊可奈里之 止幾久礼多个乃 飛止世多尓 以多川良布之遠 久留之止以不良无

和歌 いかなりし ときくれたけの ひとよたに いたつらふしを くるしといふらむ

読下 いかなりし時くれ竹のひと夜たにいたつらふしをくるしといふらん

解釈 どのような時なのでしょうか、呉竹の一節、その言葉ではありませんが、一夜だけでも、いたずらに独りで臥すことを、辛いと言うのでしょうか。(きっと、今の貴方がいない私のことなのでしょう。)

 

歌番号 805

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 以可奈良无 於里布之尓可波 久礼多个乃 与留者己比之幾 比止尓安日美武

和歌 いかならむ をりふしにかは くれたけの よるはこひしき ひとにあひみむ

読下 いかならんをりふしにかはくれ竹のよるはこひしき人にあひ見む

解釈 一体、どのような時でしょうか、呉竹の節、その言葉ではありませんが、夜には恋しい貴女に逢い抱くことが出来るのでしょうか。

 

歌番号 806

詞書 題しらす

詠人 ひとまろ

原文 満左之天不 也曽乃知万多尓 由不計止不 宇良万佐尓世与 以毛尓安不部久

和歌 まさしてふ やそのちまたに ゆふけとふ うらまさにせよ いもにあふへく

読下 まさしてふやそのちまたにゆふけとふうらまさにせよいもにあふへく

解釈 その占いが正しいのだろうか、たくさんの巷に夕占を問う、その占いの卦の通りにして欲しい、愛しい貴女に逢えるように。

 

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